確定申告書を提出後に税務署から連絡がなければ大丈夫?税理士が解説
確定申告を提出して連絡がなければ安心、は大きな誤解かもしれません。
確定申告を提出した後、どんな流れになるのか
所得税の確定申告書を提出し終えて、とりあえず安心している方は非常に多いと思います。「税務署から連絡がなければ内容に間違いはないよね」「提出してしばらく待ったけど連絡がないから通過したんだろう」という風に思っている自営業・フリーランスの方は多いでしょう。
しかし、安心するのはまだ早いです。確定申告書を提出した後に一体どのような流れになるのか、しっかり把握しておきましょう。
本記事では以下の内容を順番に解説します。
- 確定申告提出後のチェック内容(第1段階)
- 安心できない理由
- 第2段階のチェック内容(予想)
- 最終的な答え合わせ=税務調査
- 提出後にミスに気がついた場合の対応方法
- 修正申告・更正の請求の手続き方法
📝 このセクションのまとめ
- 確定申告は「提出しただけ」であり、全てを詳細にチェックしてもらえるわけではない
- 連絡がないからといって通過・合格したわけではない
第1段階:税務署が行う「簡単なチェック」の内容
確定申告書を提出すると、まず税務署は簡単なチェックのみを行います。提出したもの全てを詳細までチェックしてもらえるとは思わない方がよいでしょう。
この第1段階の簡単なチェックで見つかる主なミスは以下のとおりです。
| チェック項目 | 具体的な内容 | 連絡の有無 |
|---|---|---|
| 基本情報のミス | 住所・氏名の記載ミス、管轄税務署の誤り(引越し後に前の税務署へ提出など) | 連絡あり |
| 金融機関の記載ミス | 還付口座の金融機関名・支店名・口座番号の誤り | 連絡あり |
| 簡単な計算ミス・記載漏れ | 明らかな計算間違いや記入欄の空白 | 連絡あることが多い |
📌 ポイント
この第1段階のチェックで連絡があった場合は、速やかに修正対応を行ってください。修正が遅れると延滞税が発生する場合があります。
📝 このセクションのまとめ
- 第1段階は基本情報・金融機関情報・簡単な計算ミスのチェックのみ
- それ以外のミスはこの段階ではそのまま通過してしまう
- 連絡があった場合は速やかに修正すること
なぜ全件を詳細チェックできないのか:安心できない理由
「提出後に1年あるのだから、その間に税務署がじっくりチェックすればいいのでは?」と思う方もいるかもしれません。しかし実際には、全件を詳細にチェックすることは不可能です。その理由は2つあります。
- 件数が多すぎる:所得税の確定申告書は同じ時期に大量に提出されるため、一件一件細かく詳細までチェックして合否判断をすることは物理的に不可能
- 締め切りがある:確定申告書のデータは全ての市区町村に渡され、春からの住民税の計算や国民健康保険の金額を確定するための重要な数字の根拠となる。そのため、春までに計算が間に合うよう市区町村へ渡す締め切りがあり、全件を細かくチェックする時間的余裕がない
📌 ポイント
確定申告書のデータは税務署だけでなく、住民税・国民健康保険の計算にも使われます。そのため春までに市区町村へ提供する必要があり、全件精査は現実的ではありません。
📝 このセクションのまとめ
- 申告件数が膨大なため、全件詳細チェックは不可能
- 住民税・国民健康保険の計算に使うため、市区町村への提供期限がある
- だから「連絡がない=問題なし」ではない
第2段階:税務署が行うチェック内容の予想
第1段階の次に行われる第2段階のチェック内容は、税務署から公表されているわけではありません。しかし、おそらく以下のような内容がチェックされていると考えられます。
| チェック項目 | 具体的な内容 | 連絡の有無 |
|---|---|---|
| 取引先の支払調書との照合 | 取引先から届く支払調書と確定申告書の売上を照合し、漏れがないか確認 | 漏れがあれば連絡あり |
| 報酬の源泉徴収票との照合 | 各会社等から届く源泉徴収票と申告内容の照合 | 漏れがあれば連絡あり |
| 年金の申告漏れ | 例:年金を3か所から受給しているのに2か所しか申告していない場合 | 連絡あり |
| 役員報酬の源泉徴収票の漏れ | 複数の会社で役員を兼任している場合の申告漏れ | 連絡あり |
| 扶養親族・配偶者控除の適用ミス | 扶養から外れるのに適用していた、配偶者の年収が増えて控除対象外になったのに適用していた場合など | 連絡あることが多い |
| 予定納税の記入漏れ | 予定納税額の記載が抜けている場合 | 連絡あることが多い |
特に役員報酬の源泉徴収票の漏れは注意が必要です。複数の会社で役員をされている方は把握しきれていないことがあり、新しく役員報酬をもらえる立場になった際にうっかり源泉徴収票が届いていたのに申告しなかった、という記載漏れが起こりやすいです。
⚠️ 注意
第2段階でも細かいところまでは見ていません。「経費に上げたけど連絡がなかったから大丈夫だよね」という判断はこの段階ではできません。経費の妥当性などの詳細確認は、次の税務調査で行われます。
📝 このセクションのまとめ
- 支払調書・源泉徴収票との照合、扶養控除の適用ミスなどは第2段階で連絡が来ることがある
- それでも経費の妥当性など詳細なチェックはこの段階では行われない
- 連絡があったらすぐに対応すること。放置すると延滞税が発生する
最終的な答え合わせは「税務調査」で行われる
確定申告の答え合わせ=税務調査だと思っておいてください。詳細を確認して内容が合っているかどうかを判断するのが税務調査です。
税務調査では具体的に以下の内容が確認されます。
- 経費性の判断:「同業者がしているから大丈夫だろう」と計上した経費が本当に認められるかどうかの答え合わせ
- 売上・収益の漏れ確認:通帳の入金と売上の照合、請求書・領収書・レジの明細などとの突き合わせ
- 書類との整合性確認:請求書・領収書・納品書など仕事に関係する全ての書類と申告内容の辻褄が合っているか
- 会計処理の確認:処理方法の思い違いや間違いがないか
⚠️ 注意
「同業者が経費にしているから大丈夫」「自分は通過したよ、何も言われなかった」という話を鵜呑みにするのは危険です。税務調査が来ていないだけで、答え合わせがまだされていない状態である可能性が高いです。税務調査が入って答え合わせをした結果、否認(経費として認められない)となるケースもあります。
「確定申告を提出して連絡がないから、あの経費は大丈夫だった」という判断は間違いです。たまたま指摘されなかった、金額が少なかったから大きな問題にならなかっただけ、という可能性も十分あります。
📝 このセクションのまとめ
- 経費性・売上漏れ・書類の整合性・会計処理の詳細確認は税務調査で行われる
- 「連絡がない=問題なし」ではなく「税務調査がまだ来ていないだけ」の可能性がある
- 他者の経験談を鵜呑みにして経費計上の判断をするのは危険
提出後にミスを発見した場合の対応方法
確定申告書を見直していてミスを発見した、というケースはよくあります。例えば令和6年分の確定申告書を見直していてたまたま気づいた、というような時もあるでしょう。
よくあるミスのパターンは以下の2つです。
- 経費の計上漏れ:金額の大きい領収書の入力を忘れていたなど
- 所得控除の計上漏れ:ふるさと納税をしたのに寄付金控除の記入をしていなかった、社会保険料控除で年金は入力したが国民健康保険を忘れていたなど
提出期限内であれば再提出すれば問題ありません。提出期限後に気づいた場合は、修正申告または更正の請求という手続きをとることになります。
| 状況 | 手続きの名称 | 内容 |
|---|---|---|
| 税金を払いすぎていた場合(経費漏れなど) | 更正の請求 | 経費を追加計上すると税額が下がるため、払いすぎた分を返してもらう手続き |
| 税金を少なく払っていた場合 | 修正申告 | 不足していた税金を追加で納める手続き |
⚠️ 注意
ミスに気づいても「連絡がないから大丈夫だろう」と放置しないでください。特に税金を少なく払っていた場合(修正申告が必要な場合)は、放置した後に税務調査が入るとより面倒な状況になります。本来支払うべき税金に加えて延滞税も発生し、支払額が増えることになります。気がついたら自主的に早めに対応することをお勧めします。
📝 このセクションのまとめ
- 提出期限内なら再提出、期限後なら修正申告または更正の請求を行う
- 税金を払いすぎていた→更正の請求、少なく払っていた→修正申告
- ミスに気づいたら放置せず、早めに自主的に対応する
修正申告・更正の請求はどこから手続きするのか
修正申告・更正の請求は、国税庁の確定申告書等作成コーナーから手続きができます。
通常の確定申告書を作成する際に使う黄色いタブ(「作成開始」または「保存データを利用して作成する」)からは作成できません。その下にある「提出した申告書に誤りがあった場合」という欄から進んでください。
📌 ポイント
国税庁のe-Taxでは更正の請求・修正申告の両方を作成できます。ただし、お使いの会計ソフトによっては修正申告や更正の請求に対応していない場合があります。その場合は国税庁の確定申告書等作成コーナーから作成することができますので覚えておきましょう。
📝 このセクションのまとめ
- 国税庁の確定申告書等作成コーナーの「提出した申告書に誤りがあった場合」から手続きできる
- 通常の申告書作成の黄色いタブからは作成できないので注意
- 会計ソフトが対応していない場合は国税庁のサイトを利用する
税務調査の基本的な流れと税理士の役割
確定申告の最終的な答え合わせである税務調査について、基本的な流れを押さえておきましょう。
- 事前連絡が基本:税務調査の前には基本的に事前連絡があります。電話の場合もあれば、書面(簡単な内容確認)の場合もあります
- 書面が届いたら速やかに返信:放置すると印象が悪くなり、書面で済むはずのものが対面の税務調査に発展することもあります
- 顧問税理士がいる場合:税務調査の連絡は最初に顧問税理士のもとへ届きます。日程調整なども税理士が対応してくれるため安心です
- 税務調査への立ち会いは税理士のみ:税務調査に立ち会えるのは税理士だけです。顧問税理士がいない場合は、ご自身で税務調査官と対応しなければなりません
⚠️ 注意
税務調査の書面や連絡を放置することは絶対にやめてください。放置すると非常に印象が悪くなり、書面での確認で済むはずのものが対面調査に進む可能性があります。
📝 このセクションのまとめ
- 税務調査の前には基本的に事前連絡(電話または書面)がある
- 書面が届いたら速やかに返信し、放置しないこと
- 税務調査に立ち会えるのは税理士のみ。顧問税理士がいると安心
終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士河南のYouTubeチャンネル! の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。本サイトは 税理士河南のYouTubeチャンネル!を応援しています!
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