税務調査

法人の税務調査で社長個人の通帳を見せろと言われたら?税理士が解説

法人の税務調査で社長個人の通帳を見せろと言われたら?税理士が解説
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法人の税務調査中に社長個人の通帳提示を求められたら、どう対応すべきか?

税務調査の種類:強制調査と任意調査の違い

税務調査には、厳密に言うと強制調査任意調査の2種類があります。

種類特徴対象
強制調査捜査令状を持って突然やってくる。脱税の証拠をつかんだ上で実施。悪質な脱税が疑われるケース
任意調査事前に連絡があり、日程調整が可能。定期的なチェックとして行われる。通常の事業者(定期的に実施)

顧問税理士が立ち会うのは基本的に任意調査です。強制調査に税理士が立ち会うことはほとんどありません。今回解説する内容も、この任意調査を前提としています。

📌 ポイント

任意調査は、皆さんが脱税や何か悪いことをしているから来るわけではありません。定期的なチェックのようなものなので、この点はご安心ください。

なお、どちらかといえば個人事業主や個人の大家さんよりも法人の方が税務調査に入られる可能性は高くなります。また、赤字の事業所よりも黒字の事業所の方が、経費をたくさん使っているとみなされるため、調査対象になる可能性は高くなります。

⚠️ 注意

「個人事業主だから調査に入られない」「赤字だから調査に入られない」ということはありません。個人事業主でも事業規模が大きかったり怪しい動きがあれば調査のターゲットになりますし、赤字の事業所でも消費税に重点を置いた調査が行われることがあります。

📝 このセクションのまとめ

  • 税務調査には強制調査と任意調査の2種類がある
  • 通常の事業者が受けるのは任意調査で、事前に連絡・日程調整ができる
  • 法人・黒字事業所は調査対象になりやすいが、個人・赤字でも対象になりうる

任意調査の流れと日程調整

任意調査の場合、顧問税理士がいる事業所には顧問税理士へ、いない場合は事業所に直接、調査官から連絡が入ります。「何月何日に税務調査を行いたいのですがいかがですか」という形で打診されます。

📌 ポイント

調査の日程交渉は可能です。中小企業の経営者にとって現場が一番大事ですので、本当に重要な用事がある場合は調査の日程をずらしてもらうよう、しっかり話をしましょう。

なお、8月〜10月は税務調査のシーズンです。コロナが落ち着いてきたこともあり、税理士の調査立会いの頻度も再び増えてきています。実際、7月下旬に税務署から連絡があり、9月中旬〜10月に調査を予定しているというケースも多くあります。

📝 このセクションのまとめ

  • 任意調査は事前に調査官から連絡が来る
  • 日程は交渉・変更が可能なので、事業を優先して日程調整を行う
  • 8〜10月が調査シーズンのピーク

税務調査当日に準備すべき資料一覧

調査当日に用意しなければならない資料は多岐にわたります。通常、調査は直近で決算を終えた年度から過去3年間を対象に行われます。

カテゴリ具体的な資料備考
会計帳簿類総勘定元帳、仕訳帳、振替伝票、現金出納帳、補助簿会計データから出力可能
証憑書類過去3年分の領収書・請求書・納品書紙またはデータ(電子帳簿保存法対応状況による)
金融関連会社の通帳(ネットバンキングの場合はプリントアウト)電子データが嫌な場合は印刷して提出
給与・源泉関連賃金台帳、源泉徴収簿(直近月まで)決算期に関わらず最新月まで求められることが多い
決算関連在庫表、消費税計算書、議事録、臨時書類総会議事録なども含む

⚠️ 注意

会計事務所とのやり取りで資料に付箋がついたままになっていることが稀にあります。悪いことをしていなくても、付箋がついている箇所で「何か怪しいことをしているのではないか」と疑われることがあります。調査官に提供する前に必ず付箋を剥がしてください。

通常の税務調査では、調査官が総勘定元帳を見ながら、よくわからない取引があれば領収書や請求書でチェックするという作業を黙々と行います。顧問税理士はその前に座り、質問があれば回答し、追加資料が必要であれば準備・提供するという、比較的地味な作業が続きます。

📝 このセクションのまとめ

  • 調査対象は直近決算から過去3年間が基本
  • 会計帳簿・証憑・通帳・給与関連・決算関連の5カテゴリを準備する
  • 資料に付箋が残っていないか事前に確認・除去すること

本題:社長個人の通帳提示を求められたらどうする?

法人の税務調査であるにもかかわらず、調査官から「社長さん個人の通帳もありませんか、それもちょっと見せてもらえませんかね」と言われることが結構あります。

「法人の調査なのだから、個人のプライベートな通帳は断れるのではないか」と考える方が非常に多いのですが、実はこの点について国税庁のホームページ「税務調査手続きに関するFAQ(一般納税者向け)」の問い7に明確な答えが記載されています。

📌 国税庁FAQ 問い7の回答(要旨)

法令上、調査担当者は調査について必要があるときは帳簿書類等の提示・提出を求め、これを検査することができます。
例えば法人税の調査において、その法人の代表者名義の個人口座について事業関連性が疑われる場合に、その通帳の提示・提出を求めることは法令上認められた質問検査等の範囲に含まれるものと考えられます。

つまり、個人の通帳は本来プライベートなものですが、「事業関連性が疑われる場合」には提示義務が生じるということです。

📝 このセクションのまとめ

  • 個人通帳の提示義務は「事業関連性が疑われるかどうか」で決まる
  • 国税庁FAQに明確な回答が掲載されている
  • 一律に断れるわけではなく、状況に応じた判断が必要

事業関連性が疑われるケースとは?提示義務が生じる具体例

「事業関連性」とは、法人と社長個人の間で何らかの取引があることを指します。以下のケースに該当する場合は、個人通帳の提示義務があると考えてください。

  • 家賃の支払い:オフィスや店舗を社長個人が所有し、それを自分の法人に貸して法人から家賃を受け取っている場合
  • 役員借入金:社長個人のお金を法人に貸しているケース
  • 役員貸付金:法人のお金を社長個人に貸しているケース

これらの取引がある場合は、法人と個人の間にお金の流れがあるため、事業関連性があるとみなされ、個人通帳の提示を求められます。

📌 ポイント:事業関連性がない場合の対応

上記のような取引が一切ない場合は、「どのような理由で事業関連性を疑われているのですか?」と調査官に確認してみるのも一つの方法です。
ただし、やましいことが何もないのであれば、個人通帳を提示してさっさと調査を終わらせるのが最もスムーズな対応とも言えます。

📝 このセクションのまとめ

  • 家賃の受け取り・役員借入金・役員貸付金がある場合は提示義務あり
  • これらの取引がない場合は、事業関連性の根拠を調査官に確認できる
  • やましいことがなければ提示してスムーズに終わらせるのが得策

なぜ調査官は個人通帳を見ようとするのか?売上除外の実例

調査官が社長個人の通帳を見ようとする主な理由は、売上除外(売上を抜いているのではないか)という疑いです。実際に確認された事例を2つ紹介します。

事例業種手口問題点
事例①不動産大家(法人)家賃収入は法人口座に入れて売上計上していたが、敷地内の自動販売機の収入だけを個人名義で受け取り、法人の売上に計上せず、個人の申告もしていなかった完全な売上除外・脱税
事例②飲食店仕入先からのリベート(割戻し)を個人通帳で受け取り、売上除外していた売上除外・脱税

⚠️ 重要な注意:税務当局はすでに把握している可能性が高い

「個人通帳に入れれば証拠がなくなる」「申告しなくてもバレないだろう」という考えは甘い認識です。
税務当局は金融機関に対して、法人口座の動きのみならず社長個人名義の口座も名寄せして、入出金データをすべて把握することが可能です。
個人口座に法人の取引先と思われる会社から継続的・高額な入金がある場合、その証拠をすでに把握した上で調査にやってきます。ベテランの調査官であれば、調査開始当初から「社長個人の通帳に相当な入金がありますが、売上が漏れていませんか」と直接切り込んでくることもあります。

売上除外・架空経費は絶対にNG:重加算税のリスク

売上除外や架空経費の計上は、金額の規模に関わらずれっきとした脱税として扱われます。発覚した場合のペナルティは非常に重大です。

  • 重加算税の課税(通常の過少申告加算税より大幅に重いペナルティ)
  • 次回の税務調査が短い頻度で実施されるようになる
  • 税務署内に不正の履歴が残り、長期にわたって監視対象となる

⚠️ 注意

売上除外と架空経費の計上は、金額が少額であっても重加算税の対象となります。一度不正の履歴がつくと、その後の経営に長期的な影響を及ぼします。くれぐれもこのようなことがないようにしてください。

📝 このセクションのまとめ

  • 調査官が個人通帳を見る主目的は売上除外の確認
  • 税務当局は金融機関への名寄せで個人口座の動きも把握できる
  • 売上除外・架空経費は金額を問わず重加算税の対象となる重大な不正行為

まとめ:社長個人の通帳提示を求められた場合の対応フロー

ここまでの内容を整理します。税務調査で社長個人の通帳提示を求められた場合の判断基準は明確です。

  1. 法人と個人の間に事業関連性のある取引があるかを確認する
  2. 家賃の受け取り・役員借入金・役員貸付金がある場合は提示義務あり→素直に提示する
  3. これらの取引が一切ない場合は「どのような事業関連性を疑っているのか」を調査官に確認する
  4. やましいことが何もないのであれば、提示してスムーズに調査を終わらせるのが最善
状況提示義務推奨対応
家賃受け取り・役員借入金・役員貸付金ありあり提示する
法人との金銭的取引が一切ない原則なし事業関連性の根拠を確認。やましいことがなければ提示もあり
売上除外など不正がある税務当局はすでに把握している可能性大。正直に対応することが重要

📌 最終ポイント

国税庁FAQ(一般納税者向け)の問い7には、この問題に対する明確な回答が記載されています。「事業関連性が疑われる場合には、代表者名義の個人口座の通帳提示・提出を求めることは法令上認められた質問検査等の範囲に含まれる」とされています。税務調査への備えとして、ぜひ国税庁のFAQも参照してみてください。

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
本サイトは 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士を応援しています!

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