税務調査で狙われやすい個人事業主の5つの特徴と対策を税理士が解説
税務調査は法人だけの話ではありません。個人事業主も狙われる5つの特徴を知っておきましょう。
個人事業主も税務調査の対象になる
税務調査というと法人が対象になるイメージがありますが、個人事業主に調査が入ることも当然あります。むしろ個人事業主のほうがミスや不正が多いという実態があります。
📌 ポイント
税務調査を受けた個人事業主のうち、申告内容が正しかったことを示す「是認」の割合はだいたい1割程度と言われています。つまり、税務調査を受けた個人事業主の大半は、申告内容に何らかの誤りがあった、もしくは不正があったということです。
それだけミスや不正が多いからこそ、税務調査が行われるのも当然といえます。以下では、税務調査で狙われやすい個人事業主の特徴と、実際に調査に入られた際の注意点を解説します。
📝 このセクションのまとめ
- 個人事業主も税務調査の対象になる
- 税務調査を受けた個人事業主の約9割は申告内容に何らかの問題があった
税務調査に入られやすい個人事業主の5つの特徴
一般的に、税務調査に入られやすい個人事業主には以下のような特徴があります。
- 税務申告をしていない
- 売上が1,000万円よりわずかに少ない状況が続いている
- 売上・収入・経費などの変動が多い
- 海外取引を行っている
- 新分野の事業を展開している
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
特徴①:税務申告をしていない(無申告)
税務署は開業届を提出した個人事業主の事業内容や経営状況を常にチェックしています。当然ながら、税務申告をしていなかったり、申告内容に問題があった場合は、税務調査に入られる可能性が高くなります。
「税務申告しなければ売上が税務署に伝わらないからバレないのでは」と思う方もいるかもしれません。しかし、税務申告をしていなくても、取引先の税務申告や税務調査によって取引があったことが判明してしまいます。
⚠️ 注意
取引した形跡があるにもかかわらず、その個人事業主から税務申告がなかった場合、当然税務調査が行われます。このように取引先の調査によって自分の税務申告の内容が調査されることを「反面調査」といいます。
また、国税庁は申告漏れが多い業種を毎年公表しています。令和3年度に申告漏れが多かった業種のランキングは以下のとおりです。
| 順位 | 業種 |
|---|---|
| 上位 | 経営コンサルタント |
| 上位 | システムエンジニア |
意外に思われるかもしれませんが、経営コンサルタントやシステムエンジニアが上位に挙がっています。このランキングに記載されている業種の個人事業主は、特に税務調査に入られる可能性が高いため、申告漏れがないよう注意が必要です。
📝 このセクションのまとめ
- 無申告でも取引先の調査(反面調査)によって発覚する
- 国税庁は申告漏れが多い業種を毎年公表しており、経営コンサルタント・システムエンジニアが上位
特徴②:売上が1,000万円をわずかに下回る状況が続いている
2年前の課税売上高が1,000万円を超えた場合、個人事業主であっても消費税を納税しなければなりません。逆に言うと、1,000万円を超えなければ消費税を納めなくてもよいというロジックがあります。
そのため、消費税の納税を避けようとして、売上を1,000万円以下で申告するというケースがあります。こういった場合、売上を過少に申告している可能性があるとして、税務調査が入りやすくなります。
⚠️ 注意
消費税は現在10%になっており、かなり大きな金額になります。しかし、不正は絶対に行ってはいけません。課税事業者になったからといって、売上をそのまま全額納めなければいけないわけではありません。1,000万円を超えたら潔く課税事業者になり、正しく節税を行うことが大切です。
📝 このセクションのまとめ
- 売上が毎年1,000万円をわずかに下回る状態は「意図的では」と疑われやすい
- 消費税逃れのための売上過少申告は不正。課税事業者になったうえで適切な節税を
特徴③:売上・収入・経費などの変動が多い
売上・収入・経費などの変動が多い場合も、税務調査に入られやすくなります。変動が多いということは、それだけ事業にさまざまな変化が起きているということを意味します。事業に変化があると、税務申告の内容に間違いが起きやすくなり、結果として申告漏れや修正申告の可能性も高まるためです。
また、経費の内容についても注意が必要です。特に疑われやすいのは以下のようなケースです。
- 接待交際費や旅費交通費が多く計上されている(特に不動産賃貸業など取引が少ない業種の場合)
- プライベートの飲み会や旅行が経費として計上されている可能性がある
- 仕入れが必要な業種なのに棚卸資産がない
- 業種と関係のない費用が極端に多かったり少なかったりする
⚠️ 注意
携帯電話の料金、接待交際費、旅行に関する費用は特に間違いが多い項目です。また、光熱費・家賃・車に関する費用も事業とプライベートの両方で使っているケースが多いため、支出がしっかりと分けられているかどうかも調査されます。
📝 このセクションのまとめ
- 事業内容が大きく変わった年は申告ミスが起きやすく調査対象になりやすい
- 接待交際費・旅費・光熱費・家賃・車などは事業とプライベートの区分けを明確に
- 業種と関係のない費用が極端に多い・少ない場合も要注意
特徴④:海外取引を行っている
近年はeコマースの発展により海外取引のハードルが下がり、海外投資をする人も増えています。その結果、海外取引を行う際の源泉所得税や消費税の取り扱いを正確に把握していないことによる申告ミスが増えているといわれています。
また、課税から逃れるために海外に資産を移したり、国外に会社を設立するケースもあることから、国税庁は海外取引を行っている事業者に対する調査を強化しています。
📌 ポイント
海外取引がある場合は、源泉所得税・消費税の取り扱いを正確に理解したうえで申告を行うことが重要です。悪意がなくても申告ミスが発生しやすい分野のため、税理士への相談を検討してください。
📝 このセクションのまとめ
- 海外取引は源泉所得税・消費税の取り扱いが複雑で申告ミスが起きやすい
- 国税庁は海外取引事業者への調査を強化している
特徴⑤:新分野の事業を展開している
新しいビジネスを展開している事業者も、税務調査に入られやすい傾向があります。具体的には以下のような事業が該当します。
- 民泊
- Uberのようなデリバリービジネス
- マッチングサービスなどのシェアリングエコノミー
- 仮想通貨・暗号資産
- 各種投資に関するビジネス
これらの新しい事業は、税務に関わる記録や解釈が難しく、課税対象の金額の扱いや範囲なども複雑なため、本人に悪意がなくても申告漏れやミスが発生しやすいという特徴があります。国税庁もこうした新分野への調査を強化しています。
📝 このセクションのまとめ
- 民泊・デリバリー・シェアリングエコノミー・仮想通貨などの新分野は税務処理が複雑
- 悪意がなくても申告漏れが起きやすいため、専門家への確認が重要
税務調査では何を確認されるのか
個人事業主の場合、税務調査で確認される事項は業種や規模によって多少異なりますが、ある程度確認される内容は決まっています。基本的には大きな金額の科目から確認し、その後小さな金額の科目を確認していくという流れになります。
特に調べられることが多いのは、プライベートの支出なのか事業に関連する支出なのかという区分けです。以下の項目は特に注意が必要です。
- 携帯電話の料金
- 接待交際費
- 旅行に関する費用
- 光熱費(家事按分が必要なもの)
- 家賃
- 車に関する費用
また、固定資産の購入についても確認されます。固定資産の購入は全額を経費にするのではなく、固定資産として計上しているかどうかを確認されます。
📝 このセクションのまとめ
- 金額の大きい科目から順に確認される
- 事業とプライベートの支出の区分けが最も重点的に調べられる
- 固定資産の計上方法も確認対象
税務調査の実際の流れ
税務調査の大まかな流れは以下のとおりです。
- 税務署から日程の連絡が来る
- 調査に必要な書類を用意する
- 税務調査の実施(通常2日間)
- 調査結果の通知(約1か月後)
基本的には税務調査が入るときは事前に税務署から連絡が来ます。そこで日程を調整し、こちらの都合の良い日程を伝えることができます。税務調査は2日間にわたって実施されることが多く、10時から17時の間に行われます。
日程が決まったら、調査に必要な書類を用意します。過去3年分程度の書類を確認されます。具体的に準備すべき書類は以下のとおりです。
| 書類の種類 | 備考 |
|---|---|
| 総勘定元帳(会計帳簿) | 必須・基本 |
| 源泉徴収簿 | 給与を支払っている場合 |
| 納品書 | 取引の裏付けとして |
| 領収書 | 経費の証明として |
| 請求書 | 売上・仕入れの証明として |
| 契約書 | 取引内容の確認として |
📌 ポイント
「出してください」と言われて出せなかった場合、それだけで疑いをかけられてしまいます。不要な疑いをかけられないためにも、書類はパッと出せる状態に整理しておくことが重要です。調査がスムーズに終わるかどうかは書類の準備状態にかかっています。
調査1日目の流れは、午前中に事業内容・取引先・経理の管理体制に関するヒアリングが行われます。「どんなビジネスをしているか」「どうやって売上を管理しているか」「誰が経理を担当しているか」といった内容が聞かれます。
午後はそのヒアリング内容をもとに書類を確認していきます。書類の中で違和感のある部分には付箋が貼られ、調査する内容が明確にされていきます。
2日目または1日目の終わり頃から、付箋が貼られた箇所について「もう少し詳しい書類を出してください」「これはどういう内容ですか」という事実確認のヒアリングが行われます。請求書・契約書・取引期間・納品日時など、裏付けを取るような質問が中心です。
その後、やり取りを経て調査結果が約1か月後に通知されます。調査内容に問題があれば、申告内容の修正や追加納税が求められることになります。
📝 このセクションのまとめ
- 税務調査は事前連絡あり。日程はこちらの都合を伝えられる
- 過去3年分の書類(総勘定元帳・領収書・請求書・契約書など)をすぐ出せる状態に
- 調査は通常2日間(10時〜17時)。結果通知は約1か月後
税務調査当日の注意点
税務調査当日の受け答えは、調査結果を大きく左右します。以下の点に注意してください。
📌 注意点①:焦らない・慌てない
その場で何とかうまく回答しなければという意識から、変に考えすぎてかえって余計なことを言ってしまうケースがあります。聞かれた内容に対して慌てて回答せず、「一度確認します」と持ち帰って税理士と相談してから後日連絡するという対応が賢明です。あまり多くの情報を渡さず、的確に答えることが大切です。
📌 注意点②:税理士に回答を任せる選択肢もある
場合によっては、ご自身では回答することを避けて、税理士だけに回答させるという方法もあります。税務調査官が法律上の用語を使って質問してくることもあります。専門的なやり取りが必要な場面では、税理士に任せるという選択肢を積極的に活用してください。
⚠️ 注意点③:絶対に嘘をつかない
これが最も重要な注意点です。税務調査における嘘は書類からバレます。一度嘘をついてしまうと「他にも不正をしているのではないか」という疑いをかけられ、さらに厳しく調査されてしまう可能性があります。嘘をつくくらいなら素直に認めたほうが得策です。
税務調査官に対してネガティブなイメージを持っている方も多いかもしれませんが、実際には高圧的な対応をしてくる調査官はほとんどいません。法律に基づいて正確に事実を確認したいという意思が強い方が多いです。
こちらも感情的に返すのではなく、法律に基づいて論理的に事実を伝えるという姿勢で臨むことで、調査もスムーズに進みやすくなります。
📝 このセクションのまとめ
- その場で焦って回答せず、持ち帰って税理士と確認してから回答する
- 専門的なやり取りは税理士に任せる選択肢もある
- 嘘は書類からバレる。素直に事実を伝えるほうが結果的に有利
- 税務調査官は事実を正確に確認したいのであり、敵ではない
終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル 社長の資産防衛チャンネル の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。本サイトは 社長の資産防衛チャンネルを応援しています!
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