税務調査

脱税の手口と発覚リスクを税理士が解説|経費水増しから棚卸改ざんまで

脱税の手口と発覚リスクを税理士が解説|経費水増しから棚卸改ざんまで
e_zeirishi

「バレなければいい」は通用しない。よくある脱税の手口と、税務調査で発覚するリスクを徹底解説します。

飲食店などの現金商売に多い「売上除外」の手口

単純な売上の除外というのは、飲食店などの現金商売でよく見られる手口です。例えば売上の伝票を手書きしているお店では、その伝票を捨ててしまい、「今日の売上は少なかった」と帳簿に記録しないケースがあります。

具体的には、深夜12時以降の営業を実際にはしているにもかかわらず、やっていなかったことにするといった形で、売上をごっそり抜いてしまうパターンです。

⚠️ 注意

税務調査では、調査官が事前に飲食店へ「下見」として実際に食事に来ることがあります。注文した料理(例:ラーメン・ライス・餃子)が全てレジに打ち込まれているかをチェックし、一品でも抜かれていれば「過去にもさかのぼって同様の処理をしていた」と判断される可能性があります。

また、給料に不満を持った従業員が退職後に税務署へリークするケースも実際に起きています。「あの店はこういう処理をしていますよ」と内部告発されることで、調査のきっかけになることがあるのです。

📝 このセクションのまとめ

  • 売上伝票を捨てて売上を少なく見せる行為は典型的な脱税手口
  • 税務調査官は事前に下見を行い、レジへの打ち込み状況を確認する
  • 従業員の内部告発が調査のきっかけになることも多い

架空外注費・親族への架空人件費という手口

実際には何も提供されていないにもかかわらず、支払ったように見せかける「架空外注費」も典型的な脱税手口の一つです。

これと近いパターンとして、勤務実態のない親族に対して給料を払い、経費を増やすというケースがあります。「扶養の範囲内で給料にしておけば大丈夫」と考えている経営者もいますが、そもそも勤務実態がなければ問題外です。

また、職務内容と報酬額のバランスが著しくおかしい場合も指摘されます。例えば、経理担当の社員が月給25万円であるにもかかわらず、同じ経理業務をしているとされる奥様に月200万円を支払っているケースは、税務調査で明らかに指摘される対象となります。

⚠️ 注意

「特殊関係人」(いわゆる愛人)を従業員として登録し、勤務実態がないにもかかわらず給料やお手当を人件費として計上しているケースも実際にあります。さらに、その方の住まいを社宅として処理するケースも。税務調査時に税理士や経理担当者にバレると、非常に気まずい状況になることは言うまでもありません。

📝 このセクションのまとめ

  • 架空外注費は実態のない支払いを経費に計上する行為
  • 勤務実態のない親族への給与は経費として認められない
  • 報酬額が業務内容に対して明らかに不釣り合いな場合も指摘対象になる

棚卸しの改ざんで利益を圧縮する手口

商品販売を行っている事業者では、「棚卸しの改ざん」による脱税も見られます。棚卸しは、売上に対応した売上原価を計算するために行うものです。1年間の売上を得るためにかかったコストを確定し、利益を把握するために欠かせない作業です。

棚卸しの改ざんが行われやすい理由は、自社内だけで完結できてしまうからです。年度末に「ちょっと改ざんしておこうか」という気軽さで実行されてしまうケースがあります。

📌 ポイント:棚卸し改ざんの仕組み

期末に実際は100ある在庫を80と少なく記録すると、売上原価が増えるため、見かけ上の利益が圧縮されます。これにより納税額を減らすことができますが、後々数字の辻褄が合わなくなり、不審点が出てきます。

この手口は「意外にバレやすい」のが特徴です。年をまたいで数字を追っていくと辻褄が合わなくなるため、税務調査官に不信感を持たれやすくなります。

📝 このセクションのまとめ

  • 棚卸し数量を少なく記録することで売上原価を増やし、利益を圧縮する手口
  • 自社内で完結できる手軽さから実行されやすいが、数字の辻褄が合わなくなりバレやすい

領収書にまつわる「ポップな」脱税の手口

ここからは、より身近で「ポップな」脱税の手口を見ていきます。

手口の種類具体的な内容発覚リスク
拾った領収書の流用他人の領収書を自社の経費として計上する高い
B勘(偽領収書の購入)闇業者から偽の領収書を購入して経費計上非常に高い(税務署が把握に注力)
空の領収書への記入飲食店などでもらった空白の領収書に自分で金額を記入高い(インクの違い・筆跡で発覚)
金額の改ざん「1万何千円」の「1」に書き足して「4万何千円」にする高い(インクの違い・筆跡で発覚)
Suicaチャージの不正計上交通費以外(タバコ・飲み物・コンビニ購入)もそのまま経費計上税務調査で最近よく指摘される
複数人分の領収書を一人で計上割り勘で5,000円を負担したのに5万円の領収書を全額経費計上高い
カードまとめ払いの不正計上複数人分をカードでまとめて払い、全額を自分の経費にする高い

B勘(ビーかん)とは、偽の領収書を販売している闇業者のことです。申告上に経費計上するための正規の領収書を「A勘定(A勘)」と呼ぶのに対し、不正の根拠とする偽の領収書を「B勘定(B勘)」と呼びます。税務署はこのB勘の把握に非常に力を入れているため、絶対に購入しないようにしてください。

領収書の金額改ざんについては、税務調査官は鋭く、インクの色の違いや筆跡の違いを確認することで改ざんを見抜きます。「1万何千円」の「1」にちょんちょんと書き足して「4万何千円」にするような古典的な手法も、調査官には簡単に見破られます。

また、Suicaなどの交通系ICカードのチャージを経費計上する際、交通費以外の用途(タバコ・飲み物・コンビニでの買い物など)も一緒に経費として処理してしまうケースが、最近の税務調査でよく指摘されるようになっています。「Suicaだからバレないだろう」という油断は禁物です。

⚠️ 注意

複数人で飲食した際に「領収書は自分が持っていくね」と全額分の領収書をもらい、実際には割り勘で自分が負担したのは一部だったとしても、全額を経費計上すれば脱税になります。カードでまとめて払って全額を自分の経費にするケースも同様です。

📝 このセクションのまとめ

  • B勘(偽領収書)の購入は税務署が把握に注力しており、絶対にNG
  • 領収書の金額改ざんはインクの違い・筆跡で調査官に見抜かれる
  • Suicaチャージの不正経費計上は最近の税務調査で頻繁に指摘される
  • 割り勘分を超えた領収書の経費計上も脱税にあたる

サラリーマンでも要注意!「損益通算」を悪用した脱税

脱税というと経営者がするイメージが強いかもしれませんが、給与所得者(サラリーマン)でも脱税は起きています。最近よく耳にするキーワードが「損益通算」です。

📌 損益通算とは

給与所得(黒字)と、事業所得や不動産所得などの赤字を相殺できる制度です。例えば副業や不動産投資で赤字が出た場合、その赤字を給与所得とぶつけることで、給与にかかった所得税を取り戻すことができます。

問題は、架空の副業を作り出し、意図的に事業所得を赤字に見せかけて損益通算を行うという不正です。実際には副業をしていないにもかかわらず、架空の経費を計上して赤字を作り、給与にかかった所得税を還付させようとするものです。

つい先日も、「納めすぎた税金を取り戻そう」というキャンペーンをSNSで全国の会社員に呼びかけていた、いわゆる「なんちゃってコンサルタント」が問題になりました。こうした誘いには絶対に乗らないようにしてください。

また、驚くべき事例として、東京国税局の職員がマンション投資の損益通算で経費を多く見せかけて税金を少なくしていたという報道もありました。税務の専門家でさえこうした行為をしてしまうことがあるということです。

📝 このセクションのまとめ

  • 損益通算は正当な税制度だが、架空の副業赤字を使った悪用は脱税
  • SNSで「税金を取り戻せる」と呼びかけるコンサルタントには要注意
  • 国税局職員でさえ不正を行ったケースがある

脱税がバレたらどうなる?重加算税と「第3グループ」指定のリスク

脱税が発覚した場合、通常の追徴課税に加えて重加算税というペナルティの対象になります。重加算税を受けると、国税のシステム(KSKシステム)内で評価ランクが付けられます。

📌 KSKシステムの評価グループ

国税庁のKSK(国税総合管理)システムでは、納税者に評価ランクが設定されています。重加算税を受けると「第3グループ」に該当します。これはいわば「悪い子」の評価であり、「過去に不正をしていたなら、また不正をしている可能性がある」として、繰り返し税務調査の対象になりやすくなります。

なお、追徴課税には種類があります。重加算税がつくケースもあれば、「見解の相違」として過少申告加算税などの別のペナルティで処理されるケースもあります。外部からは重加算税がついているかどうかは、報道が出ない限り基本的にはわかりません。

さらに、脱税が報道されたりネットに掲載されたりすると、金融機関との取引や従業員との関係が悪化することは明らかです。脱税を指南したコンサルタントは責任を取ってくれません。失うものが大きすぎるのです。

⚠️ 注意

税理士が脱税の手助け(脱税幇助)をすれば、税理士資格(ライセンス)をすぐに失います。実際にライセンスを失った税理士も多くいます。税理士はあくまで適正な申告・納税をサポートするためにライセンスを与えられているのです。

📝 このセクションのまとめ

  • 脱税が発覚すると重加算税が課され、KSKシステムで「第3グループ」に分類される
  • 第3グループになると繰り返し税務調査の対象になりやすい
  • 脱税の報道・ネット掲載により、金融機関や従業員との関係が悪化するリスクがある
  • 脱税を指南したコンサルタントは責任を取らない

「たまり」と脱税の末路:庭に埋めた現金の実話

税金を払わずにいると、本来納税に充てるべき財産がどこかに残ります。それが現金であったり、預金であったり、不動産であったり、高級車や高級腕時計であったりと、さまざまな形で残ります。こうした蓄積された財産のことを「たまり」と呼びます。

実際にあった事例として、庭に穴を掘って現金を埋めていた納税者がいました。しかし、ジップロックの封がしっかり閉まっていなかったため、現金がぶくぶくに膨れ上がってしまったというものです。河原に捨てられた漫画雑誌のように、1万円札が大量にぼろぼろになってしまっていたとのことです。

📌 ポイント

脱税で蓄えた「たまり」がどこに隠されているか、税務署はさまざまな調査手法で把握しようとします。国税局OBの税理士など、調査のプロが関与することで、隠し場所の「あるある」パターンも蓄積されています。

📝 このセクションのまとめ

  • 脱税で生まれた財産(たまり)は現金・預金・不動産・高級品などの形で残る
  • 隠し場所を工夫しても発覚するケースが後を絶たない
  • 長く経営を続けるコツは「適正な申告と適正な納税」

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士法人松本〜税金の裏のウラ〜 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
本サイトは 税理士法人松本〜税金の裏のウラ〜を応援しています!

関連記事

代表的な脱税の手口を税理士が解説|売上除外・経費水増しの実態と税務調査でバレる理由
AI税務調査の実態と対策を税理士が解説|狙われる申告書の特徴とは
税務調査で疑われる危険な経費8選|税理士が解説する脱税リスク
     

東京エリア

千代田・中央・港区から副都心各区まで、東京の優良税理士法人ランキング

関西エリア

大阪・京都・兵庫・岡山など関西圏の信頼できる税理士法人ランキング

関東エリア

首都圏の神奈川・埼玉・千葉・北関東で実績のある税理士法人ランキング

中部エリア

製造業の集積地、中部・北陸圏で企業支援に強い税理士法人ランキング

九州・沖縄

九州・沖縄地域で地域密着型サービスに定評のある税理士法人ランキング

その他地域

北海道・東北・中国・四国地方の地域に根ざした税理士法人ランキング

記事URLをコピーしました
税理士紹介はこちら
税理士紹介はこちら