税務調査

税務調査の実態2023年版|調査レベル低下の真相と必ず聞かれること【税理士が解説】

税務調査の実態2023年版|調査レベル低下の真相と必ず聞かれること【税理士が解説】
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2023年の税務調査は何かが変わっている。現場の実態と必ず聞かれる質問を徹底解説。

今回のテーマは「最近の税務調査の実態」です。個人事業主・法人共通のテーマとして、2023年の最新情報をお届けします。コロナが落ち着いた2023年4月から税務調査が再開されており、これまでと事情が変わってきています。

今回の内容は3本柱でお届けします。

  1. こんな会社は税務調査に入られやすい(特に駆け出し経営者の方は必見)
  2. 最近の税務調査の実態(2023年最新情報)
  3. 税務調査で必ず聞かれること

税務調査の種類:強制調査と任意調査

税務調査には大きく2種類あります。

種類内容対象
強制調査捜査令状を持って突然やってくる脱税の可能性が高い事業者
任意調査定期的に実施される通常の調査一般的な事業者全般

📌 ポイント

任意調査は「悪いことをしているから来る」わけではなく、定期的なチェックとして実施されるものです。今回の話は主にこの任意調査についてです。

また、どちらかといえば個人事業主よりも法人の方が調査に入られる確率は高くなります。事業規模が大きいためです。さらに赤字の事業所よりは黒字の事業所の方が入られやすい傾向があります。黒字ということは、行き過ぎた節税や脱税をしている可能性があるとみなされ、ターゲットになりやすいためです。

📝 このセクションのまとめ

  • 税務調査には強制調査と任意調査の2種類がある
  • 一般的な事業者に来るのは定期的な任意調査
  • 個人事業主より法人、赤字より黒字の事業所の方が調査に入られやすい

こんな会社は税務調査に入られやすい

税務調査に入られやすい事業者には、いくつかの共通したパターンがあります。

  • 売上が急拡大した
  • 利益率の変動が激しい(特に増収減益)
  • 業績好調で繰越欠損金を使い切った
  • 長年、税務調査が来ていない(長期未接触)

税務調査官は皆さんの会社の損益計算書(PL)を3期比較で確認します。そこで怪しい動きがあればターゲットになりやすいです。関東には国税の大型コンピューターシステム「国税総合管理システム(KSKシステム)」があり、あらゆる事業所の損益に関する統計データが蓄積されています。

特に注意が必要なのが増収減益のパターンです。具体例を見てみましょう。

項目前期当期変動
売上1,000万円1,500万円+50%増
経費500万円1,100万円+600万円増
利益500万円400万円▲20%減

売上が50%増なのに利益が20%減という状態です。これが絶対に悪いというわけではありませんが、目につきやすいということを覚えておきましょう。事業拡大に伴う先行投資の年というのは当然あり得ます。

📌 対策:法人事業概況説明書を活用しよう

法人の場合、毎年提出する法人事業概況説明書の2ページ目下部に「当期の業績について」記載できる欄があります。ここに業績変動の理由を明記しておくことで、税務当局に対して真っ当な経営情報を開示でき、しっかりした会社として見られやすくなります。個人事業主の方も決算書の所定欄に今期の状況を記載しておきましょう。

また、繰越欠損金を使い切った瞬間に税務調査に入られたというパターンも非常に多いです。中小企業の場合、過去の赤字は最長10年間繰り越して将来の節税に活用できますが、これを使い切ったタイミングで調査が来るケースがあります。

さらに、長年調査が来ていない事業者も注意が必要です。通常、調査は3〜5年に1回程度来るものですが、何らかの理由で10年・20年開いてしまうケースもあります。税務署内部ではこれを「長期未接触」と呼んでいるそうです。

📝 このセクションのまとめ

  • 売上急拡大・増収減益はKSKシステムで目につきやすい
  • 繰越欠損金を使い切ったタイミングで調査が入るケースが多い
  • 長期未接触(10年以上調査なし)の事業者は要注意
  • 法人事業概況説明書の業績欄を積極的に活用することで調査リスクを下げられる

2023年最新:税務調査の実態とレベル低下の背景

2023年4月から税務調査が本格再開されました。実際の調査立ち合いを通じて感じた変化をお伝えします。結論から言うと、税務調査そのもののレベルの低下と、調査頻度の減少が感じられます。

以前はしっかり利益が出ている事業所には3年に1回コンスタントに調査が入っていました。それが最近では5年に1回、場合によっては10年に1回という形で頻度が減ってきています。

この背景にあるのは人手不足です。税務当局も例外ではなく、中途採用に力を入れたり、定年退職した調査官にパート勤務で調査に出てもらうパターンも増えています。

項目以前2023年現在
調査頻度3年に1回程度5〜10年に1回
調査人数2人(ベテラン+新人)1人(新人のみ)のケースも
調査日数2日間1日のみのケースも
調査官の経験ベテランがリード入庁2〜3年目が単独担当も

2023年4月に行われた調査2件では、税務署に入って2年目・3年目の新人調査官が1人で来られるというパターンが実際に発生しました。これは今まではなかったことです。通常はOJTを兼ねて新人とベテランが2人でペアを組んでやってくる形だったのですが、最近は1人で来るのも当たり前になっています。

税務調査の現場では、知識だけではなく経験値が非常に重要です。どれだけ頭がよくても経験が少ないと「見るべきポイント」がずれてしまうことがあります。実際、4月の調査では全く異なる管轄内でこういったことが起こりました。

⚠️ 注意

「調査レベルが下がっているから脱税のチャンス」という考え方は絶対にNGです。しっかり真っ当な経理処理をすることが大前提です。また、今後は電子帳簿保存法の義務化やインボイス制度の普及により、AIを活用した税務調査が行われる可能性もあります。そうなると現在より格段に厳しい調査になる可能性があります。完全に安心するのではなく、油断しないようにしましょう。

📝 このセクションのまとめ

  • 税務調査の頻度は減少傾向(3年→5〜10年に1回)
  • 人手不足により新人調査官が1人で来るケースが増加
  • 調査人数・日数ともに減少している
  • 将来的なAI調査導入に備え、日頃から正確な経理処理が重要

税務調査で必ず聞かれること①:事業内容・売上・在庫

税務調査は通常午前10時からスタートし、初日の最初の約1時間を使って事業内容のヒアリングが行われます。調査官は皆さんの事業内容を事前には知りません。社長と顧問税理士・担当者に対して以下の内容を聞いてきます。

  • 商品・サービスの受注から納品までの流れ
  • その期間
  • 決済方法
  • 請求・回収の流れ

製造業・建設業・システム制作などの業種では「仕掛かり(未完成在庫)」が発生します。完成して納品していなければ、経費をかけて仕入れ代金や諸経費を払っていてもその期の経費に落とせないという厳しい取り扱いがあります。そのため、調査官は「だいたいの工期はどれくらいか」といった点を確認してきます。

また小売・卸売業でも在庫の計算根拠は必ず聞かれる定番項目です。仕入れた商品が売れれば売上原価として経費になりますが、残っていれば資産として翌期以降に繰り越されます。この在庫評価の根拠について詳しく確認されます。

税務調査で必ず聞かれること②:仕入先情報と反面調査

事業内容のヒアリングのついでに、仕入先との年間取引金額・仕入先の社名・所在地についても聞かれます。

📌 反面調査とは

皆さんが仕入先に支払った金額について、その仕入先がきちんと売上に計上して確定申告しているかどうかをチェックするために行われる調査です。皆さん自身に直接の害はありませんが、もし仕入先が脱税をしていれば、この調査でそれが明るみに出ることになります。

税務調査で必ず聞かれること③:社長の趣味・飲食代・車の使用状況

調査官は社長がどういうことにお金を使いたがっているか(お酒・車・服・ブランド品など)を探り、プライベートの支出が経費に混入していないかを確認します。

飲食代については、経費に落とせるものとそうでないものがあります。以下の表で整理します。

費目法人個人事業主注意点
自分1人の食事代基本アウト(役員賞与として源泉徴収対象になる可能性あり)基本アウトプライベート支出とみなされる
福利厚生費(従業員分)従業員がいればOK自分の分は否認。従業員分はOK個人事業主は自分の分を経費否認する必要あり
会議費(打ち合わせ)実際に会議していればOK実際に会議していればOK議事録がなくても会議内容を記録しておくことが望ましい
接待交際費年間800万円まで(超過分は損金不算入)範囲が狭いため要注意1人当たり5,000円以下なら800万枠外で制限なく経費計上可

📌 接待交際費の節税テクニック

建築業・不動産仲介などで接待交際費が年間800万円を超えるケースでは、1人当たり5,000円以下の飲食代は800万円の枠から外すことができます。制限なく経費計上が可能になるため、領収書に「誰と行ったか」を明記して1人当たりの金額を算定しておくことが節税につながります。

車については、価値が落ちない超高級車は業務に使っていても経費に落とせないルールがありますが、基本的には車種を問わず業務で使用しているのであれば減価償却として経費計上が可能です。

税務調査で必ず聞かれること④:名ばかり役員・外注費・修繕費

調査官が特に注目するポイントが3つあります。

【名ばかり役員・家族従業員の実態確認】

家族の名前だけを使って節税しようとするケースがあります。調査官は以下の点を確認します。

  • 役員の場合:本当に経営に関与しているか、会社にどれくらいの頻度で出てきているか
  • 家族従業員(一般社員)の場合:出勤簿があるかどうか

【外注費・支払手数料などの怪しい経費】

一番怪しい経費といえば外注費・支払手数料です。謎のコンサル費用が含まれているパターンが非常に多いです。特に他の経費が数十万円規模なのに、外注費や支払手数料だけ100万円単位でドーンと計上されていると、必ずここを突いてきます。

外注費などが経費として認められるかどうかのチェックポイントは以下の通りです。

  • 本当に実態があるか(架空経費でないか)
  • 支払先の社名・所在地を答えられるか
  • 接待交際費・寄付金・給与に該当しないか(何もしてもらっていないのにお金を払っていれば寄付金として経費計上不可)
  • 契約書があるか(あれば望ましい)
  • 金額の算定根拠があるか
  • 最終成果物(コンサルならプレゼン資料・文書など)があるか
  • 請求書があるか
  • 支払いの根拠(役員借入金などの不審な処理がないか)

⚠️ 注意

架空経費は脱税に当たります。実態のない外注費・コンサル費用を計上することは絶対にNGです。また、何もしてもらっていないのに他社にお金を払うと寄付金として扱われ、経費計上ができなくなります。

【修繕費の内容確認】

特に不動産賃貸業でよくある論点です。

工事の種類処理方法経費の落とし方
修繕(元に戻す)修繕費として計上全額その期に経費計上可能
改良(性能を高める)資本的支出として計上新たな資産として減価償却(ゆっくりしか落とせない)

税務調査で必ず聞かれること⑤:収入印紙(印紙税)の確認

最後に、事業取引で交付された契約書への収入印紙の貼付も確認されます。収入印紙(印紙税)は国税であるため、税務調査の対象になります。

法人への税務調査では、メインは法人税ですが、以下の国税も同時にチェックされます。

  • 消費税
  • 源泉所得税(社長の給与から徴収している所得税)
  • 印紙税(収入印紙)

📌 ポイント:住民税・事業税は対象外だが連動に注意

法人住民税・事業税・市町村税は税務調査の直接の対象外です。ただし、住民税の計算は法人税と連動し、個人の住民税・事業税も所得税と連動します。そのため、税務調査で経費を否認されると、法人税・消費税だけでなく住民税・事業税にも追加負担が発生することを覚えておきましょう。

📝 税務調査で必ず聞かれること:総まとめ

  • 事業内容・受注〜納品の流れ・決済方法
  • 売上計上のタイミング・在庫の計算根拠
  • 仕入先の社名・住所・年間取引金額(反面調査の準備)
  • 社長の趣味・飲食代の内容・車の使用状況
  • 名ばかり役員・家族従業員の実態
  • 外注費・支払手数料の実態と根拠書類
  • 修繕費の内容(修繕か改良か)
  • 契約書への収入印紙の貼付

新人調査官が来た場合は特に、税務当局内のマニュアルに沿って調査が進められる可能性が高いです。上記の項目はそのマニュアルに含まれている定番事項でもあるため、しっかり準備しておくことが重要です。

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
本サイトは 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士を応援しています!

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