創業融資の面談NGワード5選!税理士が解説する審査通過の秘訣と創業計画書の書き方
創業融資の面談でたった一言が命取りに。審査落ちを防ぐNGワードと正しい対策を解説します。
起業直後の資金調達はどこで借りる?
起業して間もない時期の資金調達は、どこで借りることができるのでしょうか。これは非常に多い質問です。結論から言うと、民間の金融機関でいきなり融資を受けるのはハードルが高いため、ほとんどの方は日本政策金融公庫という政府系の金融機関でお金を借りることが多いです。
いきなり実績もない人が民間の銀行や信用金庫でお金を借りるのは、信用力がないため非常に難しいのが現実です。ただし、保証協会融資という選択肢もあります。保証協会(政府系組織)に保証料を払って保証してもらった上で借りるパターンです。一般的には日本政策金融公庫の創業融資の方がハードルが低いと言われています。
その他の資金調達手段としては以下のものがあります。
- 金融機関から保証協会なしで直接借りる「プロパー融資」(ハードルが高い)
- 親・兄弟・知人からの借入れ
- 消費者金融・ノンバンク(高金利のため基本的にお勧めしない)
- クラウドファンディング(社会貢献性が高いビジネスに向いている)
📝 このセクションのまとめ
- 起業直後は民間銀行より日本政策金融公庫が現実的な選択肢
- 保証協会融資という選択肢もあるが、公庫の方がハードルが低い
- 消費者金融・ノンバンクは高金利のため原則避けること
日本政策金融公庫の創業融資制度の概要
日本政策金融公庫の中にも様々な制度がありますが、いわゆる「創業融資」の正式名称は新規開業資金です。この制度の中に「スタートアップ支援資金」という制度もあります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 新たに事業を始める人、または事業開始後概ね7年以内の人 |
| 自己資金要件 | 撤廃(以前は必要資金総額の1/10以上が必要だった) |
| 融資限度額 | 7,200万円(うち運転資金4,800万円) |
| 返済期間(設備資金) | 20年以内 |
| 返済期間(運転資金) | 10年以内 |
| 融資平均額(全体) | 約900万円 |
| 融資で最も多いライン(新規開業) | 約2,300万円 |
| 現在の金利相場 | 2%台後半〜3%台 |
📌 ポイント:自己資金要件の撤廃について
現在の制度では自己資金要件は撤廃されていますが、「自己資金がまったくいらない」「審査が緩くなった」というわけではありません。自己資金があるかどうかは依然として審査に大きく影響します。
金利の優遇措置については、以下の条件に該当する場合に基準金利より低い金利が適用されます。
- 女性による起業
- 35歳未満での起業
- シニア起業(55歳以上)
- 創業2年以内
無担保・無保証でかつ金利が0.5〜0.9%優遇されるケースもあります。ただし、ここでいう「無保証」とは第三者保証が不要というだけであり、代表者保証は必須です。代表者保証を外すことも可能ですが、その場合は金利が上がります。
設備資金と運転資金の違いも押さえておきましょう。
| 種別 | 具体例 | 返済期間 |
|---|---|---|
| 設備資金 | 内装工事・機械・器具の購入など | 20年以内 |
| 運転資金 | 毎月の家賃・給与・水道光熱費など | 10年以内 |
⚠️ 注意:設備資金には見積書の提出が必須
設備資金を申請する場合は、基本的に3社の見積書の提示が必要です。不正利用を防ぐための措置ですので、事前に見積書を揃えておきましょう。
📝 このセクションのまとめ
- 正式名称は「新規開業資金」、融資限度額は7,200万円
- 自己資金要件は撤廃されたが、審査が緩くなったわけではない
- 現在の金利相場は2%台後半〜3%台
- 設備資金には3社の見積書が必須
- 「無保証」でも代表者保証は必要
創業融資の面談でよく聞かれること
創業融資を受けるためには、まず申し込み書と創業計画書を提出します。その後、面接に呼ばれます。面談では大きく分けて5つのカテゴリから質問されます。
① 創業動機・人物確認
- なぜこの事業を始めようと思ったのか
- 仕事の経歴・経験と今回のビジネスのつながり
- 家族の理解は得られているか
② 事業内容の具体性
- どんな商品・サービスを提供するのか
- 競合はどこで、どう差別化するのか
- 想定するお客様・ターゲット層は誰か
- その場所で開業しようとした理由は何か
📌 ポイント:USPを明確にしておく
ビジネスをする方はUSP(ユニーク・セリング・プロポジション)、つまり「あなたの事業の強み・他との違い」を明確にしておく必要があります。競合との差別化ポイントをしっかり説明できるよう準備しましょう。
③ 売上計画・経費計画の妥当性
- 1ヶ月あたりの売上見込み額の計算根拠
- 仕入れ・人件費・賃料の見込み額
- 計画通りに売上が上がらなかった場合の対策
④ 資金計画・返済能力
- 借入希望額とその資金の具体的な使い道
- 自己資金はいくら用意できているか、どうやって貯めたか
- 毎月の返済額と返済原資の算出方法
- 他に借りているローン・借入れはあるか
⑤ 生活基盤・家計の状況
- 家族の収入・支出の状況(共働きかどうかなど)
- 事業収入がゼロになった場合の生活費の確保方法
- 毎月の生活費はいくら必要か
⑥ 信用性・誠実さの確認
- クレジットカードやローンの返済で延滞はないか
- 税金や社会保険料の未納・延滞はないか
- 前職を辞めた理由(採用面接のような質問もある)
面談で確認されるのは、経営における「人・物・金」の3要素です。つまり、人柄・信頼性、事業そのものの実現性、そして返済の可能性が総合的に評価されます。
📝 このセクションのまとめ
- 面談では創業動機・事業内容・売上計画・資金計画・生活基盤・信用性の6点が確認される
- USP(事業の強み・差別化ポイント)を事前に明確にしておくこと
- 評価軸は「人・物・金」の3要素
絶対に言ってはいけないNGワード5選
以上を踏まえて、融資審査の面談で絶対に口にしてはいけないNGワードを5つ紹介します。これらを口にした瞬間、担当者が心の中でバツ印をつけてしまうかもしれません。
NGワード①「絶対うまくいきます」「必ず成功します」
⚠️ NG発言の例
- 「絶対うまくいきますから」
- 「売上はすぐに上がりますから」
- 「必ず成功します」
- 「いろんな人脈・知り合いがいるので大丈夫です」
この言葉そのものが悪いというわけではありませんが、数字の根拠が何もなく自信だけを語ると危険です。例えば売上が上がる根拠として、以下のような具体的な内容を示すことが重要です。
- どのようなマーケティング戦略を実施するか
- 見込み客数の計算根拠
- 回転数やリピート率の想定
NGワード②「自己資金はありません」「返済は売上が上がってから考えます」
⚠️ NG発言の例
- 「自己資金はありません。全部借入れでやります」
- 「返済は売上が上がってから考えます」
- 「過去にクレジットカードで滞納したけど、大したことじゃないと思います」
- 「税金はちょっと未納があるけどなんとかなると思います」
「全部借入れでいく」という姿勢は、自分はリスクを一切取らずに全部金融機関任せに見えてしまいます。金融機関にとってこれは致命傷です。返済可能性を最重視していますので、売上がどれぐらい上がって、経費を引いてどれぐらい利益が残り、それを返済原資として返すことができるという根拠を示すことが大事です。
また、万が一延滞などがあれば、その点は正直に話した上で、今後どのように対策・改善していくかを示すのが良いでしょう。
NGワード③「生活費を削って事業に回します。気合いと根性でやります」
⚠️ NG発言の例
- 「生活費を削って事業に回します」
- 「もう気合いと根性で何とかやります」
根拠のない精神論はNGです。生活費を削るということは、家計が破綻してしまうと事業の返済も滞ってしまうということを意味します。自分の報酬を原資とした生活費と事業資金を明確に分け、余裕のある設計を示しておくことが大切です。
NGワード④「この業界は未経験ですが何とかやってみたいんです」
⚠️ NG発言の例
- 「この業界は未経験ですが何とかやってみたいんです」
融資審査において業界未経験は非常に弱いポイントです。今まで経験のない業界への参入は失敗する可能性が高いと見られて当然です。夢だけでは通用しません。
もし経験がないのであれば、以下のようなサポート体制をアピールすることで、ある程度カバーできます。
- 詳しい方の協力を得る
- 顧問契約を結ぶ
- 研修実績を積む
- 徹底したリサーチを行う
- 支援団体のバックアップ体制を示す
NGワード⑤「まずは副業感覚で様子見ます。ダメならすぐやめます」
⚠️ NG発言の例
- 「まずは副業感覚で様子見ます」
- 「ダメならすぐやめます」
本気度のない人にはお金は貸せません。これは当然の判断です。大切なのは覚悟を示すこと、そして長期ビジョンをしっかり語ることです。友達感覚では貸せないということを肝に銘じましょう。
📌 ポイント:金融機関の視点を読み取る
以下のような発言はすべてNGです。金融機関がどのように考えているかを読み取り、友達感覚ではなく「信頼できる経営者」として接することが重要です。
- 「必ず成功するから大丈夫」(根拠なし)
- 「経験はないけど夢があるので」(根拠なし)
- 「返済は売上次第で」(返済計画なし)
📝 このセクションのまとめ
- ①根拠のない自信だけの発言はNG → 数字と計算根拠を示す
- ②自己資金ゼロ・返済先送りはNG → 返済原資の根拠を示す
- ③根拠のない精神論はNG → 生活費と事業資金を分けた設計を示す
- ④業界未経験をそのまま言うのはNG → サポート体制・研修実績でカバー
- ⑤副業感覚・様子見はNG → 覚悟と長期ビジョンを語る
創業融資を獲得するための3大ポイント
NGワードを踏まえた上で、創業融資を獲得するために必要な3つの要素をまとめます。
| ポイント | 詳細 | 注意点 |
|---|---|---|
| ① 業界での実務経験 | これから始める事業分野での経験があるかどうか | 未経験の場合はサポート体制・研修実績で補う |
| ② 自己資金 | コツコツと給与から貯めてきた資金、または親族からの借入れ | 消費者金融・ノンバンクからの借入れはNG。正直に経緯を説明する |
| ③ 計画書の質 | 借入れの返済根拠・売上の根拠を数字で落とし込んだもの | 身の丈以上の資金計画は返済可能性が薄いとみなされる |
⚠️ 審査で不利になる要素
- 未経験の分野での起業
- 自己資金がない
- 身の丈以上の資金計画(返済の可能性が薄い)
- 税金の滞納
- ブラックリスト入り(信用情報の傷)
やはり、その分野において経験豊富で得意分野で起業し、自己資金もコツコツと計画通り貯めてきた人が報われます。面談においてどれだけ本気か、信頼できるかを熱く伝えていきましょう。
📝 このセクションのまとめ
- 融資獲得の3大要素は「業界経験・自己資金・計画書の質」
- コツコツやってきた誠実な人が評価される
- 本気度と信頼性を熱く伝えることが大切
創業計画書の書き方と借入れ成功のポイント
日本政策金融公庫のウェブサイトから創業計画書のテンプレートを取得できます。データで取得して記載するか、苦手な方は紙に直接記載しても構いません。
計画書の中で最も重要なのは8番(資金調達と使途)と9番(月次損益の予測)の2項目です。
| 番号 | 項目 | 内容 |
|---|---|---|
| 1番 | 創業の動機 | 今まで何をやってきて起業に至ったか。履歴書のように丁寧に、熱意を持って記載する |
| 2番 | 経営者の略歴 | 保有資格なども記載する |
| 3番 | 商品・サービスの内容 | USP・セールスポイント・販売ターゲット・市場の今後の状況を記載 |
| 4番 | 従業員数 | 雇入れ予定の従業員数 |
| 5番 | 取引先・取引関係者 | 販売先・仕入先の情報 |
| 6番 | 関連企業 | 関連する企業があれば記載 |
| 7番 | 借入れの状況 | 住宅ローン・車のオートローンなどの残債を記載 |
| 8番 | 資金調達と使途(重要) | どこから資金調達してどこに使うか(貸借対照表のようなもの) |
| 9番 | 月次損益の予測(重要) | 毎月の売上・経費・利益の見込みと、1年後・軌道に乗った後の数字 |
9番(月次損益の予測)では、創業当初の見込みと1年後・軌道に乗った後の数字を記載します。重要なのは右側に計算根拠を必ず記載することです。例えばシステム制作業であれば、「毎月1件受注して300万円の仕事、原価率が30%を想定」「代表1人・役員・従業員3人で回す」「その他経費の内訳」といった具合に、数字の根拠をずらずらと記載していくイメージです。
⚠️ 注意:軌道に乗った後の数字を単純に1.3倍にするのはNG
計画書の「軌道に乗った後」の欄を単純に創業当初の数字の1.3倍にするのはあまり良くありません。その1.3倍という数字自体に根拠があれば問題ありませんが、根拠のない数字では審査官を説得できません。記載欄が足りない場合は別紙資料を作成することも有効です。
8番(資金調達と使途)では、右側に資金調達の内訳、左側に設備資金と運転資金の使途を記載します。例えば、自己資金610万円、親族からの借入れ、公庫からの借入希望額500万円、他の銀行からの借入れ500万円といった形で記載します。運転資金については「最短でも3ヶ月かかるシステム開発のつなぎ資金として650万円必要」といった具体的な理由を添えて記載します。
📌 ポイント:個人資産は積極的に開示する
個人で株式投資・投資信託を持っている、不動産などの個人資産がある場合は、融資面談の際に資料を提出するとプラス要素になります。隠すのではなく、出せるものはどんどん開示しましょう。
なお、「計画通りに行かなかったらお金を返せと言われるのか」という心配をされる方もいますが、しっかり返済ができていれば何の問題もありません。計画に届かなかったとしてもそれはやむを得ない面もありますが、経営的な視点から見ると、できるだけ計画が実現できるよう努力することが大切です。
📝 このセクションのまとめ
- 計画書の最重要項目は「8番(資金調達と使途)」と「9番(月次損益の予測)」
- 売上・経費の数字には必ず計算根拠を添える
- 軌道に乗った後の数字も根拠のある数字を記載する
- 個人資産は隠さず積極的に開示するとプラス評価につながる
- 返済が続いていれば計画未達でも問題はない
資金調達のサポートは誰に依頼すべきか
創業融資のサポートを誰に依頼すべきか、これも非常によく聞かれる質問です。融資コンサルタント、中小企業診断士、税理士の3択がよく挙げられますが、基本的には創業融資や融資サポートを行っている税理士に依頼するのが良いでしょう。
融資コンサルタントの場合、成功報酬型で融資が下りたらサポート料として数%を請求するケースが多いです。これは法的にグレーな部分もあり、せっかくスタートアップの大事な時期の融資なのに、そこから3〜5%引かれてしまうと資金繰りが悪化してしまいます。
中小企業診断士や税理士であれば、顧問契約の中で創業計画書の作り方を教えてもらえたり、公庫に繋いでもらえる会計事務所もあったりします。こちらの方が安上がりになるケースが多いです。
⚠️ 注意:創業計画書を丸投げしてはいけない
とはいえ、創業計画書の作成を専門家に丸投げするのはNGです。税理士などのお金の専門家は、あなたの事業に関しては素人です。無理やり書いてもらった計画書には情熱がこもっておらず、審査においても非常に弱くなります。自分自身が魂を込めて創業計画書を書くことが大切です。専門家はあくまでサポート役として活用しましょう。
📝 このセクションのまとめ
- 依頼先は創業融資サポートを行っている税理士がおすすめ
- 融資コンサルタントの成功報酬型は法的にグレーで費用も高い
- 創業計画書は自分自身が魂を込めて書くことが最重要
- 専門家はあくまでサポート役として活用する
終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。 本サイトは 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士を応援しています!
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