税務署からの「お尋ね」を無視すべきケースと絶対答えるべきケースを税理士が解説
税務署からの「お尋ね」はコロナ後に急増。無視すべきケースと答えるべきケースを、税務の裏側から徹底解説します。
税務署からの「お尋ね」とは何か?急増している実態
「○○についてのお尋ね」というタイトルの文書が税務署から届いたことはありますか?大体2〜3週間以内に返事をするよう求めてくるこの書類、多くの方がビビってしまうと思います。これが「お尋ね」と呼ばれるもので、電話で来ることもありますが、多くは文書で届きます。
このお尋ねが、コロナ後に急激に増えています。実際の数字を見てみましょう。
| 種別 | 令和5年度 件数 |
|---|---|
| 税務調査(所得税) | 約4万7,000件 |
| お尋ね(所得税) | 約55万件 |
| 相続税のお尋ね(令和元年比) | 2倍以上に増加 |
税務調査が年間4万7,000件であるのに対して、お尋ねは55万件と、実に税務調査の10倍以上が皆さんのもとに届いています。また相続税のお尋ねは令和元年と比べて2倍以上に増えています。
📌 ポイント
税務署はより効率的に不正を見つけようとしており、その手段として「お尋ね」を大量に活用しています。税務調査に移行する前の「スクリーニング」的な役割を担っています。
📝 このセクションのまとめ
- 「お尋ね」は「○○についてのお尋ね」というタイトルの文書で届く
- 所得税のお尋ねは年間55万件と税務調査の10倍以上
- 相続税のお尋ねは令和元年比で2倍以上に急増
お尋ねは法的拘束力がない?「無視できる」という根拠
お尋ねは、あくまでも税務署からの行政指導の一環です。法的な強制力はなく、回答義務もありません。だからこそ「無視してもいいんじゃないか」という話が出てくるわけです。
実際、経営者向けの雑誌に掲載されていたある国税OBの税理士の意見として、次のような見解があります。
- 税務署はお尋ねの文書を大量に配布しており、回答状況を正確に管理しているとは思えない
- 回答することでかえって目立ってしまい、税務調査に移行する可能性がある
- 回答しなかったからといって必ず2通目・3通目が来るわけではない
また、税務署の内部組織についても重要なポイントがあります。別の国税OBから聞いた話によると、税務署には法人課税・資産課税・個人課税それぞれの部門があり、さらに第1部門(内部事務担当)と第2部門以降(税務調査担当)に分かれています。
📌 ポイント
お尋ねを出しているのは内部事務担当の第1部門、実際に税務調査をするのは第2部門以降と、担当部門が異なります。そのため「お尋ねに回答がなかったからすぐ税務調査」という流れには必ずしもならないようです。
📝 このセクションのまとめ
- お尋ねは行政指導であり、法的な回答義務はない
- お尋ねを出す部門と税務調査をする部門は別
- 無回答でも必ず2通目が来るわけではない
回答するリスク:虚偽記載と重加算税の落とし穴
一方で、お尋ねに回答することにもリスクがあります。特に怖いのが虚偽記載による重加算税の問題です。
たとえば、お尋ね文書に「預金はいくらですか?」と書かれていて「1,000万円」と回答したとします。しかし実際は2,000万円あった場合、差額の1,000万円を隠していたという虚偽記載になります。
⚠️ 注意
お尋ねに不正確な内容を書いてしまうと、その後の税務調査で「あなたは1,000万円隠していましたよね。それは仮装隠蔽に当たるので重加算税を課します」と言われるリスクがあります。税務署側は重加算税を取りたいため、お尋ね文書を「重加算税を課す根拠」として活用してくる可能性があります。
もちろん、裁判の結果「お尋ね文書を根拠とした重加算税は認めない」という判例もあります。ただ、重加算税が課される場合もあることは事実です。そういったリスクがある以上、ふわっとした不正確な内容を書くくらいなら、出さない方がいいという意見も存在します。
📝 このセクションのまとめ
- 不正確な回答は「虚偽記載」として重加算税の根拠にされる可能性がある
- お尋ねへの回答が100%正しいわけではなく、リスクが存在する
- 判例では重加算税が認められないケースも、認められるケースも両方ある
無視するリスク:税務調査・延滞税・心証悪化
一方、お尋ねを無視した場合にも当然リスクがあります。多くの税理士が「回答すべき」と言う理由がここにあります。
- 無視すると税務署から「隠し事があるのでは」と疑われ、督促(電話・文書)→税務調査へと発展する可能性がある
- 税務調査が来てから修正申告をすると、その分だけ延滞税が増える可能性がある
- お尋ねを無視した時点で税務署からの心証が悪くなり、税務調査の際に不利になる可能性がある
- どうせ払うなら早い方が金銭的な損失は少ない
⚠️ 注意
お尋ねを無視した場合、最終的に税務調査に発展するケースがあります。税務調査が来てから修正申告をするよりも、早期に対応した方が延滞税の負担が少なく済む場合がほとんどです。
📝 このセクションのまとめ
- 無視は「隠し事がある」と疑われる原因になる
- 税務調査まで発展すると延滞税が増える可能性がある
- 心証悪化により税務調査で不利になるリスクもある
ケース別:どんな「お尋ね」が来るのか?
税務署からのお尋ねは、受け取る人の状況によって内容が異なります。主なケースを見ていきましょう。
| 対象者 | お尋ねの主な内容 |
|---|---|
| 個人事業主・フリーランス | 売上・経費の不審点、計算ミスの確認 |
| 消費税還付を受けた事業者 | なぜ還付になったか、海外取引の証拠書類提出 |
| 不動産を購入した人 | 購入資金の出所(贈与がないか)の確認 |
| 不動産を売却した人 | 譲渡所得の確定申告の有無・計算内容 |
| 相続が発生した遺族 | 相続財産の総額・内訳の申告 |
| 会社員(扶養控除) | 扶養控除の適用要件を満たしているか |
| ネット取引・暗号資産 | 副業収入・仮想通貨の利益の申告有無 |
それぞれ詳しく見ていきます。
【個人事業主・フリーランス】
売上や経費に不審な点がある場合、または純粋な計算ミスが疑われる場合にお尋ねが届きます。税務調査の一歩手前という位置づけです。
【消費税還付を受けた事業者】
売上が1,000万円超であったり、インボイス登録をしている関係で消費税の納税義務があるにもかかわらず還付になっている場合、「なぜ還付になったのか」という理由の説明や、海外売上が多い場合は海外との取引の証拠書類の提出を求めてくることがあります。
【不動産を購入した人】
税務署には不動産の売買情報が届きます。たとえば「年収400万円なのに4,000万円の土地を買った」という場合、「本当に自分の貯金だけで買ったのか?親から贈与を受けていないか?」を確認するお尋ねが来ます。贈与を受けていれば贈与税の申告が必要なためです。
【不動産を売却した人】
不動産を売って利益が出た場合は譲渡所得として確定申告が必要です。「本当に無税か?確定申告をしなくて良いのか?」という内容で来ます。譲渡所得の計算は減価償却の考慮など複雑なため、自分では利益が出ていないと思っていても税務上は課税対象になるケースがあります。
【相続が発生した遺族】
亡くなった方が預金・株・不動産を持っていた場合、遺族に対して「相続財産がどれくらいあるか」を問うお尋ねが届きます。相続税の申告期限よりも前に来ることが多く、申告の準備をしていてもしていなくても届く場合があります。亡くなった方の預金・株・不動産を全て書き出す作業は、かなりの手間がかかります。
【会社員(扶養控除)】
子どもを扶養に入れているが、その子どもがアルバイトをしていて収入の壁を超えていた場合にお尋ねが来ます。
| 対象 | 収入の壁(扶養から外れる基準) |
|---|---|
| 一般(2025年まで) | 103万円 |
| 一般(2025年〜) | 123万円 |
| 学生 | 150万円 |
これらの壁を超えた場合は扶養控除から外さなければならず、やり直しを求めるお尋ねが届きます。
【ネット取引・暗号資産】
ブログ・アフィリエイト・YouTube・暗号資産(仮想通貨)での収入についてもお尋ねが来るケースが増えています。税務署は「あなたが稼いでいる」という情報をすでに把握した上で聞いてきています。
📝 このセクションのまとめ
- お尋ねは個人事業主・不動産売買・相続・会社員・ネット取引など幅広い対象に届く
- 税務署はすでに情報を持った上でお尋ねを送ってくることが多い
- 消費税還付のお尋ねは早期回答で還付金を早くもらえるメリットがある
ケース別:無視すべきか、回答すべきか、申告すべきか
それぞれのケースでどう対応すれば良いか、整理してみます。
| ケース | 推奨対応 | 理由・補足 |
|---|---|---|
| 個人事業主(明らかな計算ミス) | 修正申告 | 税務署も見逃してくれないため早期対応が得策 |
| 消費税還付 | 回答一択 | 回答しないと還付金が振り込まれない |
| 不動産購入(後ろめたいことなし) | 無視 or 回答 | 回答しても追加の税務調査にはなりにくい |
| 不動産購入(贈与あり) | 贈与税申告 | 贈与を受けていた場合は申告が必要 |
| 不動産売却 | 税理士・税務署に相談 | 利益の有無が一般人には判断しにくいため |
| 相続(財産少なく無税の見込み) | 一旦無視 or 回答 | 大きい封筒で申告要請が来たら要対応 |
| 相続(財産が多い・微妙な場合) | 税理士・税務署に相談 | 税務署が財産を把握している可能性が高い |
| 会社員(扶養控除) | 回答 or 確定申告 | 税務署・住民税両方でデータを持っている |
| ネット取引・暗号資産 | 税理士・税務署に相談 | 状況によって対応が異なる |
📌 ポイント
相続税のお尋ねについて、大きい封筒で「相続税の申告をしてください」という内容が届いた場合は、税務署がすでに財産を把握しているケースです。この場合は相続税の申告を進めるか、税理士・税務署に相談することを強くお勧めします。
📝 このセクションのまとめ
- 消費税還付のお尋ねは早期回答が必須
- 不動産売却・ネット取引など判断が難しいケースは税理士や税務署への相談が有効
- 会社員の扶養控除については税務署・住民税両方でデータを持っているため回答が現実的
お尋ねへの回答で最も大切なこと
お尋ねが来たときに、個人的には後ろめたいことがなければちゃんと回答した方がいいと考えます。ただし、回答する際には必ず守ってほしいことがあります。
- 事実を簡潔に書くこと
- 嘘や適当なことは絶対に書かないこと
- 後々税務調査があったときに内容が違うと判明すると非常に面倒なことになる
- 金額が大きくて不安な場合は税理士や税務署に相談する
⚠️ 注意
お尋ねに不正確な内容を書くことは、無回答よりも危険な場合があります。「ふわっとしたことを書くくらいなら出さない方がいい」という考え方も一つの選択肢です。自信を持って正確な内容が書けない場合は、専門家に相談してから回答することをお勧めします。
税務署への相談は予約をすれば対応してもらえます。税理士への相談と合わせて、ぜひ活用してください。
📝 このセクションのまとめ
- 回答するなら「事実を簡潔に、嘘なく」が鉄則
- 不正確な内容を書くくらいなら無回答の方がリスクが低い場合もある
- 金額が大きい・判断に迷う場合は税理士または税務署への相談が最善
- 税務署は予約制で相談に応じてくれる
※本記事の情報は2025年8月11日時点のものです。
終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル オタク会計士ch【山田真哉】 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。本サイトは オタク会計士ch【山田真哉】を応援しています!
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