税務署の回答は正しいとは限らない!経費否認リスクと事前照会制度を税理士が解説
税務署に電話して「経費にできる」と回答をもらっても、後日の税務調査で経費を否認されることがあります。税理士業界では常識のこの事実を、知らずにいると思わぬペナルティを受けるリスクがあります。
今日の結論:税務署の回答は100%正しいとは限らない
電話などで問い合わせた税務署の回答、これは100%正しいとは限りません。これが今日の結論です。税理士にとっては常識なのですが、一般の方はほとんど知らないのが現状です。
⚠️ 注意
「税務署に電話して確認したからOK」という認識は危険です。電話相談での回答は法的な拘束力を持たず、後日の税務調査で覆されることがあります。
先日、YouTubeに次のようなコメントをいただきました。接待交際費など飲食代に関する経費についての解説動画に対して、「個人事業主が一人でカフェで仕事や仕事関係の勉強をする場合、経費になるといろいろなサイトに載っており、税理士の方から確認したこともありますが、見解が違うのでしょうか。またカフェでいいのだから、夜のバーやパブのようなところでお酒を飲みながら仕事の勉強をするためなら良い気がするのですが、これはグレーなのかブラックなのかホワイトなのかどうでしょう」というものでした。
この見解としては、一人でお酒を飲みながらの「勉強」を経費にするのは、完全に黒よりのグレーという判断です。親切な視聴者の方が「それは経費にならないよ」とコメントしてくださり、同様の回答をしたところ、さらに追加のコメントをいただきました。
「国税局電話相談センターに電話して国税局の職員に聞いたところOKと言われました。一人でカフェで仕事関連の勉強、飲食代を会議費にして良いかという聞き方で、国税局の方がOKというならヒロさんの説明が誤っている、NGにならないものをNGと伝えていることになります。もし疑うならば国税局電話相談センターに電話して同じように聞いてみてください」というコメントです。
この回答に対しても、やはり「その国税局電話相談センターの回答は正しいとは限りません」という立場は変わりません。金額が小さいということでたまたま無理やりOKと言われたのか、あるいはその視聴者さんが拡大解釈をされた可能性もありますし、そもそも全ての事実が伝わっていない可能性もあります。
📌 ポイント
正直、プロに対して「間違いだ」と言われると最初はイラッとするかもしれません。しかし、税理士業界の常識は一般業界の非常識かもしれません。この「税務署に対する事前照会」について、おそらくほとんどの方がご存知でないと思います。
📝 このセクションのまとめ
- 税務署への電話回答は100%正しいとは限らない
- 電話相談での回答は法的拘束力を持たず、税務調査で覆されることがある
- 一人での飲食代を経費にする行為は「黒よりのグレー」と判断される
税務判断に迷ったときの3つの相談手段
顧問税理士がいらっしゃらない方が、税務判断に迷ったとき、「この領収書・この支払いが経費に落ちるかどうかわからない」という場合の解決手段としての選択肢は3つあります。
- 国税局電話相談センターに問い合わせをする
- 税務署に事前予約をして個別照会をする
- 事前照会に対する文書回答手続きをする
| 相談方法 | 対象者 | 信頼性・拘束力 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| ①国税局電話相談センター | 一般向け | 低い(気休め程度) | 申告書の記載方法など一般的な質問 |
| ②税務署への個別照会 | 個人・法人 | やや低い(記録が残らないことが多い) | 事実関係を全て開示した上での相談 |
| ③文書回答手続き | 個人・法人 | 高い(公表される) | 高額取引の税務上の取り扱い確認 |
今回の動画では、この②番と③番について詳しく解説していきます。
📝 このセクションのまとめ
- 相談手段は電話・個別照会・文書回答の3種類
- 電話相談は一般向けで気休め程度に捉えるのが適切
- 正確な判断を得たいなら②か③を選ぶ必要がある
②税務署への個別照会:事実関係の全開示が必要だが記録が残らない
税務署に事前予約をして行う個別照会は、口頭での相談です。ただし、事実関係を全て開示する必要があります。事実を全てさらけ出すことに抵抗がある人も多いかと思います。
⚠️ 注意
税務署に事前照会した履歴は残りますが、相談内容や回答内容の記録が残らないことが多いのが実態です。後日税務調査で指摘された際に、「あのとき相談してOKをもらった」と主張しても、税務当局側がその指導を認めないケースもあります。
国税局電話相談センターに比べると、事実関係も全て開示することになりますので、より正確な回答が得られるかもしれません。しかし、この回答を全面的に信頼して申告作業を行うことはできません。やはりこれも気休めに過ぎないという位置づけです。
📝 このセクションのまとめ
- 個別照会は事実関係の全開示が前提
- 相談・回答内容の記録が残らないことが多い
- 後日の税務調査で「OKをもらった」という主張が通らないケースがある
③文書回答手続き:最も確実だが手間とデメリットが多い
経費に落とせるかどうかをはっきりさせた上で申告したいという方には、事前照会に対する文書回答手続きがあります。この文書回答事例は、国税庁のホームページから誰でも閲覧することが可能です。ぜひ一度覗いてみてください。
しかし、この制度にはさまざまなデメリットがあります。周りの税理士でもこれを使ったという方はほとんどいませんし、実際に使ったことも一度もありません。
詳細を見ていきましょう。文書回答手続きには以下の特徴・制約があります。
- 事実関係を全て開示する必要がある(口頭相談と異なりより厳密)
- 申告期限前のものに限る(すでに提出した申告書については対象外)
- 提出書類が非常に多く、手間と時間がかかる
- 回答まで約3ヶ月かかる(不足資料の追加提出を求められるとさらに長くなる)
- 仮定に基づく質問はNG(実際に取引した事実に基づいた質問のみ)
- 経費の金額の妥当性や不動産評価額などの評価・金額に関する質問はNG
- 質問と回答の内容は国税庁ホームページで公表される(氏名等は非公表)
提出が必要な書類の種類は次のとおりです。
| 書類 | 内容 |
|---|---|
| 別紙1(照会書本体) | 法令解釈・適用上の疑義の要約、照会者が求める見解の内容 |
| 別紙1-2 | 事前照会に係る取引等の事実関係 |
| 別紙1-3 | 事実関係に対して照会者が求める見解となる理由 |
| チェックシート | 提出書類の確認用 |
📌 ポイント
文書回答手続きは、質問と回答の内容が国税庁ホームページに事例として掲載されます。氏名等に関しては公表されませんので、その点はご安心ください。
📝 このセクションのまとめ
- 文書回答手続きは最も確実な照会方法だが、手続きが煩雑
- 回答まで約3ヶ月以上かかる
- 申告期限前・実際の取引に基づくものに限定される
- 質問と回答内容は国税庁ホームページで公表される(氏名は非公表)
どの相談方法を選んでも手間がかかる。では実際にどう考えればいいか?
どの相談方法を取ったとしても、やはりデメリットや手間がかかって大変です。では、実際にどのように考えたらいいのでしょうか。
まず最初に考えていただきたいのは、信頼できる顧問税理士に相談するということです。これから顧問税理士を探そうという方は、このような場合にも親身に相談に乗ってもらえるような税理士探しを心がけましょう。
では、顧問税理士がいない方はどうすればいいのでしょうか。文書による事前照会も、よほど金額が大きな取引でない限りは使いにくいと思います。
📌 ポイント:文書回答手続きが有効なケース
何百万円もするような経費を支払って、それが経費に落とせるかどうかによって今後の資金繰り計画が大きく変わってくる、このような場合以外は非常に使いにくい制度です。
大事なのは、その経費に落とせるかどうかについて、ある程度まっとうな判断ができるよう自分自身で理論武装することです。その上で、次の2つの方針のどちらかを選ぶことになります。
| 申告スタンス | 内容 | 前提条件 |
|---|---|---|
| 強気の申告 | 経費の妥当性に自信があれば、万が一税務調査でペナルティを受ける覚悟をした上で申告する | 経費の正当性について自分なりの根拠を持てること |
| 保守的な申告 | 無理なことはしたくないと判断し、その部分を経費計上しない | ペナルティリスクを避けたい場合 |
なお、税務調査は全ての事業所に入るわけではありません。3年に1回入るという事業所もあれば、10年・20年来ないという事業所もあります。さらに、税務調査に入られたとしても、その項目についてチェックがなされるかどうかもわかりません。そういったところを総合的に判断していただければと思います。
⚠️ 注意
「税務調査が来ないから大丈夫」という考えは危険です。あくまでも経費計上の正当性について自分なりの根拠を持った上で、申告スタンスを決めることが重要です。
📝 このセクションのまとめ
- まず信頼できる顧問税理士への相談が最善
- 文書回答手続きは高額取引(数百万円規模)でない限り現実的でない
- 自分で理論武装した上で「強気の申告」か「保守的な申告」かを選ぶ
- 税務調査は全事業所に入るわけではなく、頻度もまちまち
終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。本サイトは 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士を応援しています!
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