節税対策

株の損失を繰り越すと危険!益出し・損出しで年内解消すべき理由を税理士が解説

株の損失を繰り越すと危険!益出し・損出しで年内解消すべき理由を税理士が解説
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株の損失を来年に繰り越す前に、年内の益出し・損出しで解消する方法を知っておこう。

「損失は来年に繰り越せばいい」は本当に正しいか?

今年株で損失が出た場合、「来年に繰り越して、含み益のある株を売却すれば相殺できる」と考える人は多いでしょう。また逆に、今年利益が出ているけれど含み損の株を持っている場合、「そのまま持ち越して来年に期待しよう」と考える人もいます。

しかし、どちらのケースも年末までに売却して益出し・損出しを行い、損失を年内に解消することを強くおすすめします。なぜなら、損失を翌年以降に繰り越す確定申告には、見落としがちな「おとし穴」がたくさんあるからです。

📌 ポイント

同じ特定口座内で同じ年に出た損失と利益は、証券会社が自動的に相殺してくれます。手続き不要で完結します。
しかし年をまたいでしまうと、損失の繰越控除を使うために確定申告が必要になり、さまざまな問題が生じます。

📝 このセクションのまとめ

  • 同一年・同一特定口座内の損益相殺は自動処理で手続き不要
  • 年をまたいだ損失の繰越控除には確定申告が必須
  • その確定申告が思わぬ不利益を引き起こすリスクがある

損失の繰越控除と確定申告の仕組み

例えば、今年100万円の損失が出ていて、一方で含み益が150万円ある株を保有しているとします。

「来年に損失を繰り越して、来年に150万円の株を売却すれば、損失と利益を相殺できる。残る50万円にだけ課税されるから、今年バタバタと益出しをしても結果は同じでしょ」と思う人も多いでしょう。確かに、課税される金額だけ見れば同じように見えます。

ところが、年をまたいで損失と利益を相殺するには確定申告が必要で、その確定申告が「合計所得金額」を押し上げてしまうという問題が発生します。

⚠️ 注意

損失を来年に繰り越す確定申告(損失の繰越申告)自体に大きな問題はありません。問題は翌年に繰り越した損失を使う(相殺する)ための確定申告です。この申告が合計所得金額を増やし、各種控除や保険料に悪影響を与えます。

📝 このセクションのまとめ

  • 損失の繰越申告そのものは問題が少ない
  • 翌年に損失を「使う」ための確定申告が問題を引き起こす
  • 確定申告で株式の配当・譲渡利益を申告すると合計所得金額が増加する

合計所得金額が増えると何が困るのか

ここが最重要ポイントです。株の譲渡損失の繰越控除は、合計所得金額を計算した「後」に行われる仕組みになっています。

つまり、繰越控除のために確定申告した上場株式の配当や譲渡利益は、損失と相殺される「前」の段階で合計所得金額に加算されてしまいます。「損失と相殺されるから所得はゼロのはず」と思っていても、合計所得金額はその分だけ増えてしまうのです。

合計所得金額は、以下の各種判定の基準として広く使われています。

制度・控除合計所得金額の判定基準
配偶者控除自分の合計所得金額が1,000万円以下、かつ配偶者の合計所得金額が48万円以下
配偶者特別控除自分の合計所得金額が1,000万円以下、かつ配偶者の合計所得金額が48万円超〜133万円以下
扶養控除扶養する親族の合計所得金額が48万円以下
基礎控除・寄付金控除・障害者控除 等各種所得控除の判定基準に使用
住民税非課税世帯世帯全員の合計所得金額で判定
介護保険料住民税非課税世帯か否か、および合計所得金額で保険料が決定

株の損失を繰り越して翌年に確定申告すると、配偶者控除・扶養控除が突然使えなくなったり、住民税非課税世帯の認定が外れたりするリスクがあります。これを知らずに痛い思いをした人が多くいます。

📝 このセクションのまとめ

  • 繰越控除は合計所得金額の計算「後」に行われる
  • 確定申告した株の利益は相殺前の段階で合計所得金額に加算される
  • 配偶者控除・扶養控除・住民税非課税世帯・介護保険料など幅広い制度に影響が出る

国民健康保険料・後期高齢者医療保険料への影響

次に注目すべきは「総所得金額等」です。こちらは譲渡損失の繰越控除を行った「後」の金額です。繰越損失と相殺して残った利益だけが総所得金額等に加算されます。

総所得金額等は、国民健康保険料・高額療養費・後期高齢者医療保険料などの算定基準になっています。総所得金額等が上がると、これらの保険料も大幅に上がってしまいます。

保険料の種類算定基礎保険料率(例)
国民健康保険料(所得割額)総所得金額等 − 基礎控除額(43万円)13.6%(新宿区の例)
高額療養費総所得金額等 − 基礎控除額(43万円)の世帯所得同様に増加
後期高齢者医療保険料(所得割額)総所得金額等 − 基礎控除額9.67%(東京都均一)

⚠️ 注意

株の損失の繰越控除をするために確定申告をしたら、国民健康保険料が大幅にアップしていて「わけが分からない」と困惑したという人が多くいます。
繰越控除後に残った利益が総所得金額等に加算され、所得割額として13.6%もの保険料が上乗せされるためです。

📝 このセクションのまとめ

  • 総所得金額等は繰越控除「後」の金額で、国保・後期高齢者医療の保険料算定に使われる
  • 国民健康保険料の所得割は13.6%(新宿区)、後期高齢者医療は9.67%(東京都)
  • 繰越控除で残った利益分だけ保険料が大幅増加するリスクがある

年内に益出し・損出しで損失を解消する方法

これらのリスクを避けるために、株の損失は年内に解消することをおすすめします。具体的な対応は以下の2パターンです。

あなたの状況対応策
今年株の損失が出ていて、含み益のある株を保有している益出し:含み益のある株を売却して利益を確定し、損失と相殺する
今年株の利益が出ていて、含み損のある株を保有している損出し:含み損のある株を売却して損失を確定し、利益と相殺する

益出し・損出しをした後、手放したくない銘柄はすぐに買い戻せば元通りです。売却と買い戻しをセットで行うことで、保有状況を変えずに損益を相殺できます。

📌 ポイント:年内売却の期限(令和6年の場合)

株式の売却は、受け渡し日が年内に完了しなければ今年の取引になりません。株式市場の最終取引日の2営業日前までに売却する必要があります。
令和6年(2024年)は12月26日(木)が期限です。

📝 このセクションのまとめ

  • 損失がある→含み益株を益出しして相殺
  • 利益がある→含み損株を損出しして相殺
  • 売却後すぐに買い戻せば保有銘柄を維持できる
  • 令和6年の期限は12月26日(受け渡し日基準)

買い戻し時の重要な注意点:取得単価の平均化に気をつけろ

益出し・損出しをした後に同じ銘柄を買い戻す場合、特定口座での現物取引では、売却日の翌日以降に買い戻すことが必須です。

同じ日に売りと買いを行うと、たとえ売りを先に実行して買いを後に行ったとしても、取得単価の計算上は「先に買いを行った」として処理されてしまいます。

具体的な例で確認しましょう。

正しい手順(翌日以降に買い戻し)NG手順(同日に売買)
保有株単価1,000円 × 1,000株(取得額100万円)単価1,000円 × 1,000株(取得額100万円)
益出し売却単価2,000円 × 1,000株単価2,000円 × 1,000株
買い戻し翌日以降に単価2,000円 × 1,000株同日に単価2,000円 × 1,000株
取得単価の計算買い戻し単価2,000円がそのまま適用平均化されて(1,000円+2,000円)÷2=1,500円
売却益100万円の益出しが正しく完了売却単価2,000円 − 取得単価1,500円=50万円の益出しにしかならない

⚠️ 注意

特定口座の現物取引で同日に売りと買いを行うと、取得単価が平均化されてしまい、益出し・損出しの効果が半減します。必ず売却日の翌日以降に買い戻しを行ってください。
なお、信用取引では取得単価の平均化は行われないため、同日に売りと買いを行っても問題ありません。

📝 このセクションのまとめ

  • 特定口座の現物取引では、売却と同日に買い戻すと取得単価が平均化される
  • 買い戻しは必ず「売却日の翌日以降」に行うこと
  • 信用取引では同日の売買でも取得単価の平均化は起きないため問題なし

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士KOBAYASHIちゃんねる の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
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