節税対策

出張手当制度を税理士が解説|会社から社長に無税でキャッシュを移転する方法

出張手当制度を税理士が解説|会社から社長に無税でキャッシュを移転する方法
e_zeirishi

会社から社長に無税でキャッシュを移転できる出張手当制度を一問一答形式で解説します。

出張手当とは何か

出張手当とは、従業員が出張した際に支給される手当のことです。条件に応じて定額で支給されることが多く、出張する際に発生するご飯代や雑費などの経費補填と、普段慣れない場所で活動することによる肉体的・精神的な負担を手当てするという、2つの意味合いを持っています。

📌 ポイント

出張手当には①出張時にかかる経費の補填②従業員へのねぎらい(色)という2つの意味合いがあります。この2つの性質を理解しておくことが制度活用の第一歩です。

📝 このセクションのまとめ

  • 出張手当は出張時の経費補填とねぎらいの両方の性格を持つ
  • 条件に応じて定額で支給するケースが多い

出張手当を導入するために必要なこと

出張手当を導入するには、出張旅費規程(ルールブック)を定める必要があります。この規程の内容は会社によってある程度自由に決めることができます。

たとえば、「社長が泊まりで出張した場合には日当5,000円、宿泊費は15,000円、交通費は実費精算」といった形で、役職ごとに細かく決めることも可能です。

📌 ポイント

出張旅費規程には特に以下の5つの項目を必ず明記することが重要です。

  1. 目的・定義
  2. 適用範囲
  3. 支給額
  4. 手続き方法
  5. (出張の定義となる)距離や宿泊の条件

出張の定義については、一般的に移動距離が100kmを超える場合宿泊が必要な場合とするケースが多いです。100kmはおよそ東京から宇都宮ほどの距離です。200kmを基準にしている会社もあり、自社の出張状況に合わせた距離を設定することをおすすめします。なお、23区内への移動などを出張とするのは難しいでしょう。

インターネットで検索すると雛形を入手できますので、それを参考にしながら自社に合わせた規程を作成することをおすすめします。

📝 このセクションのまとめ

  • 出張手当の導入には出張旅費規程の整備が必須
  • 規程の内容は会社が自由に決めてよい
  • 目的・定義・適用範囲・支給額・手続き方法の5項目を必ず明記する
  • 出張の定義は「移動距離100km超」または「宿泊が必要な場合」が一般的

会社側のメリット|法人税と消費税のW節税効果

出張手当には、会社側に法人税と消費税の両方の節税効果が期待できます。

  • 法人税の節税:出張旅費規程に基づいて出張手当を支払うと、その全額が経費として計上されます。課税所得が減るため、法人税の節税につながります。
  • 消費税の節税:出張手当の支給は、会社が交通費・宿泊費・食事代などのモノやサービスを購入する費用と同等の扱いになります。そのため、含まれる消費税相当額だけ消費税の節税にもなります。
  • 経費精算の効率化:日当や宿泊費を定額支給にすることで、精算処理をスピーディーに行えるようになります。飛行機や新幹線については正規運賃で支給するよう規定することも可能です。

📝 このセクションのまとめ

  • 出張手当は法人税と消費税のW節税効果がある
  • 定額支給にすることで経費精算の手間も大幅に削減できる

従業員・社長側のメリット|所得税・住民税・社会保険料がかからない

出張手当は会社側だけでなく、受け取る従業員・役員・社長側にも大きなメリットがあります。

メリット①:所得税・住民税が非課税

役員や従業員が会社から出張手当を受け取っても、社会通念上妥当な金額であれば所得税・住民税はかかりません。たとえば、社長が宿泊出張に行った際に日当と宿泊費を合わせて2万円支給し、実際の出費が1万円だった場合、差額の1万円は非課税でポケットに入ります。この差額を返す必要はありません。

業種によっては年間100回ほど出張する場合もあり、そうなると年間100万円規模の非課税収入を得ることも可能です。

メリット②:社会保険料の算定対象外

出張手当は社会保険料の算定対象外となります。仮に出張手当を受け取っても、社会保険料が増えることはありません。現在、業務手当などの形で給与に上乗せして支給している会社は、出張旅費規程を整備して出張手当に切り替えることで、その分を非課税で受け取れるようになります。さらに社会保険料の負担も増えないため、会社の資金繰りにとっても有利です。

📌 ポイント:個人事業主は利用できない

出張手当を使えるのは法人のみです。個人事業主は利用できません。ただし、法人であれば従業員がいない一人社長でも利用可能です。一人社長や親族経営の場合は、会社側と従業員側の両方のメリットを同時に享受できるため、特に効果的です。

📝 このセクションのまとめ

  • 出張手当は社会通念上妥当な金額であれば所得税・住民税が非課税
  • 社会保険料の算定対象外なので受け取っても保険料は増えない
  • 年間100回出張する業種では年100万円規模の非課税収入も可能
  • 利用できるのは法人のみ。一人社長でも利用可能

どれくらいの会社が導入しているか|普及率のデータ

2019年のデータによると、出張手当の導入状況は以下のとおりです。

出張の種類導入率
日帰り出張8割以上
宿泊を伴う出張9割以上

ほとんどの会社がすでに出張手当を導入しています。まだ導入していない会社は、ぜひ検討してみてください。

📝 このセクションのまとめ

  • 宿泊を伴う出張手当は9割以上の会社が導入済み(2019年データ)
  • 日帰り出張手当も8割以上の会社が導入している

出張旅費規程の重要ポイント|役職別・出張種別の支給額設定

出張旅費規程を作成する際、全従業員を対象とすることが原則です。社長や役員など特定の人だけに支給する規程は認められません。税務署からすると「役員報酬」とみなされ、経費として認められない可能性があります。

ただし、全員に支給することを前提とすれば、役職によって金額に差をつけることは問題ありません。たとえば以下のような形で規定することが可能です。

役職日帰り出張(日当)宿泊出張(日当)宿泊費
社長・役員例:5,000円例:5,000円例:15,000円
部長クラス例:3,000円例:3,000円例:12,000円
一般社員例:2,000円例:2,000円例:10,000円

宿泊出張は日帰り出張よりも負担が大きいため、日帰りと宿泊で日当を分けて定めるのもポイントです。また、新幹線や飛行機での移動については、社長・役員はグリーン車を利用可、従業員は普通車のみといった形で分けて規定することも可能です。

📌 ポイント:一人社長でも細かく規定しておく

現状は社長1名で従業員がいない会社でも、税務調査に備えて役職別・出張種別に細かく分けて規定しておくことをおすすめします。将来的に従業員が増えた際にもスムーズに運用できます。

海外出張の場合の日当設定

国内出張と海外出張で日当の金額に差をつけることは一般的です。調査によると、国内宿泊出張の一般社員の日当平均が約2,355円であるのに対し、海外出張では以下のようになっています。

地域日当平均(一般社員)
国内(宿泊)約2,355円
北米地域約14,621円
中国地域約12,085円

海外出張の場合は地域によって日当や宿泊費に差をつけることもあります。基本的にアジア地域は低め、欧州・北米地域が高めの傾向があります。出張先の物価なども考慮しながら日当・宿泊費を設定することをおすすめします。

📝 このセクションのまとめ

  • 出張手当は原則として役員を含む全従業員を対象とする必要がある
  • 全員対象であれば役職別・日帰り/宿泊別に金額差をつけることは問題ない
  • 海外出張は国内より高めの日当設定が一般的で、地域ごとに差をつけることも可能
  • 一人社長でも税務調査に備えて細かく規定しておくことを推奨

出張手当の金額はいくらまでOKか

支給額については明確な数字の基準はありません。同業他社と比較し、社内でのバランスも考慮して、常識的な金額に設定することが基本です。

税務調査でよく引き合いに出されるのが、内閣総理大臣が資格出張する際の日当の例です。その内訳は以下のとおりです。

項目金額(1日あたり)
日当3,800円
宿泊代19,100円
食事代3,800円
1泊2日の日当合計7,600円

税務調査官から「総理大臣でも日当7,000円程度なのに、御社の社長は2万3,000円も取るんですか」といった指摘を受けることもあります。

また、出張手当の全国平均として、社長の宿泊出張の日当平均は1日あたり約4,500円、宿泊費は約14,000円というデータがあります。1泊2日で計算すると、日当9,000円+宿泊費14,000円=約2万3,000円となります。

📌 目安となる金額

総理大臣の旅費基準(日当+宿泊費+食事代で約3万500円)と全国平均(約2万3,000円)を参考にすると、1泊2日で2万5,000円程度であれば税務調査で目をつけられることは少ないと考えられます。

📝 このセクションのまとめ

  • 支給額に明確な法的上限はないが、常識的な金額に設定することが重要
  • 内閣総理大臣の旅費基準(日当3,800円・宿泊19,100円・食事3,800円)が税務調査の参考にされる
  • 社長の宿泊出張の全国平均は日当約4,500円・宿泊費約14,000円
  • 1泊2日で2万5,000円程度が目安

出張手当導入時の注意点|二重精算・個人払い・記録保存

出張手当を実際に運用する際には、以下の注意点をしっかり守ることが重要です。

注意点①:出張旅費規程作成後は株主総会の承認が必要

出張旅費規程は会社のルールブックとなるため、株主総会で承認を得る必要があります。作った当日からすぐ使えるわけではありません。ただし、一人会社の場合は自分で議事録を作成することもできるため、実質的にはすぐ使えるケースもあります。

⚠️ 注意:二重精算は絶対にNG

出張手当や宿泊費を定額で支給している場合、実費の領収書で別途経費精算することはできません。たとえば宿泊費を定額支給しているのに、さらにホテルの領収書を経費として精算すると二重精算になります。税務調査で発覚した場合、否認された金額に対して法人税・所得税・住民税・消費税・社会保険料が追加で課される可能性があります。うっかりミスが起こりやすいので、社内でルールを徹底してください。

⚠️ 注意:出張経費は必ず個人カードで決済する

出張手当は「個人が立て替えた経費を後から会社が定額で補填する」という仕組みです。そのため、出張関連の支払いは必ず個人カードで決済してください。法人カードで法人払いにしてしまうと定額支給ができなくなり、二重精算につながる場合があります。

⚠️ 注意:記録を必ず残す

出張手当は有効な節税・資金移動手段である一方、税務調査でもよく確認されるポイントです。以下の記録を必ず保存してください。

  • 出張報告書
  • 旅費精算書
  • 領収書

また、毎回支給する日当の金額が違ったりすると利益調整とみなされ否認されることがあります。旅費規程に従って一貫したルールで支給し、その記録を客観的に残すことが最も重要です。

実際の税務調査では、金額の設定が常識的な範囲内であれば問題になることは少ないとのことです。ただし、記録の保存が不十分な場合に質問や指摘を受けるケースがあるため、客観的な証拠を残しておくことで余計なやり取りを減らすことができます。

📝 このセクションのまとめ

  • 出張旅費規程は株主総会の承認を得てから運用を開始する
  • 定額支給した費用について実費の領収書で別途精算する二重精算は絶対NG
  • 出張経費は必ず個人カードで決済し、法人カードは使わない
  • 出張報告書・旅費精算書・領収書を必ず保存し、客観的な証拠を残す
  • 日当の金額は毎回ルールに従って一貫して支給する

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 社長の資産防衛チャンネル の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
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