確定申告後に届く納税通知書ラッシュを税理士が解説|資金ショートを防ぐ3つの対策
確定申告が終わってもまだ安心できない。夏以降に届く納税通知書ラッシュの正体と対策を解説します。
確定申告後こそが「本当の納税の始まり」
確定申告が無事に終わって、ほっと一息ついている個人事業主・フリーランスの方も多いでしょう。しかし、油断は禁物です。実は確定申告の後からこそが、本当の納税との戦いが始まります。
これから納税通知書のラッシュが始まり、いろいろな書類が次々と届きます。特にたくさん利益が出て所得税をたくさん納めたという方は、資金ショートのリスクがあるため、ぜひ注意していただきたいです。
📌 今日のテーマ:資金ショートを防ぐ3つの対策
- どんな税金がいくら来るのか「敵を知る」
- 日頃からの早期の節税対策
- 節税対策のための月次決算
消費税を納めている方には、消費税の中間納税もあります。これらが一度に来ると、資金繰りが一気に苦しくなる可能性があります。しかし、対策があるので安心してください。
📝 このセクションのまとめ
- 確定申告後も住民税・国保・予定納税・事業税などの通知が続く
- 特に利益が多かった年は通知額が大きくなるため注意が必要
- 「敵を知る→節税対策→月次決算」の3ステップで備えることが重要
予定納税とは?7月・11月に所得税の前払いが発生する仕組み
まず、個人の税金の納税といえば所得税です。確定申告では、売上から経費を引き、所得控除(医療費控除・配偶者控除など)を引いた後に所得税率をかけて計算します。所得税率は最低5%から最高45%の累進課税で、課税所得が上がれば上がるほど税負担も増えます。
所得税をある程度納めた方には、夏と冬に予定納税という制度が待っています。前年(令和6年分)の所得税が年間15万円以上の方は、自動的に次の確定申告の前払いをしなければなりません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 通知時期 | 6月15日頃までに税務署から書面通知 |
| 納付額 | 前年所得税の1/3ずつ×2回 |
| 第1期納付期限 | 7月1日〜31日 |
| 第2期納付期限 | 11月1日〜30日 |
| 対象者 | 前年の所得税が年間15万円以上の方 |
例えば前年の所得税がちょうど15万円の方であれば、7月に5万円・11月に5万円を前払いするイメージです。この予定納税は次の確定申告の前払いなので、次回の確定申告時に差し引いてもらえます。
⚠️ 注意
予定納税をスルー・忘れてしまうとペナルティが発生します。必ず期限内に納付してください。
「去年は良かったけど今年は業績が悪くてお金がない」という場合は、減額承認申請という制度があります。廃業・休業・災害などで業績が悪化している方は、事前に申請することで納税額を減らす、あるいはゼロにすることができます。申請期限は第1期が7月15日まで・第2期が11月15日までです。
📝 このセクションのまとめ
- 前年の所得税が15万円以上なら予定納税が発生(7月・11月の2回払い)
- 予定納税は次の確定申告の前払いであり、後で精算される
- 業績悪化時は減額承認申請で納税額を減らせる
6月に突然届く住民税と国民健康保険料の恐怖
住民税は前年の所得に基づいて税額が決まります。令和6年分の所得に対して確定申告をした結果をもとに、5月〜6月頃に自宅に通知が届きます。去年儲かった方は住民税の額が相当大きくなっているため、注意が必要です。
住民税の計算方法は所得税とほぼ同じ構造です。売上から経費を引き、控除を引いて税率をかけます。ただし、住民税率は一律10%です。また、所得控除の額が所得税と少し異なります。
| 控除の種類 | 所得税 | 住民税 |
|---|---|---|
| 基礎控除 | 58万円(改正後・高所得者を除く) | 43万円 |
| 税率 | 5%〜45%(累進課税) | 一律10% |
今回の税制改正で所得税の基礎控除は(人によりますが)部分的に引き上げられましたが、住民税の基礎控除は据え置きのままです。住民税は賦課課税方式で、確定申告の情報が税務署から自治体に共有され、自治体側で計算して通知が届きます。
支払いは自治体によって異なりますが、6月・8月・10月・1月の4分割払いが一般的です。会社員であれば毎月給与から天引き(特別徴収)されるため1回あたりの金額は少ないですが、個人事業主・フリーランスは4分割なので1回あたりの金額がかなり大きくなります。
国民健康保険料は年間96万円超えも!計算方法を大阪市の例で解説
国民健康保険料も前年の所得に基づいて決まります。これは税金ではありませんが、住民税と同じような計算構造を取っているため、セットで把握しておく必要があります。去年儲かった方はこの保険料の額もかなり大きくなります。
国民健康保険料は自治体によって計算方法や料率が異なりますが、大阪市を例に解説します。保険料は以下の3つの枠で計算して合算します。
| 区分 | 対象者 | 上限額 |
|---|---|---|
| 医療分保険料 | 全員 | 65万円 |
| 後期高齢者支援分 | 全員 | 22万円 |
| 介護保険料 | 40歳以上 | 17万円 |
医療分保険料の計算式(大阪市の例)を示すと以下のとおりです。
- 1世帯あたり定額:3万4,803円
- 被保険者1人あたり:3万540円
- 所得割:算定基礎所得金額(住民税計算上の所得から基礎控除43万円を引いた額)× 9.56%
重要なのは、国民健康保険料の計算では配偶者控除や医療費控除などの所得控除が加算されない点です。住民税の計算より所得が高くなりやすく、保険料も跳ね上がります。
📌 シミュレーション:住民税計算上の所得が500万円の場合(大阪市)
国民健康保険料の年間合計:約96万9,620円
月額換算:約8万円超
そんなに高額所得者でなくても、これだけの保険料がかかります。
国民健康保険料がこれほど高い背景には、高所得者が医師国保・税理士国保・健康保険組合などの別の保険制度に加入しているため、国民健康保険の財政が悪化しているという事情があります。また、臨時的な収入があれば所得が上がり、国保も連動して上がる仕組みになっています。少し稼ぎが上振れするとドカンと保険料が上がるため、マイクロ法人を作ってこの保険料を抑えようとする方が出るのもやむを得ないことだと言えます。
📝 このセクションのまとめ
- 住民税は一律10%・前年所得ベースで6月頃通知、4分割払い
- 国民健康保険料も前年所得ベースで決まり、所得500万円で年間約97万円になることも
- 国保の計算では配偶者控除・医療費控除などが反映されないため注意
- 住民税・国保は基本的に誰も逃れられないため、必ず事前に試算しておくこと
事業税の仕組みと対象業種・納付時期
事業税は一部の方にかかる税金です。計算方法は売上から必要経費を引き、事業主控除(年間290万円)を引いた後に税率をかけます。一般的な事業の方には5%の税率が適用されることが多いです。
確定申告書の青色申告決算書にある数字(青色申告特別控除を引く前の数字)をベースに計算します。例えばその数字が627万2,790円であれば、そこから290万円を引いた額に税率をかけます。
📌 事業税が非課税になる業種(自治体によって異なる)
- 作家・漫画家・音楽家などのクリエイター系
- YouTuber(自治体によって課税・非課税が異なるため要確認)
自治体に直接確認することをおすすめします。
不動産オーナーの場合、小規模な不動産賃貸(例:一戸建て1件のみ)であれば事業税はかかりません。目安として5棟10室基準があり、一戸建てなら5棟以上・アパートやマンションなら10室以上を経営していれば「事業的規模」とみなされ、事業税の対象になります。
| 税金の種類 | 納付時期 | 回数 |
|---|---|---|
| 予定納税(所得税) | 7月・11月 | 2回 |
| 住民税 | 6月・8月・10月・1月 | 4回 |
| 事業税 | 8月・11月 | 2回 |
こうして並べてみると、ほぼ毎月何らかの税金を払っているような状況になります。所得税・住民税・事業税の各税額は、確定申告書や青色申告決算書・収支内訳書をもとに試算することができます。大変ですが、ぜひ一度試算してみましょう。
📝 このセクションのまとめ
- 事業税は売上-必要経費-事業主控除290万円×税率(一般5%)で計算
- 作家・漫画家・音楽家・YouTuberなどは非課税になる場合があるが自治体に要確認
- 不動産賃貸は5棟10室以上の事業的規模で事業税が課される
- 8月・11月の2回払い(賦課課税・通知書が自宅に届く)
今すぐやるべき節税対策6選
来年の確定申告で泣かないために、今から節税対策を始めましょう。定番の節税対策を以下にまとめます。特に小規模企業共済・iDeCo・青色申告は年末の駆け込みでは間に合わないため、今すぐ着手することが重要です。
| 節税対策 | 概要 | ポイント |
|---|---|---|
| 小規模企業共済 | 個人の退職積立制度。掛金が全額控除 | 個人事業主・フリーランス向け節税ナンバーワン。iDeCoより優先を推奨 |
| iDeCo(個人型確定拠出年金) | 自ら投資先を選んで運用。掛金が全額控除 | 法改正でフリーランスの掛金上限が月6万8,000円→7万5,000円に引き上げ |
| 青色申告特別控除 | 帳簿を備えることで最大65万円の控除 | 電子申告+複式簿記で65万円。所得税・住民税合わせて最低15%の節税効果 |
| ふるさと納税 | 住民税額に応じた枠内で寄付し返礼品を受け取る | 個人事業主は業績変動があるため月次決算で枠を把握することが重要 |
| 少額減価償却資産の特例 | 30万円未満の備品を一括で経費計上 | 年間300万円の枠内で使用可能(青色申告者のみ) |
| 法人化 | 法人税率(25〜32%)への切り替え | 事業所得が1,500万円超など利益が安定して出ている方は検討の価値あり |
📌 青色申告特別控除の節税効果
- PLのみ作成(簡易簿記):10万円の控除
- PL・BS両方作成(複式簿記):55万円の控除
- 複式簿記+電子申告:65万円の控除
所得税・住民税を合わせた最低税率15%で計算しても、65万円×15%=約10万円の節税になります。
⚠️ 注意:青色申告には事前申請が必要
青色申告を適用するには、申告する年の3月15日まで(年の途中に開業した場合は開業から2ヶ月以内)に青色申告承認申請書を提出する必要があります。忘れずに手続きしてください。
法人化については、役員報酬・生命保険・旅費日当などさまざまな節税策が使えるメリットがあります。一方で、社会保険の強制加入や(合同会社の場合)代表者住所が非公示にできないといったデメリットもあります。トータルで考えて判断しましょう。実際に、事業所得が1,500万円超の個人事業主の方が相談に来られたケースでは、急いで法人化することをすすめた事例もあります。
📝 このセクションのまとめ
- 個人事業主・フリーランスの節税は小規模企業共済→iDeCoの順で優先
- 青色申告特別控除(最大65万円)は事前申請が必要なため今すぐ確認
- ふるさと納税の枠は月次決算で業績を把握してから判断する
- 利益が安定して出ている方は法人化も選択肢に
節税対策の精度を上げる「月次決算」のすすめ
「どれくらい節税すればいいのかわからない」という方に必要なのが、月次決算です。どんぶり勘定のままでは、適切な節税対策を取ることはできません。
月次決算を行うメリットは以下のとおりです。
- 確定申告直前に慌てなくて済む
- 業績予測をもとに資金繰り対策ができる
- 納税予測がしやすくなる
- 「税金がこれくらいかかるなら、この経費を使おう」という早期の節税対策が実現できる
- 融資審査における印象が良くなる
月次決算は直接収益を生み出すものではありませんが、やらないよりはやった方が確実に経営の安定につながります。
📌 月次決算に使う会計ソフトの選び方
- 売上が数百万円・青色申告10万円控除までの方:会計ソフトなしでも対応可能。確定申告特化型の「タックスナップ」がおすすめ
- 売上が1,000万円を超えている・55万〜65万円控除を狙う方:「マネーフォワード」「freee」「弥生会計」などの会計ソフトが必須
📝 このセクションのまとめ
- 月次決算で業績・納税額を把握することが節税対策の精度を高める
- ふるさと納税の枠計算や経費の使いどころも月次決算があってこそ判断できる
- 売上規模に合った会計ソフトを選んで使い慣れることが大切
まとめ:今の行動が資金繰りの余裕を決める
確定申告が終わってほっとしているところ申し訳ないですが、本当の納税との戦いはこれからです。6月・7月・8月・11月と、さまざまな通知が次々と届きます。
資金繰りで苦しむか、余裕を持てるかは今この時点の行動で決まります。まずは各税金の正体を明らかにし、いつ頃どんな税金がいくらかかるのかを一覧表にして把握するところから始めてみましょう。
| 税金・保険料 | 納付時期 | 対象者 |
|---|---|---|
| 予定納税(所得税) | 7月・11月 | 前年所得税15万円以上の方 |
| 住民税 | 6月・8月・10月・1月 | 全員(個人事業主は4分割払い) |
| 国民健康保険料 | 自治体により異なる | 国保加入者(所得に連動して高額になる) |
| 事業税 | 8月・11月 | 特定業種の個人事業主(事業主控除290万円超の方) |
| 消費税中間納税 | 年1〜11回(前年納税額による) | 消費税の課税事業者 |
📌 資金ショートを防ぐ3つの対策(再掲)
- 敵を知る:どんな税金がいつ・いくら来るのかを試算して一覧化する
- 早期の節税対策:小規模企業共済・iDeCo・青色申告などを今すぐ始める
- 月次決算:数字を毎月把握して、納税予測と節税対策の精度を上げる
終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。 本サイトは 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士を応援しています!
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