株の利益・配当金で確定申告すべき?税理士がわかりやすく解説
株の利益や配当金が出たとき、確定申告すべきかどうかを税理士がわかりやすく解説します。
証券口座には3種類ある
株取引とか配当をもらうとか、株関係の取引をするときは、証券会社の口座を通じて株を買ったりするわけですよ。
その証券口座には大きく3つの種類があるんですよ。

3つですよね。一般口座と……一般じゃない口座? NISA口座?

NISAは当たりの口座ですね。あともう1つあります。

特定口座!

正解です。一般口座・特定口座・NISA口座という3種類があってね。さらに特定口座の中にも2つに分類されて、源泉徴収なしと源泉徴収ありというのがあるんですよ。
どの口座に該当するかで、確定申告をしなければいけない人と、しなくてもいい人が分かれているんですよね。

はい。

一般口座というのは、株の売買とか配当とか全部自分で集計してやらないといけない。税金は引かれない。まるまる入ってくる。で、後で自分で確定申告しなきゃいけないので、この人は確定申告が必要です。

必要。はい。

特定口座というのは、証券会社が全部計算してくれるんですよ。「あなたはいくら得になりました」「あなたはいくらもらいました」というのを表にまとめてくれるんです。株の売買とかも全部計算してくれる。
で、その中でも利益が出たら税金を徴収して振り込んでくれるか、それとも全然税金を引かずに満額振り込むか、というので源泉徴収あり・なしというのがあるんです。

税金を徴収する場合は、税率は何%ですか? 株の取引の税金。

20.315%です。内訳は、所得税が15.315%、住民税が5%で合計20.315%です。
これが固定で、利益が出たり配当をもらったら20.315%引かれて、約80%が入金される。これが源泉徴収ありのパターン。この人はすでに20%引かれているので、確定申告は不要なんですよ。

じゃあ、源泉徴収なしの人、満額振り込まれている人はもちろん確定申告が必要ですよね。

必要ですよ。ただ、この源泉徴収ありの人で「不要」の人でも、確定申告してもいいよというルールもあるんです。しなくてもいいってだけで、別にしてもいいんですよ。まあ、そこが今日のポイントなんやけど。

NISAは確定申告いらないですよね? 証券会社が全部まるっとやってくれるから。

ブー! そもそもNISAは税金がかかりません。だからみんなやるんです。確定申告が必要か不要かという問題じゃない。そもそも税金がかからないから、やる必要がない。ちゃんと理解しておいて。

そっか。やる必要がない。

ということで、一般口座と特定口座(源泉徴収なし)は確定申告が必要。NISAはする必要が全くない。問題は特定口座(源泉徴収あり)のここなんですよ。

この人はしなくていいんやけど、してもいい、と。

そう。じゃあどっちなんやっちゅう話。なんでしなくてもいいのに、した方がいいパターンがあるの?

税額が変わるから……?

そりゃそうや。税金の話してんねん。税額が変わるのは当たり前。利益の額によって税額が変わるから、ということで7割ぐらい正解かな。

確定申告すると「配当控除」が使える
このまま20.315%引かれて、約80%もらって完結でもいいんですよ。でも、20.315%払っているわけじゃないですか。これがそもそも多い人がいるんですよ。利益が少ない人。利益が少ない人はそもそも所得税率が低い。だから20%は高いんですよ。確定申告した方が得なケースが出てくる。

そういうことか。

さらに確定申告すると配当控除というのが受けられるんですよ。これは税金を安くする特例なんですけど、これが受けられる。確定申告すると。どれぐらい控除されるかというと、所得税10%控除されて、住民税2.8%控除されるんですよ。

でかいですね。

でかいんですよ。だ、これを受けたいがために確定申告をするという人でも、これをやってもあまり意味がないよという人もいるから確定申告しないという人もいる。ややこしいよね。

ややこしい。なんか境い目が欲しいですね。

いい質問。そうなんですよ、境い目が欲しいんですよ。

どういう人が確定申告しなきゃいけないか、基準を教えてほしいです。

じゃあまず、確定申告をすると総合課税というのに変わります。

総合課税とは何ぞや? 全部の……合算課税?

お、素晴らしい。じゃあ、20.315%——株の場合は20.315%一律やけど——これは何課税という? 総合じゃなければ。

分離課税。

お、素晴らしい。学んでます。分離課税なんですよ。他の所得とは別で分離させて、もう20.315%一律ですよというのが、株の税金の原則。でも確定申告してこの配当控除を受けたい人は分離課税じゃなくなりますよというルールなんですよ。それが総合課税になりますよと。
じゃあ、総合課税の税率は——住民税は10%、所得税は5%から45%。

なんかややこしくなってきた。

そうなんです。20.315%じゃなくて、所得税は5%から最高45%まで、所得が高くなればなるほど45%に近づいてくる。住民税はずっと一律10%。だからどんどん所得が上がれば税率も上がってくる——これが総合課税、いわゆる累進課税というやつですね。配当控除を受けたい人は総合課税になります。

所得別シミュレーション:確定申告すべきかどうか
分かりやすく、配当金100万円もらいましたという例で考えましょう。分離課税だと税金はいくら?

20%なので20万円。

はい。じゃあ確定申告して、配当控除を受けたいから総合課税にします。100万円の配当金を申告しました。所得が195万円以内の場合、所得税と住民税はいくら?

所得税は……配当控除があるんで、0円ですか?

所得税0。住民税は?

住民税が7万2000円。

素晴らしい。そうなんですよ。元々は所得税5%・住民税10%が課税されるんですね。100万円に対してだから5万円と10万円が課税されるけど、所得税は配当控除10%があるんで、100万円の10%=10万円引けるよということで、5万円だったのが10万円引けるのでもう0円になる。
住民税は元々10万円なんですけど、2.8%=2万8000円引けるので、差額の7万2000円を納税するということなんですよ。
そしたら結局、所得税0円で住民税7万2000円。こっち(分離課税)だと20万円じゃないですか。どっちがお得?

総合課税の方がお得じゃないですか。

そうなんですよ。確定申告した方がお得なんですよ。ちなみに所得税の税率の区分をまとめると——195万円まで5%、195万〜330万円は10%、330万〜695万円は20%、695万円超は23%、33%と上がって最終45%まで行くという感じです。この「所得」というのは給与所得とか事業所得とか他の所得も合算です。配当金の所得だけじゃないので。

はい。

じゃあ、事業所得200万+配当所得100万で合計300万円やったとします。確定申告した方がいいかどうか。配当金の100万に対して所得税はいくらになる?

配当金の100万に対して所得税は……ない?

ない。なぜ?

配当控除があるんで……100万に対して5%なのでカット。

答えは当たってるけど説明が違うね。事業所得と配当所得を合わせて300万あるんです。総合課税というのは全部合算して課税するんですよ。300万の場合、配当金100万の部分の税率は10%。配当控除も10%なんで、結局差し引いて所得税は0円です。
住民税はさっきと一緒で7万2000円。つまり配当に対する税金は7万2000円ということなので、分離課税(20万円)と総合課税(7万2000円)どっちがお得?

総合課税。

そう、総合課税なんですよ。だからここの人は総合課税の方がお得なんですよ。
じゃあ次。事業所得が700万ぐらいあったとして、配当所得は100万あったとします。合わせて800万ぐらい。この時の所得税はいくら?

所得税は……13%になるので13万円。

そうですね。23%から配当控除10%引けるんで13%=13万円。住民税はさっきと一緒で7万2000円。足すと20万2000円——ほぼ分離課税(20万円)と並んできましたよ。

ほぼ同じぐらい。

そうなんですよ。695万円を超えるとほぼ並ぶんですよ。だったら確定申告する意味あんまりないよね、ということ。手間暇かけてやっても変わらないから。
だから基本的に、配当控除を使ってお得になる人は所得が695万円以下の人ということになるんですよ。

わざわざする必要ないですね。

所得が少ない人は総合課税でした方がいいんですよ。逆に所得が高い人——僕みたいに45%の税率の人は、配当控除で10%引いても35%になるから、分離課税20%の方が断然お得。

落とし穴!確定申告すると国民健康保険料が上がる
しかし、なんですよ。

しかし?

例えば所得が695万円ちょっと足りないぐらい、さっきの3つ目のパターン600万ぐらいやったとします。確定申告したら税金が約3万円ぐらい安くなるやん。

した方がいい。

した方がいいんですよ。でも確定申告することによって、配当所得がありますよということを申告するわけですよ。「私には配当所得100万円あります。配当控除を受けたいんで申告します」ってやるわけですよ。

はい。

一方、申告しない人は配当所得があることが申告されないんですよ。何も申告しないということは、配当所得があることがなかったことにされているんですよ。その違いが大きいんですよ。

え、どういうことですか?

所得を100万円プラス申告してしまうと、確定申告上で配当所得100万円と出ます。税金は返ってくるけど、所得は増えるんですよ。増えるということはいろんなものが増えるんです。

いろんなもの……社会保険?

そうなんですよ。個人事業者は今国民健康保険を払っているじゃないですか。国民健康保険って所得に応じて決まるんですよ。所得が高い人ほど国民健康保険料が高いんですよ。だから配当所得を100万申告したことによって、その分国民健康保険料も高くなるんです。

それを差し引いたらどっちが得か分かんなくなっちゃいますね。

分かんなくなっちゃうんですよ。国民健康保険は市区町村によって若干率が違うしね。ややこしいね。
あとは、所得を申告することによって住民税非課税世帯から外れる可能性もある。住民税非課税世帯でいっぱい恩恵受けているじゃないですか。それも受けられなくなる。

え、それ困りますね。

ね。あと住宅ローンを組んでいる人は、住宅ローン控除は所得が2000万円を超えると受けられなくなるとか。あとは配偶者控除を受けるためには所得制限があったりとか、基礎控除をたくさん受けたい人も所得が上がると基礎控除が少なくなるとか、そういうのがあって。
所得が上がることによっていろんなデメリットが出るケースが出てくるんですよ。それと税金のバランスを考慮しないといけないと。

難しい。シミュレーションをめちゃくちゃしないとですね。

そうなんですよ。だからこの辺りでやる人はそんなにメリットないかもしれない、所得が上がっちゃうから。この辺りの人が一番得をして、本当に所得のない人は住民税非課税世帯から外れる可能性があるから、それこそ申告しない方がいいかもしれない。いろんなパターンがありますね。

いろんなパターンだ。なんか一概にこれがいいよって言えないですね。

言えないね。所得が1000万円を超える人はこの配当の税率も高くなっちゃうから——23%から10%引いても13%になるから。だからその辺も変わってくるしね。それだったらもう分離課税の方がいいっていう。

分離の方がいいですね。

そうなんですよ。だからね、結局はあまり配当控除のメリットはないのかなと。あったとしても、まあ、微々たるものかなという感じもしますね。

複数の証券口座がある場合の申告の選択肢
これまたね、別の観点で申告した方がいいか、申告しない方がいいかという話もあるんですよ。今のとは別の話があるんですよ。

はい。

今、NISAとか投資が増えているじゃないですか。証券会社って色々選ぶじゃないですか。手数料の安い証券会社で今人気のところ、2大証券会社あるんですよ。どこか分かります?

楽天証券! あともう1つは……SBI証券。

正解。じゃあ、楽天証券とSBI証券に口座を作ったとして、それぞれで株の売買したり配当をもらったりしていたというケースを解説します。
1年間集計したら、楽天証券から年間取引報告書というのが出てくるわけ。特定口座(源泉徴収あり)だと証券会社が計算してくれて、1年間の集計表が出てくる。
楽天証券の場合——株の売買による譲渡所得は100万円あった。配当所得は50万円あった。あなたの年間の所得は合計で150万円です、という集計が出ました。

はい。

次、SBI証券からも年間取引報告書が送られてきました。あなたは株で20万円負けました(売買で損しました)。配当は30万円入ってきました。差し引くとあなたのSBI証券の利益は10万円です、というのが出ました。
これね、一部分だけを申告するというのがありなんですよ。楽天証券だけ申告してもよくて、SBIを申告しないとかもありなんですよ。逆にSBIだけ申告して楽天証券は申告しないのもありなんです。

そんな細かくできるんですか?

できるんですよ。もっと言うと、楽天証券の譲渡所得だけ申告して配当所得は申告しないのもありなんですよ。逆に配当所得だけ申告して譲渡所得を申告しないのもありなんですよ。

うん。うん。

じゃあ次SBIはどうかというと、SBIは配当所得だけ申告して譲渡所得を申告しないのはありなんですけど、譲渡所得だけ申告して配当所得を申告しないのはなしなんです。

どういうことか分かる……マイナスだから?

そう。損失だけを申告するのはダメですよと。2つ合計して10万円を申告するのはありやけど、−20万円だけ申告するのはなし。プラスだけ申告するのはありみたいな。まあ、そういうルールがあるんですね。

細かい。

細かいよね。じゃあ、こういう状態だった場合どの部分を申告するかという話なんやけど、これはもう所得によっても変わる。さっきのように税金は下がるけど国民健康保険料が上がるとか、いろんなパターンがあるのでそのバランスを見ながらシミュレーションしないといけないんやけど、本当に所得が少なければ全部申告した方がいいよ。150万と10万で160万で申告した方がいいと思います。

はい。

じゃあ例えば、695万円ギリギリぐらいやったとして、160万円申告すると695万円を超えるという場合は、もうこの10万円だけ申告するというのもあるよね。150万円まで申告しちゃうともう23%の領域でちょっと高くなるから、SBIだけ申告するというのもありやね。

ああ、そういうことか。はい。

株の損失は3年間繰り越せる!損失がある場合の申告戦略
じゃあ次。SBIのパターンが違うケースで、損失が−30万円で配当所得が20万円で、差し引き−10万円やった場合ね。

え、さっきと一緒じゃないですか? 配当はOKだけどマイナスはダメ。

そう。基本はそうなん。配当はOKだけどマイナスはダメ。合計ならOK。じゃあ、この−10万円を申告すべきかどうかという話。

する。

する。じゃあ楽天はどうする?

楽天も申告する。

そうなんですよ。150万と−10万で140万になるんで、楽天の利益を下げられるじゃないですか。なので申告するという方法も考えられる。
でも、そもそも695万円を超えている人はどうする?

何もしない。

何もしない。変に申告しない方がいい。でも、SBIだけ申告したら——この−10万円(合計マイナス)は3年間繰り越せるんですよ。

ほう。

でも申告しないともうこの−10万円は来年使えないですよ。消えちゃう。だから来年以降3年間使うために、このマイナス10万円は申告しておいた方がいいと。

合計のマイナスは申告できる、と。理解しました。

そうなんですよ。株の損失は3年間繰り越せるというのがあって、他の所得とは損益通算できないけど、株の取引の中では損益通算できる。なので−10万円を申告しておけば、来年以降の利益と損益通算ができるから、申告しておくという考えもあるんですよね。いろんなパターンが増えた。

いろんなパターンが増えたんですよ。ややこしい。分かりやすくしてほしい。でもすごい説明分かりやすかった。

結論:自分の所得でシミュレーションが必要
だから、まあ結論ね。自分の所得はいくらなのかでシミュレーションしないと分からんし、国民健康保険料の負担がどれぐらいなのかというのもあるしね。

自分でシミュレーションする必要がありますね。これは分かんないですね。

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