税務調査

税務調査で指摘される14項目を税理士が解説|絶対やってはいけないことも

税務調査で指摘される14項目を税理士が解説|絶対やってはいけないことも
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税務調査で指摘されやすい14項目と、調査時に絶対やってはいけないことを解説します。

税務調査が増える季節と、漠然とした不安の正体

一般的に、税務調査は9月頃から件数が多くなる傾向があります。帳簿をきちんとつけていても、変な質問をされて誤解を招くような回答をしてしまいそうで怖い、という声は少なくありません。

実際、ご自身はちゃんと処理をしているのに「大丈夫かな」という漠然とした不安を抱えている経営者の方も多くいらっしゃいます。そこで今回は、税務調査で指摘されやすいポイントを14項目に絞って解説していきます。

📌 ポイント

税務調査は9月頃から増加します。正しく処理していても、知識不足で誤った対応をしてしまうリスクがあります。14項目のチェックポイントを事前に把握しておくことが重要です。

📝 このセクションのまとめ

  • 税務調査は9月頃から件数が増える
  • 正しく処理していても漠然とした不安を抱える経営者は多い
  • 14項目の指摘されやすいポイントを事前に把握することが重要

指摘されやすい項目①〜③:売上・仕入れ・在庫のズレ

税務調査でまず重点的に見られるのが、売上・仕入れ・在庫に関する「期ずれ」の問題です。

項目内容リスクレベル
①売上の期ずれ本来その年度に計上すべき売上を、決算日以降にずらして処理する最高(脱税に該当)
②仕入れの期ずれ外注先への前払い経費を前期決算で経費計上し、売上対応年度とずらす
③在庫の操作期末の在庫表を操作して在庫を減らし、経費を増やして利益を圧縮する高(在庫商売では必ず調査対象)

⚠️ 注意

売上の期ずれは不正な申告=脱税です。売上を計上しても、その後に合法的な節税対策を行えば、売上全額が税金として取られるわけではありません。売上を「抜く」「ずらす」行為だけは絶対にやめてください。

在庫については、ECなどアイテム数が多い会社の場合、全品目を調べるのではなくランダムに抽出して調査するケースが多いようです。ただし、その中で漏れが発覚すれば、他の商品についても徹底的に調べられることになります。

📝 このセクションのまとめ

  • 売上・仕入れ・在庫の「期ずれ」は税務調査で最もよく見られる項目
  • 売上の期ずれは脱税に該当し、絶対にやってはいけない
  • 在庫はランダム抽出で調査され、漏れが見つかれば全品目に及ぶ
  • 売上に対応した年度に正しく経費を計上することが原則

指摘されやすい項目④〜⑤:架空領収書と経費の二重計上

架空の飲食店の領収書は、税務調査の現場でも実際によく見られる問題です。日付が書いていない領収書をもらったり、金額を勝手に書き込んだりするケースがあります。

⚠️ 注意

社長や経営者が自ら手書きで金額や日付を記入すると、筆跡から本人の記入であることが判明します。「これは社長の字ですよね」と指摘されることがあるため、このような行為は絶対にやめてください。

なお、税法上の「領収書」の正確な定義は、金銭または有価証券の受領を証明するために作られた受取書です。必要な事項が書いてあれば、レシートでも証憑として有効です。

レシートに必要な事項として認められるのは以下の通りです。

  • 日付
  • 商品を購入した店舗名
  • 購入した商品の内訳
  • 購入した商品の金額

ただし、高額な支払いで宛名がない場合は税務調査で突っ込まれることもあります。そのような場合は、宛名を含めた必要事項が記載された領収書を取得するのが確実です。最近の領収書はレシートに「領収書」と記載されているケースも多く、宛名や店舗名が印字されているため問題になりにくいです。

⑤の経費の二重計上については、会社のクレジットカードで支払った後に発行された領収書で経費精算し、さらにカードの明細からも同じ金額を経費計上してしまうケースが典型例です。

📌 ポイント

クラウド会計を使っている場合、カード明細が自動連携されていることに気づかず、手打ちで二重入力してしまうミスが起こりやすいです。同じ日付・同じ金額のものが会計帳簿上に登録されていないか、定期的に確認してください。電子管理(DX化)によってこうしたミスは大幅に減らせます。

📝 このセクションのまとめ

  • 架空領収書への手書き記入は筆跡で発覚するため絶対NG
  • 必要事項が揃っていればレシートも証憑として有効
  • 高額支払いは宛名入りの領収書を取得するのが安全
  • クラウド会計の自動連携による二重計上ミスに注意

指摘されやすい項目⑥〜⑦:交際費のグレーゾーンと売上の計上漏れ

⑥の交際費は、どこまでが経費かわかりにくく、個人的なものが混入している可能性が高いため、税務調査でよく見られます。

特に注目されやすい交際費の例は以下の通りです。

  • 親戚の結婚祝いや贈答品として処理している自分用のもの
  • 取引先と行ったことにした家族旅行
  • 接待として処理したプライベートの食事

また、ロレックスのような高級時計を取引先へのプレゼントとして交際費計上するケースも要注意です。時価が50万円を超えるような高額品を贈答した場合、受け取った側が一時所得として確定申告をしていれば問題ありませんが、確定申告をしていない場合は受け取った側・渡した側の両方に税金がかかります。渡した側も「経費ではなく相手の手元に渡っただけ」と判断されるリスクがあるため、高額なブランド品の贈答はおすすめしません。

⑦の売上の計上漏れ(売上を抜く行為)は、どのように調査されるのでしょうか。調査方法は多岐にわたります。

調査方法具体的な内容
預金口座の確認まとまった入金の形跡がないか確認する
生活水準の確認羽振りの良さそうな生活やSNS投稿をチェックする
内偵調査飲食店では調査官が客のふりをして飲食し、そのレシートが売上に計上されているか確認する
レジロールの確認レジロールを見て売上が正しく計上されているか確認する
宴会・予約名簿の照合宴会や予約の名前が売上に計上されているか確認する

⚠️ 注意

売上を抜くことは最も重大な脱税行為です。売上をきちんと計上した上で、合法的な節税対策を講じれば税金はコントロールできます。売上を抜くことだけは絶対にやめてください。

📝 このセクションのまとめ

  • 交際費はグレーゾーンが多く、個人的な支出が混入しやすいため要注意
  • 時価50万円超の高額贈答品は受け取った側・渡した側双方に税務リスクがある
  • 売上の計上漏れは内偵調査・口座調査・レジロール確認など多角的な方法で発覚する
  • 売上を抜く行為は最も重大な脱税行為であり、絶対にやってはいけない

指摘されやすい項目⑧〜⑩:架空人件費・外注費・関連会社取引

⑧の架空人件費は、給料として払ったことにして経費計上し、実際には架空の人物への支払いとして自分のお金にしたり、会計上だけ経費として計上して実際には支払わない(未払い処理)といった行為です。

特に疑われやすい業種は以下の通りです。

  • 飲食業
  • 訪問介護
  • テレアポ・営業会社
  • アルバイトや外国人を多く使う会社
  • 人の出入りが多い会社

調査では以下のような点が確認されます。

  • 給料を現金で渡しているか
  • 履歴書を保存していないか
  • 座席表や社員名簿の内容
  • タイムカードで同じ時間・同じ記録のものがないか、全く同じタイムカードがないか
  • オーナーの配偶者や家族名義での処理がないか

⑨の外注費については、3つのポイントでチェックされます。

チェックポイント内容
架空の外注先実在しない外注先への支払いがないか
給与への再分類外注費として計上しているが、実態は給与(雇用関係)ではないか
源泉所得税の取り漏れ外注費として処理した支払いに源泉徴収漏れがないか

外注費として計上する場合、その人が社員ではないことの証明が求められます。具体的には、個人事業主として確定申告しているか雇用保険に加入していないかきちんとした業務委託契約書を締結しているかなどが形式的に確認されます。雇用契約であれば当然、外注費として処理することはできません。

⑩の関連会社との取引については、業務上の必要性があれば問題ありません。しかし、消費税を逃れるためだけ、または利益を別の会社に移すためだけに設立した関連会社との取引は非常に危険です。

⚠️ 注意

関連会社がある場合、取引金額が適正かどうかが見られます。また、決算期が数ヶ月ずれている場合、その期間を利用して売上を操作しているのではないかと疑われる可能性があります。

📝 このセクションのまとめ

  • 架空人件費は飲食・介護・テレアポなど人の出入りが多い業種で特に疑われやすい
  • タイムカードの記録や履歴書の保存状況まで細かく確認される
  • 外注費は「架空・給与への再分類・源泉所得税漏れ」の3点でチェックされる
  • 関連会社取引は業務上の合理的な必要性があれば問題ないが、節税目的だけの設立は危険

指摘されやすい項目⑪〜⑭:役員退職金・役員借入金・固定資産関連

⑪の役員退職金は、高額であり節税効果も高いことから、税務調査でも重点的に見られます。

  • 金額の妥当性:退職金の金額が適正かどうかが最も重要な確認ポイント
  • 実際の退職の有無:形だけ退職しているが、実際には裏で実権を握っている場合、退職金が否認される可能性がある

妥当な役員退職金の計算方法については別途詳しく解説していますので、そちらもご参照ください。

⑫の役員借入金とは、社長個人のキャッシュを会社に貸し付けた場合に計上される科目です。会社の資金繰りが悪化したとき、社長個人のポケットマネーから立て替えるケースで使われます。

📌 ポイント

役員借入金は金融機関からの借入と異なり、返済期日や利息を自由に設定できるメリットがあります。ただし、社長の役員報酬額に対して役員借入金が不釣り合いに増えている場合、「誰かから資金提供を受けているのではないか」「売上を先に受け取っているのではないか」と疑われ、贈与税・法人税の申告漏れを疑われることがあります。役員借入金は額が大きくなる前に精算することをおすすめします。

⑬の社屋・車両などの固定資産の購入では、主に以下の点が確認されます。

  • 耐用年数の適用が正しいか:耐用年数を変えると費用の金額が変わるため、正しい年数が適用されているか確認される
  • 減価償却の開始時期が正しいか:固定資産は経費として認められる時期が決まっており、例えば社用車は「お金を支払った日」ではなく「納車された日」から減価償却が開始される

⑭の固定資産の修繕費処理については、修繕費として一括経費計上できるものと、資本的支出として減価償却が必要なものの区別が重要です。

区分内容の例処理方法
修繕費(一括経費計上OK)建物の壁の塗装など、原状回復のための修理その年度に全額損金計上
資本的支出(減価償却必要)機械の性能を高いものに交換、建物に避難階段を設置など耐用年数に応じて減価償却

修繕費として計上できる目安は以下の3つです。

  1. 1回の支出が20万円未満のもの
  2. 3年以内の周期で定期的に行っているもの
  3. 修繕費か資本的支出か判断が難しい場合は、60万円未満、または前期末の固定資産の取得価額のおおむね10%以下の支出

この線引きは難しいケースも多いため、税理士と相談しながら判断することをおすすめします。

📝 このセクションのまとめ

  • 役員退職金は金額の妥当性と実際の退職の有無が確認される
  • 役員借入金が役員報酬に不釣り合いに増えると贈与税・法人税の申告漏れを疑われる
  • 固定資産の減価償却は「支払日」ではなく「使用開始日(納車日など)」から開始する
  • 修繕費と資本的支出の区分は20万円・3年周期・60万円・取得価額10%が目安

税務調査で絶対に心がけるべきこと・言ってはいけないこと

税務調査において最も心がけなければならないことは、次の2点です。

心がけること理由
焦って回答しない焦りから誤解を招く発言をしてしまうリスクがある
嘘は絶対ダメ嘘は後で発覚した際に信頼を大きく損ない、状況を悪化させる

税務調査官の指摘が全て正しいとは限りません。見解の相違は合法であり、「相手との見解が違う」というだけの話です。きちんと交渉することが重要です。

📌 ポイント

経費として認められるかどうかの基本は「ビジネスに関連しているかどうか」です。ビジネスに関連していると主張できるのであれば、税務調査官にしっかりと説明してください。調査官が単に理解できていないだけのケースもあります。交渉力のある税理士を選ぶことも、税務調査を乗り切る上で重要なポイントです。

📝 このセクションのまとめ

  • 焦って回答せず、冷静に対応することが最重要
  • 嘘は絶対についてはいけない
  • 見解の相違は合法であり、正当な主張は交渉できる
  • ビジネスとの関連性を説明できるよう準備しておく
  • 交渉力のある税理士を選ぶことが税務調査対策の鍵

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 社長の資産防衛チャンネル の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
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