春の税務調査で狙われる「期ずれ」とは?税理士が徹底解説【令和7年】
春の税務調査シーズン到来。狙われる「期ずれ」のうっかりミスが命取りになる理由を解説します。
この記事でわかること
- 税務調査の年間スケジュール
- 春の税務調査と秋の税務調査の違い
- 何もないのに狙われる「期ずれ」とは何か
- 「売上は遅く・経費は早く」が引き起こすリスク
- 税理士に任せていても起きる落とし穴
個人の方は所得税の確定申告、会社の方は法人税の申告を終えたと思います。しかし、申告書を提出したら終わりではありません。提出された申告書の中から、税務調査官やあるいは税務署のAIが「これは税額が間違っているんじゃないか、脱税しているんじゃないか」と判断した場合、税務調査が入るという仕組みです。
📌 ポイント
税務調査は年柄年中行われているわけではありません。時期によって目的・性格が大きく異なります。年間スケジュールを把握しておくことが、適切な対策の第一歩です。
税務調査の年間スケジュール
税務署は7月始まり・6月終わりが基本です。国の会計年度(4月〜3月)とは少しずれており、税務署ではこれを「事務年度」と呼んでいます。また、人事異動は7月に行われ、税務署員は大体3年に1回税務署を移っていく仕組みです。
| 時期 | 税務調査の状況 | 特徴・注意点 |
|---|---|---|
| 7月 | 準備調査 | 人事異動直後のため調査は少ない。銀行取引明細の取り寄せ・SNSチェックなど事前調査を実施 |
| 8〜12月 | 秋の税務調査(メイン) | 最も重大な調査。大きな不正が疑われる場合や、売上・利益の急増・急減がある場合に狙われやすい |
| 1〜3月 | 確定申告期のため調査なし | 個人課税部門は確定申告の受付で多忙。税理士側も対応困難なため調査は実質ストップ |
| 4〜6月 | 春の税務調査(46調査) | ノルマ(目標件数)達成のために実施。6月末という期限があり交渉しやすい |
📝 このセクションのまとめ
- 税務署の事務年度は7月〜6月
- 最も重大な調査は8〜12月の秋の税務調査
- 1〜3月は確定申告期のため調査はほぼなし
- 4〜6月が「春の税務調査(46調査)」シーズン
春の税務調査の特徴|交渉しやすい理由
春の税務調査(4〜6月)には、秋の調査とは異なる明確な特徴があります。それは、税務調査官側に「年間何件はやらなきゃいけない」という目標件数があるということです。もちろん国税庁に「ノルマはあるんですか?」と聞けば「ない」と答えてきますが、実態としては目標のようなものが存在しているようです。その件数を稼ぐために、春にやってくるわけです。
さらに重要なのが、6月という終わりの期限がある点です。なぜかというと、7月に人事異動があるからです。自分が7月に異動になるとしたら、6月で調査を終わらせておかないと、後任者に引き継がなければなりません。引き継ぎはなにかと面倒なので、できる限り6月で終わらせたい。その結果、どうなるかというと——
📌 ポイント
春の税務調査は非常に交渉しやすいのが特徴です。税務調査官も「できる限り早く、効率よく終わらせたい」という意識があるため、ミスがあった場合でも「ある程度認めて折り合いをつけましょう」という雰囲気になりやすいです。税理士側も、秋の調査なら「これは大変だ、身構えなきゃ」となりますが、春の調査であれば「そんなに大きな揉め事はないんだな」とやや安心できます。
- 秋の調査:大きな不正が疑われる・証拠を掴んでいる場合が多い。徹底的に調べられる
- 春の調査:目標件数達成が目的。コスパ重視・効率重視の雰囲気。交渉の余地あり
もちろん例外はありますが、春に税務調査が来た場合は「悪意のある大きな不正ではなく、うっかりミスを狙ってきている」ケースがほとんどです。
📝 このセクションのまとめ
- 春の調査は「目標件数達成」が主な目的
- 6月末という期限があるため、調査官も早期決着を望んでいる
- 秋の調査より交渉しやすく、コスパ重視の雰囲気がある
- 春に来る場合は「うっかりミス」を狙っているケースが大半
春の税務調査で最も突っ込まれる「期ずれ」とは?
春の税務調査で、特に大きな問題がないときに最も突っ込まれやすいのが「期ずれ」です。期ずれとは、売上や経費の計上時期がずれてしまうことを指します。
会計には「発生主義」というルールがあります。売上は「お金をもらった時」ではなく「商品やサービスを提供した時」に計上しなければなりません。経費も「お金を払った時」ではなく「商品やサービスを受け取った時」に計上するのが正しいルールです。
⚠️ 注意
「入金されたら売上」「支払ったら経費」という現金主義的な処理は税務上の誤りです。この処理をしていると、期ずれとして税務調査で指摘されます。
期ずれの具体例|売上・経費それぞれのケース
個人事業主や12月決算の会社を例に、具体的なケースで確認しましょう。
| 取引の内容 | 正しい計上時期 | よくある誤り(期ずれ) |
|---|---|---|
| 令和6年12月にサービス提供→令和7年1月に100万円入金 | 令和6年12月に売上計上(売掛金として処理) | 令和7年1月の入金時に売上計上してしまう |
| 令和7年12月に100万円前払い→令和8年1月にサービス受領 | 令和8年1月に経費計上(12月は前払金として処理) | 令和7年12月の支払時に経費計上してしまう |
| 令和7年12月に車を購入→令和8年1月1日に納車 | 令和8年1月1日(納車日)から経費計上開始 | 令和7年12月の購入時に経費計上してしまう |
たとえば12月31日にAmazonで商品を購入しても、届いたのが1月1日であれば、経費計上は1月1日(受け取り日)基準になります。車の場合も同様で、契約日・購入日ではなく実際に納車した日が経費のスタートです。
📌 ポイント
期ずれが起きやすいのは、入金が数ヶ月後にずれる取引です。たとえば3月に入金があって、よくよく確認すると「あれ、それって去年の12月の仕事だった」というケースは実務でよく起きます。また、会計ソフト(freeeなど)の自動連携機能を使っている場合、売掛金の概念がわからないまま「入金のタイミングで売上」にしてしまうと、期ずれが大量発生することがあります。
期ずれで追徴課税はいくらになる?
では、実際に期ずれが発覚した場合、どれくらいの追徴課税が発生するのでしょうか。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 期ずれ金額 | 100万円 |
| 課税所得の区分 | 900万円超(所得税率33%) |
| 所得税(33%) | 約33万円 |
| 住民税・事業税・加算税・延滞税など | 合計で約17万円 |
| 追徴課税の合計(概算) | 約50万円 |
つまり、100万円の期ずれで約50万円の追徴課税が発生する可能性があります。期ずれは「売上を遅く計上・経費を早く計上」することで、その分だけ利益が減り、税金も安くなってしまいます。だからこそ税務署は指摘するのです。
⚠️ 注意
期ずれは「売上除外(本当は売上があるのに除外する)」や「架空経費(実際には10万円なのに100万円に水増しする)」といった重大な不正とは異なります。しかし、うっかりミスであっても税務調査で指摘されれば追徴課税の対象になります。悪意がなくても、結果として税額が減っていれば指摘されると理解しておきましょう。
📝 このセクションのまとめ
- 期ずれとは「売上・経費の計上時期がずれること」
- 売上は「商品・サービスを提供した時」に計上するのが正しいルール(発生主義)
- 経費は「商品・サービスを受け取った時(受取日基準)」に計上する
- 100万円の期ずれで約50万円の追徴課税が発生するケースも
- 会計ソフトの自動連携を使っている人は特に注意が必要
「税理士に任せているから大丈夫」は危険?まさかの落とし穴
「うちは税理士に丸投げしているから大丈夫」と思っている方も注意が必要です。税理士の中には、お客さんから年1回まとめて資料をもらって、ヒアリングもあまりせず、「よくわからないからとりあえずお金が出ていくタイミングで全部経費にしてしまおう」というケースがあります。特に格安税理士に多いパターンです。
- 年1回まとめて資料を受け取り、詳細なヒアリングをしない
- 支払日ベースで経費を計上してしまう(受取日基準を無視)
- 納車日・受領日の確認をせずに処理する
たとえば令和7年12月に車を購入した場合、12月の経費にしてしまう税理士もいます。しかし正しくは実際に納車した日が経費のスタートです。こういった処理をしていると、税務調査で突っ込まれてしまいます。
⚠️ 注意
税理士に依頼していても、期ずれが発生するケースがあります。「税理士に任せているから安心」ではなく、自分でも基本的な会計ルール(発生主義・受取日基準)を理解しておくことが重要です。税務調査で指摘されるのは、最終的に納税者自身です。
📝 このセクションのまとめ
- 格安税理士は支払日ベースで経費計上するケースがある
- 納車日・受領日の確認が不十分だと期ずれが発生する
- 「税理士に任せているから大丈夫」は過信。自分でも基本ルールを把握しておくこと
粉飾決算の場合は税務調査で指摘されない?
期ずれとは全く逆のパターン、つまり売上を早く計上したり・経費を遅く計上するケースもあります。こうするとその年の利益が大きくなります。これを粉飾決算と言います。
利益が大きくなると税金もその分多く払うことになるので、税金的には損です。しかし、赤字だと銀行に怒られる、上場企業や投資家向けに株価を上げるために利益を多く見せたい、という理由でこのような処理をする会社も結構あります。
📌 ポイント
粉飾決算(利益を多く見せる)の場合、税務調査では指摘されません。なぜなら、税金を多く払ってくれているわけですから、税務署があえて指摘する義理はないからです。税務調査は「税金が少なく申告されていないか」を確認するためのものです。
税務調査が来る前にできる対策
「おたくに税務調査が入ります」と言われた時、身に覚えがない場合でも期ずれがないかどうかをまず確認してみてください。
- 売上の計上時期を確認する(入金日ではなく、サービス提供日・納品日になっているか)
- 経費の計上時期を確認する(支払日ではなく、受取日・納車日になっているか)
- 明らかなミスが見つかった場合は、税務調査が来る前に修正申告を行う
📌 ポイント
税務調査が来る前に自分でミスを発見して修正申告すれば、加算税が5%軽減されます。明らかなミスが分かった場合は、調査を待たずに修正申告してしまうのが賢明な対策です。
また、春の税務調査だからといって期ずれだけが見られるわけではありません。経費として認められるかどうかグレーなものも同時にチェックされますので、経費の計上についても日頃から正確な処理を心がけることが重要です。
📝 このセクションのまとめ
- 税務調査が来る前に期ずれがないかセルフチェックを行う
- 調査前に修正申告すれば加算税が5%軽減される
- 期ずれ以外にも、グレーな経費計上も調査対象になる
- 粉飾決算(利益の水増し)は税務調査では指摘されない
終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル オタク会計士ch【山田真哉】 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。 本サイトは オタク会計士ch【山田真哉】を応援しています!
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