確定申告後に届く納税通知書を税理士が解説|住民税・事業税・国保の計算方法と資金繰り対策

確定申告後に届く納税通知書を税理士が解説|住民税・事業税・国保の計算方法と資金繰り対策
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確定申告が終わっても、納税はそこからが本番です。住民税・事業税・国民健康保険料など、これから大量の納税通知書が届きます。

税金は所得税だけではありません。確定申告が終わって間もない時期に、さらにお金の話を考えなければならないのは辛いところですが、特に駆け出しの個人事業主・フリーランスの方は「お金がないし払えないかもしれない」という事態に陥りかねません。事前に対策が打てるよう、しっかり解説していきます。

確定申告後に届く「納税通知書」の全体像

確定申告が終わった後に届く納税通知書には、具体的に以下のものがあります。

  • 所得税の予定納税
  • 住民税
  • 事業税
  • 国民健康保険料
  • その他こまごまとした税金
  • 消費税課税事業者の方は消費税の中間納税

これらがあちこちからちょこちょこ届くようになります。下手をすると毎月税金を払っているような感覚になりかねません。顧問税理士がいる方はこれらの税額を教えてもらえるので心配は少ないですが、そうでない方はしっかり事前に金額を把握しておくことが重要です。

📌 ポイント

住民税・事業税はいずれも「賦課課税」です。確定申告の結果に基づいて自治体が自動的に計算し、通知書を送ってきます。自分で申告して納める所得税(申告納税)とは仕組みが異なります。

税目種類納付回数・時期
所得税の予定納税国税(申告納税)年2回(7月・11月)
住民税地方税(賦課課税)年4回(6月・8月・10月・1月 ※自治体により異なる)
事業税地方税(賦課課税)年2回(8月・11月)
国民健康保険料社会保険料通知は5月頃・6月以降に支払い
国民年金保険料社会保険料定額・約1万7,000円/月
消費税の中間納税国税(課税事業者のみ)前年の消費税額により異なる

📝 このセクションのまとめ

  • 確定申告後も住民税・事業税・国保など多数の納税通知書が届く
  • 住民税・事業税は賦課課税のため、自治体が自動計算して通知してくる
  • 消費税課税事業者は中間納税も加わり、毎月のように納税が続く場合がある

住民税の計算方法|課税所得の10%が目安

住民税の計算方法は所得税と非常によく似ています。売上から経費を引いて、さらに所得控除を引いた「課税所得」に税率をかけます。

所得税の税率は最低5%から最高45%の累進課税ですが、住民税は一律10%です(標準税率。自治体によって若干異なる場合があります)。

📌 住民税の計算式

(売上 − 必要経費)− 所得控除 = 課税所得
課税所得 × 10% = 住民税額(おおよその目安)

所得税と住民税の計算が完全に同じかというとそうではありません。最大の違いは所得控除の金額です。

控除の種類所得税住民税
基礎控除(一般的な場合)48万円43万円
医療費控除・生命保険料控除・配偶者控除など適用あり適用あり(金額が異なる場合あり)

所得控除の金額が所得税より少し小さいため、住民税の課税所得は所得税より若干大きくなります。ただし、確定申告書の「課税される所得金額」(30番の欄)に記載された数字に10%をかけると、住民税額の大まかな目安を把握できます。

たとえば課税所得が100万円であれば、住民税は約10万円前後が目安です。

📝 このセクションのまとめ

  • 住民税の税率は一律10%(標準税率)
  • 基礎控除は所得税48万円に対し、住民税は43万円と少ない
  • 確定申告書の課税所得に10%をかけると住民税のおおよその金額が把握できる

事業税の計算方法|事業主控除290万円を差し引いて5%

事業税は、すべての個人事業主にかかるわけではありません。売上から必要経費を引いた事業所得から、さらに「事業主控除」を引いた金額に税率をかけます。

📌 事業税の計算式

(売上 − 必要経費)− 事業主控除(年間290万円)= 課税標準
課税標準 × 税率(3〜5%)= 事業税額

※所得控除(医療費控除・生命保険料控除など)は引けません
※青色申告特別控除も事業税の計算では適用されません

項目内容
事業主控除年間290万円(年の途中で開業した場合は月割り)
税率(一般的な事業)5%
税率の範囲業種によって3〜5%
非課税の職種例作家・漫画家・音楽家など(自治体により取り扱いが異なる)

事業主控除は年間290万円ですが、年の途中で開業した場合は月割りになります。たとえば10月に開業して10月・11月・12月の3か月間だけ事業を行った場合は、290万円 × 3/12しか控除できません。

計算の具体例を見てみましょう。青色申告決算書の「所得金額」が627万円だったとします。事業税の計算では青色申告特別控除を引く前の金額を使うため、ここから事業主控除290万円を引いて5%をかけます。

計算ステップ金額
事業所得(青色申告特別控除前)627万円
事業主控除△290万円
課税標準337万円
税率× 5%
事業税額(概算)約16万8,500円

⚠️ 注意

事業税の計算では青色申告特別控除(最大65万円)は適用されません。所得税の確定申告書に記載された課税所得ではなく、青色申告決算書の所得金額(青色申告特別控除前)をベースに計算してください。また、不動産所得がある方は、事業的規模(5棟10室基準など)かどうかによって事業税がかかるかどうかが変わります。自治体によって取り扱いが異なる場合があるため、事前に確認することをお勧めします。

📝 このセクションのまとめ

  • 事業税は「事業所得 − 290万円(事業主控除)× 5%」が基本の計算式
  • 所得控除・青色申告特別控除は事業税の計算では使えない
  • 年の途中で開業した場合は事業主控除が月割りになる
  • 作家・漫画家・音楽家などは非課税となる場合がある

国民健康保険料の計算方法|所得控除がほぼ反映されない点に注意

国民健康保険料は税金ではありませんが、稼ぎが多ければ多いほど負担が重くなる大きな支出です。計算の仕組みが複雑なので、ポイントを整理します。

国民健康保険料は以下の3つの区分から構成されています(40歳以上の方は介護分も加わります)。

  • 医療分
  • 後期高齢者支援金分
  • 介護分(40歳以上の方のみ)

それぞれに「所得割額」(所得に応じた部分)「均等割額」(加入者の頭数に応じた部分)があり、これらを合計したものが保険料になります。

区分所得割率(例:東京都大田区)均等割額(例:東京都大田区)
医療分7.17%加入者1人あたり4万5,000円
後期高齢者支援金分2.42%(別途加算)
介護分(40歳以上)(別途加算)(別途加算)

所得割額の計算ベースとなる「算定基礎額」は次のように計算します。

📌 算定基礎額の計算式

総所得金額(事業所得など各所得の合計)− 43万円 = 算定基礎額

「総所得金額」とは、事業所得・給与所得・不動産所得など、売上から経費を引いた利益をすべて合算したものです。

⚠️ 注意:所得控除がほぼ反映されない

所得税・住民税の計算では医療費控除・生命保険料控除・配偶者控除などの所得控除が考慮されますが、国民健康保険料の計算では基礎控除(43万円)しか引けません。つまり、所得控除をいくら活用しても国民健康保険料にはほとんど影響しないということです。自治体によって計算方法は若干異なりますが、ほぼ同様の取り扱いです。

ざっくり言えば、総所得金額から43万円を引いた金額の約12%に均等割額を加えたものが国民健康保険料の目安です。積み重ねると結構大きな金額になります。

ただし、年間の保険料には上限(世帯限度額)が設けられています。

項目金額
年間の世帯限度額104万円
月換算9万円

この上限額は年々引き上げられており、財政状態の悪い市区町村では高くなる傾向があります。そのため、国民健康保険料の負担を軽減するためにマイクロ法人スキームなどの対策を検討する個人事業主の方が増えています。

📝 このセクションのまとめ

  • 国民健康保険料は「医療分・後期高齢者支援金分・介護分(40歳以上)」の合計
  • 計算のベースは「総所得金額 − 43万円」で、所得控除はほぼ反映されない
  • 年間の上限額は104万円(月約9万円)で、年々引き上げられている
  • 負担が重い場合はマイクロ法人スキームなどの対策を検討する価値がある

お得な納税方法|スマホアプリ納税+ポイント活用術

税金の納付方法にはいくつかの選択肢があります。それぞれの特徴を整理しましょう。

納付方法手数料ポイント還元対象
金融機関窓口(現金)なしなし国税・地方税
振替納税(自動引き落とし)なしなし国税・地方税
クレジットカード納税0.8%カードによる国税・地方税
スマホアプリ納税(PayPayなど)なし工夫次第で3%も可能国税のみ

国税(所得税・消費税など)については、スマホアプリ納税がおすすめです。クレジットカード納税と違って手数料がかからないため、工夫することでポイントを丸ごと得することができます。

具体的なお得な納税方法として、以下のような手順が紹介されています。

  1. マリオットボンヴォイ・アメリカン・エクスプレス・プレミアムカード(通称:本気アメックス)などのカードを使ってAmazonのサイトでAmazonギフト券を購入する
  2. 購入したAmazonギフト券をAmazon Payにチャージする
  3. スマホアプリ納税のサイトでAmazon Payを使って納税する

📌 この方法のメリット

現在のルール上、対象カードでAmazon Payを購入すると約3%のポイントが付与されます。スマホアプリ納税には手数料がかからないため、3%分のポイントがそのままお得になります。納税額が大きければ大きいほど、得られるポイントも増えます。

⚠️ 注意:ポイントの課税関係

得られたポイントやマイルをプライベートで使用すると、課税対象になる可能性があります。事業の経費に充当する形で使用することが最もお勧めの活用方法です。

地方税(住民税・事業税など)については、残念ながらスマホアプリ納税が使えません。クレジットカード納税を利用する場合は約0.8%の手数料がかかるため、それを上回るポイント還元率のカードを選ぶ必要があります。現時点では、マイレージプラスJCBカードなどで最大1.5%還元(ユナイテッド航空マイル、ANAマイルへの移行も可能)という選択肢があります。自治体によってクレジットカード納税が使えるかどうかも異なるため、事前に確認してください。

📝 このセクションのまとめ

  • 国税はスマホアプリ納税+Amazon Pay活用で手数料ゼロ・約3%ポイント還元が狙える
  • 地方税はクレジットカード納税(手数料約0.8%)のため、還元率がそれを上回るカードを選ぶ
  • 得たポイント・マイルは事業経費に充当するのがベスト

年間納税スケジュールを作って資金繰りに先手を打とう

納税額を把握したら、次にやるべきことは年間の納税スケジュール表を作成することです。資金繰りは事業の命です。いつ・いくらの税金が来るのかを事前に把握しておくことで、慌てずに準備できます。

時期税目・保険料備考
5月頃国民健康保険料の通知6月以降に支払い開始
6月住民税(第1期)・国民健康保険料(第1期)
7月所得税の予定納税(第1期)前年の所得税が約15万円以上の場合に発生
8月住民税(第2期)・事業税(第1期)・国民健康保険料
10月住民税(第3期)・国民健康保険料
11月所得税の予定納税(第2期)・事業税(第2期)・国民健康保険料
1月住民税(第4期)・国民健康保険料
毎月国民年金保険料定額・約1万7,000円

消費税の課税事業者の方は、この表に消費税の中間納税も加えてください。

所得税の予定納税について補足します。前年の所得税がざっくり15万円以上の場合に発生する制度で、前年の所得税の1/3ずつを7月と11月に前払いします。

📌 業績が悪化した場合は「減額承認申請」を活用しよう

予定納税額が大きいのに今年の業績が不振で資金繰りが苦しい場合は、減額承認申請という制度を利用できます。今年の業績に基づいた予定納税額に減額してもらう(業績が悪ければ0円にすることも可能)制度です。消費税の中間納税にも同様の仕組みがあります。

📝 このセクションのまとめ

  • 年間納税スケジュール表を作成し、いつ・いくらの納税が来るかを事前に把握する
  • 所得税の予定納税は前年の所得税が約15万円以上の場合に7月・11月に発生する
  • 業績が悪化した場合は減額承認申請で予定納税額を減らすことができる
  • 消費税課税事業者は中間納税も含めてスケジュールを組む

税負担が重すぎる場合は法人化も視野に

納税というのは確定申告で全て終わりではありません。ここからがスタートです。これから所得税の予定納税・住民税・事業税・国民健康保険料などの通知が次々と届きますので、資金繰りに先手を打てるよう、まずは自分の税額がいくらになるのかをしっかり把握しておきましょう。

顧問税理士がいる方は税額を教えてもらえるはずです。もし聞いていない場合は、積極的に確認してみてください。

⚠️ 税負担が大きすぎると感じたら

住民税・事業税・国民健康保険料を合計すると、想像以上に大きな金額になることがあります。税負担が重すぎて事業継続が難しいと感じる場合は、法人化(会社設立)を検討するタイミングかもしれません。法人化することで、国民健康保険料の負担を大幅に軽減できるケースがあります。

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
本サイトは 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士を応援しています!

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