税務署に目をつけられやすい確定申告書とは?税理士が徹底解説
あなたの確定申告書は税務署に目をつけられていませんか?チェックすべきポイントを解説します。
確定申告シーズンになると、「自分が作った確定申告書は税務署の目に止まりやすいのだろうか」「税務調査が入る可能性はどれぐらいあるのだろうか」と不安に思っている人は多いようです。そこで今回は、税務署の目に止まりやすい確定申告書について分かりやすく解説します。
①形式的な間違い・計算ミスのある確定申告書
まず非常に分かりやすい話として、形式的な間違いをしている確定申告書があります。例えば扶養控除については年齢の基準があり、所得の要件もあります。配偶者控除も所得の要件がありますし、ひとり親控除・寡婦控除なども本人の所得が一定額を超えたら適用を受けられないという制限があります。
それを知らず、もしくは勘違いして適用を受けられないのにそういった所得控除を申告しているケースは、税務署から連絡が来て「ここを直してください」という形で修正し、追加で税金を納めなければならなくなります。
⚠️ 注意
計算ミスが多い確定申告書や雑に作られた確定申告書は、一発で税務署の目に止まります。「この納税者はよく分かっていない」とダイレクトに伝わり、「他にも色々ミスがあるだろう」と掘り下げられてしまいます。
また、手書きで確定申告書を作成している人も注意が必要です。単純な計算間違いが非常に多く発生する可能性があります。税務署もそれは分かっているため、手書きの確定申告書は目をつけられやすい傾向があります。
こうした形式的な間違いや計算ミスを防ぐために、以下のツールを活用することをおすすめします。
- 国税庁の確定申告書等作成コーナー:所得控除の年齢制限・所得制限を自動で判別してくれるため、適用誤りを防げる
- 会計ソフトの確定申告書作成機能:事業を行っている方は会計ソフトに連動した機能を活用する
📝 このセクションのまとめ
- 所得控除の年齢・所得要件の誤りは税務署にすぐ発覚する
- 計算ミスや雑な申告書は「他にもミスがある」と疑われる入口になる
- 手書き申告よりも国税庁の作成コーナーや会計ソフトを活用すべき
②富裕層の確定申告書
国税庁はホームページ上で「富裕層に対する税務調査を強化している」と公表しています。では富裕層とは年収・資産がいくらの人を指すのでしょうか。税務署は公式には基準を公表していませんが、一般的には資産総額1億円を超える人が富裕層として扱われるようです。
ただし、その基準とは別に、以下の要件に該当する人は法定の書類を税務署へ提出する義務があります。
| 書類名 | 提出が必要な条件 |
|---|---|
| 国外財産調書 | 海外に5,000万円以上の資産を保有している場合 |
| 財産債務調書 | 所得が2,000万円超かつ資産総額3億円以上、または1億円以上の有価証券等を保有している場合 |
| 国外財産調書(新設要件) | 所得2,000万円以下でも10億円以上の財産を保有している場合(今回から対象に追加) |
📌 ポイント
「自分は所得が少ないし資産も少ないから安心」と思っても、この後に紹介するケースに該当する場合は税務署から目をつけられることがあります。所得・資産が少ないからといって油断しないようにしてください。
📝 このセクションのまとめ
- 資産総額1億円超が富裕層の一般的な目安
- 海外資産5,000万円超は国外財産調書の提出義務あり
- 今回から10億円以上の財産保有者も国外財産調書の対象に追加
③売上・利益の変動が激しい事業者
事業者の場合、青色申告・白色申告いずれも損益計算書や収支内訳書(売上・経費の明細)を提出しています。税務署はそこから異常値を検出して税務調査の対象を選定しています。
具体的に目をつけられやすいのは以下のようなケースです。
- 前年と比べて売上が2倍・3倍・4倍に増加している
- 利益が5倍・10倍に増加している
- 逆に売上が前年比で半減し、利益も大幅に減少している
- 売上が増えているのに利益が減っている(経費の水増しを疑われる)
税務調査に来ると開口一番「なぜこんなに売上が増えたんですか」「なぜこんなに売上が減ったんですか」という話から入ることも結構あります。売上が2倍・3倍・4倍になると、ついつい経費を水増ししようと考えてしまう人が一定数いることを税務署も把握しており、そういった人をターゲットにするということがあります。
⚠️ 注意
売上が増えているのに利益が減っている事業者は、「経費を水増ししているのではないか」と税務署から疑われやすくなります。損益の変動が激しい場合は、その理由を説明できる資料を整えておきましょう。
📝 このセクションのまとめ
- 売上・利益の急増・急減は税務署の異常値検知にひっかかりやすい
- 売上増加+利益減少の組み合わせは経費水増しを強く疑われる
- 変動の理由を説明できる書類を準備しておくことが重要
④同業他社と比べて利益率が低い事業者
国税庁は日々様々な情報を蓄積しており、業種ごとの平均利益率も簡単に把握できます。ある事業者の利益率が同業他社と比較して非常に低い場合、「経費を水増ししているのではないか」と疑われることになります。
ただし、国税庁は「この業種の平均利益率はどれぐらい」といった情報を公表していません。そのため、納税者としては以下の方法で自分の事業所の利益率を比較することをおすすめします。
- インターネットで業種別の利益率情報を調べる
- 同業他社の知り合いがいれば直接聞いてみる
📌 ポイント
自分の利益率が業界平均と大きくかけ離れていないかを定期的に確認しておきましょう。かけ離れている場合は、その理由を合理的に説明できるよう準備しておくことが大切です。
📝 このセクションのまとめ
- 税務署は業種ごとの平均利益率データを保有している
- 同業他社より利益率が著しく低いと経費水増しを疑われる
- 自分の利益率が業界平均と比べてどうかを把握しておくことが重要
⑤消費税の還付申告を行った事業者
消費税の課税事業者で消費税の還付申告を行った事業者は、まず調査対象の第一次選考に入ってくると思っていただいて間違いありません。金額にもよりますが、数十万円の消費税の還付申告でも税務調査が来たという事例もあります。
なぜ消費税の還付申告は目をつけられやすいのでしょうか。所得税の還付申告はそれほど目をつけられませんが、消費税の還付申告は不正が多く、還付申告の申告書を作ろうと思えば比較的簡単に作れてしまうため、不正が後を絶たないのです。そこで税務署が目を光らせています。
一方、所得税の還付申告は割合として非常に多く、予定納税や源泉徴収されている事業者・給与所得者(サラリーマン)など、還付申告になること自体は一般的です。所得税と消費税ではこのような違いがあります。
📌 ポイント
例えば海外売上が大きい事業者など、毎年消費税が還付になるケースもあります。そういった場合は、きちんと書類を整えていつ税務調査が来ても対応できるよう準備しておきましょう。税務調査が来なくても書面調査(電話で書類提出を求められる形式)も多いため、適切に対応できれば消費税の還付をきちんと受けられます。
📝 このセクションのまとめ
- 消費税の還付申告は税務調査の第一次選考に入りやすい
- 数十万円の還付申告でも税務調査が来た事例がある
- 正当な還付申告であれば書類を整えて対応すれば問題ない
⑥申告漏れが多い業種の事業者
申告漏れが多い業種に属している事業者は、きちんと申告していたとしても税務署の目に止まりやすいという現実があります。ちゃんと申告している事業者にとってはいい迷惑ですが、業種によって申告漏れが起きやすい・起きにくいという差があります。
国税庁は毎年、1件あたりの申告漏れ所得金額が高額な上位重点業種を発表しています。このランキングは入れ替わりが激しいですが、度々入ってくる業種もあります。税務署の経験則から「課税漏れが多い=税務調査に入れば税金を取れる」と判断されるため、申告漏れ金額が一般的に多い業種には積極的に税務調査が入ります。
⚠️ 注意
自分の事業が申告漏れの多い業種に該当する場合、たとえきちんと申告していても税務調査の対象になる可能性があります。国税庁が毎年発表する重点業種ランキングを確認しておきましょう。
📝 このセクションのまとめ
- 申告漏れが多い業種は税務署から重点的に調査される
- 国税庁は毎年「申告漏れ所得金額が高額な上位重点業種」を公表している
- 正しく申告していても業種だけで調査対象になることがある
⑦多額の海外取引・海外資産運用をしている人
海外売上が多い事業者だけでなく、海外の証券会社などで資産運用している人も最近は目をつけられています。海外の証券会社で金融商品を購入しているだけで、税務署の目に止まりやすくなっています。
海外の有価証券の売買に関しては、税金のルールが固まっていない部分もあり、適当に申告してしまっている人も多くいます。そういった部分を税務署は見逃しません。普通のサラリーマンでも海外で資産運用をしている人は注意が必要です。
📌 ポイント
最近では海外の金融機関との情報交換が円滑になってきており、日本の税務署も海外の金融情報を入手しやすくなっています。調査しやすい=成果を上げやすいということで、海外で資産運用をしている個人も積極的なターゲットになっています。
📝 このセクションのまとめ
- 海外証券会社での資産運用だけで税務署の目に止まりやすくなる
- 海外金融機関との情報交換が進み、税務署の把握能力が向上している
- サラリーマンでも海外資産運用をしている場合は正確な申告が必要
⑧調査官の勘・無申告・AIの活用
なかなか言語化が難しい話ですが、担当調査官の勘によって「この確定申告書は怪しい」と判断されることも多くあります。税理士も日々様々な確定申告書を見ていると「これは怪しい」「これはちゃんと申告している」とぱっと見て分かります。国税調査官、特にベテランの調査官はそういった目が非常に優れており、少し見ただけで怪しい箇所を見抜きます。
勘と言われても対策しようがないと思われるかもしれませんが、やはりきちんと申告することに尽きます。きちんと申告していれば、おのずと怪しい確定申告書にはなりません。
次に、無申告の人についても触れておきます。国税庁は日々様々な確定申告書・法定調書・反面調査などを行って取引データを蓄積しています。ある企業からある事業者へ多額の支払いが行われているのに、その支払いを受けた側の事業者が確定申告書を提出していない場合、無申告が発覚することがあります。
⚠️ 注意
無申告は最も悪質な扱いを受けます。ペナルティの加算税率も非常に高く設定されています。本来払うべき税金に加えて多額の加算税が発生しますので、無申告の人はまず申告するようにしてください。国税庁のレポートでも毎年「無申告者に対する税務調査を強化している」と公表されています。
さらに、今後はAIを活用して税務調査の対象を絞り込む取り組みも進んでいます。最近は税務署の調査官のレベルが下がっているとも言われており、それを補う意味でもAIの活用を積極的に行い、怪しい確定申告書の抽出をAIで行うことで効率的な税務調査を実施するとも発表されています。
📌 ポイント
AIの活用により、税務署の調査精度はこれからさらに高まっていきます。「よからぬことを考えない」「きちんと申告する」という姿勢が、最も確実な税務調査対策です。
📝 このセクションのまとめ
- ベテラン調査官の勘でも怪しい申告書は見抜かれる
- 無申告は最も悪質な扱いで、高率の加算税が発生する
- 今後はAI活用により税務調査の精度・効率がさらに向上する
- きちんと申告することが最大の税務調査対策
終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士ナガイ の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。本サイトは 税理士ナガイを応援しています!
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