確定申告しなかった人の末路|無申告がバレる理由と罰則を税理士が解説
無申告はいつか必ずバレる。実例と罰則の仕組みを徹底解説します。
この記事で解説する内容
この記事では、以下のテーマについて実例を交えながら解説していきます。
- 長年にわたって無申告だった人の末路
- 副業が無申告だった人の末路
- お互いに無申告だった人たちの末路
- 無申告でも問題ない人の条件
- 金額が少なければバレないのか
なお、この記事は「青色申告で間違えた人の末路」「確定申告で凡ミスした人の末路」に続く、いわば三部作の第3弾にあたる内容です。
📝 このセクションのまとめ
- 無申告には複数のパターンがあり、それぞれ異なる末路をたどる
- 金額の大小にかかわらず、バレる仕組みが存在する
【実例①】法人設立後9年間にわたって無申告を続けた芸人の末路
まず1つ目の事例は、長年にわたって無申告を続けた芸人の話です。この方は人気のある芸人で、ずっと個人事業主として活動していましたが、2009年に法人化(法人成り)して一人会社を設立しました。
ところが、会社を設立した後も法人税の申告を行わず、2010年・2011年・2012年の3年間、無申告のまま放置してしまいます。その結果、税務署から「法人税の申告をしていないのではないですか」という郵便や電話によるお尋ねが届き、2012年6月25日に過去3年分の申告と納税を行いました。
📌 ポイント:税務署が「3年間泳がせる」理由
税務署は1年目から調査に行くこともできますが、どうせ行くなら3年間待ってからまとめて調査した方がコスパが良いという判断をすることがあります。税務調査でも原則3年間をさかのぼるため、3年間泳がされるケースは珍しくありません。
しかしこの芸人は、その後も懲りずに2013年・2014年・2015年の3年間も再び無申告を続けます。またしても税務署からお尋ねが届き、2015年7月23日に過去3年分の申告を行いました。
ここで重大な問題が発生します。申告はしたものの、納税を行わなかったのです。おそらく税理士からは「申告と同時に納税もしてください」と伝えられていたと思われますが、それを無視した結果、税務署から納税の督促が届きます。その督促も無視し続けた結果、2016年5月に銀行預金が差し押さえられ、強制的に納税が行われました。差し押さえが実行されるのは、かなり異例の事態です。
それでもこの芸人は止まりません。2016年・2017年・2018年もまた3年間無申告を続けます。実質9年間にわたって無申告を繰り返してきたため、国も本気で動きました。2018年9月、税務署よりも上位機関である国税局の税務調査が入ります。
この調査では過去4年分が調査対象となり、旅費・衣装代・高級腕時計など約2,000万円の経費が否認されました。さらに、これらの行為が「悪質」と認定されたため、通常の無申告加算税ではなく、より重い重加算税が課されることになりました。
その結果、2018年12月に4年前の修正申告と3年分の期限後申告を行い、追徴課税は1億円+住民税という多額の金額になりました。また、国税局がこの事実を公表したことでマスコミにも取り上げられ、この芸人は刑事告発こそ免れたものの、活動禁止に追い込まれました。
📝 このセクションのまとめ
- 税務署は3年間泳がせてからまとめて調査する戦略をとることがある
- 無申告を繰り返すと、税務署より上位の国税局が本格調査に乗り出す
- 差し押さえや活動禁止など、税金以外のダメージも大きい
- 追徴課税は1億円+住民税という多額に上った
加算税の種類と罰則の仕組み|無申告加算税と重加算税の違い
上記の事例を理解するうえで、加算税の仕組みを整理しておきましょう。加算税とは、本来の正しい税額に追加してかかる罰金のことです。加算税にはいくつか種類があります。
| 加算税の種類 | 適用される場面 | 税率 |
|---|---|---|
| 無申告加算税(税務調査前) | 期限後申告を自主的に行った場合 | 税額の5% |
| 無申告加算税(税務調査後) | 税務調査後に申告した場合(50万円以下部分) | 15% |
| 無申告加算税(税務調査後) | 税務調査後に申告した場合(50万円超部分) | 20% |
| 重加算税(申告あり) | 仮装・隠蔽が認定された場合 | 35% |
| 重加算税(無申告+仮装・隠蔽) | 無申告かつ仮装・隠蔽が認定された場合 | 40% |
つまり、1回目・2回目の期限後申告では通常の無申告加算税が適用され、50万円超の部分は1.2倍払えば許されるという状況でした。しかし3回目は悪質と判断されたため、重加算税(無申告+仮装・隠蔽)として40%の加算税が課されました。
📌 ポイント:延滞税の扱いの違い
無申告加算税の場合、税務署が3年間泳がせていても、延滞税は原則1年分で打ち止めになります。「3年間泳がせておいて3年分の延滞税を取るのはさすがにひどい」という考え方からです。一方、重加算税が適用された場合は、期限から全期間分の延滞税が取られます。4年前の分なら4年分の利息がかかるため、金額が大幅に膨らみます。
この芸人の事例がきっかけの一つとなり、「無申告への罰則がまだ甘いのではないか」という意見が多く出ました。その結果、2024年から無申告加算税の罰則が強化されました。
| 加算税の種類 | 2024年以降の税率 | 適用条件 |
|---|---|---|
| 無申告加算税(税務調査後・300万円超部分) | 30% | 税務調査後の申告 |
| 繰り返し無申告行為への追加加算 | +10% | 無申告を繰り返した場合 |
| 重加算税(無申告+仮装・隠蔽+繰り返し) | 最大50% | 40%+繰り返し加算10% |
⚠️ 注意
2024年以降、無申告を繰り返した場合の最大加算税率は50%になりました。本来の税額の1.5倍を支払わなければならないケースが生じます。「1回ぐらい大丈夫」という甘い考えは通用しません。
📝 このセクションのまとめ
- 無申告加算税は税務調査前なら5%、調査後は15〜20%
- 仮装・隠蔽が認定されると重加算税(35〜40%)に跳ね上がる
- 重加算税の場合は延滞税も全期間分かかる
- 2024年から繰り返し無申告にはさらに10%が加算され、最大50%の罰金になる
【実例②】源泉徴収があれば大丈夫と思い込んだ科学者の副業無申告
2つ目の事例は、副業が無申告だった科学者の話です。この方は勤務先の研究所から年間約1,000万円の給与を受け取っていました。さらに、著書がベストセラーになったことで書籍の印税、テレビ出演料、講演料などが積み重なり、副業収入が年間1億円超に達していました。
以前は確定申告をしていたこの方ですが、ベストセラーやテレビ出演が増えてから多忙になり、2006年・2007年・2008年の3年間、無申告を続けてしまいます。そして案の定、2009年8月に国税局の税務調査が入りました。
この科学者が無申告でも大丈夫と思っていた理由は、「源泉徴収されているから納税しなくても大丈夫」という誤解にありました。確かに、テレビ局や出版社からのギャラ・印税には源泉徴収の仕組みがあります。たとえばギャラや印税が100万円あれば、10%の10万円が源泉徴収として直接税務署に納められ、残り90万円が本人に支払われます。
📌 ポイント:源泉徴収だけでは足りないケース
通常であれば確定申告をすることで、源泉徴収で引かれすぎた税金が還付されます。しかしこの科学者のように副業で年間1億円超を稼ぐ高額納税者の場合、源泉徴収の10〜20%では全然税金が足りません。確定申告をしてさらに不足分を納税しなければならない立場なのに、それをしなかったのです。
では、なぜ税務署はこの事実を把握していたのでしょうか。テレビ局や出版社は、源泉徴収した税金を納めるだけでなく、年に1回「支払調書」を税務署にも送付しています。この支払調書によって、税務署はテレビ局や出版社がこの科学者にいくら支払ったかを把握しています。「この人は全然納税が足りていない」とわかっているわけです。
この科学者は2009年11月に過去3年分の期限後申告と納税を行いました。悪質な行為は認定されなかったため通常の無申告加算税が課されましたが、そもそもの金額が大きいため、追徴税額は1億6,000万円と発表されています。この方は「節税に興味はなく、ただ申告できなかっただけ」と述べましたが、世間から強い非難を受けました。
📝 このセクションのまとめ
- 「源泉徴収されているから大丈夫」は高額所得者には通用しない
- 支払調書によって、税務署は支払い先の収入を把握している
- 悪質性がなくても、金額が大きければ追徴税額は膨大になる(この事例では1億6,000万円)
【実例③】仮想通貨の節税コンサルを使ったお互い無申告スキームの末路
3つ目の事例は、2017年頃に仮想通貨(ビットコインなど)で大儲けした人たちと、いわゆる「節税コンサル」が組んだ脱税スキームの話です。
仮想通貨で大きな利益を得た場合、最高税率は住民税を合わせると55%にもなります。たとえば利益が8,000万円出た場合、かかる税金は4,400万円です。これほど重い税負担から逃れたいと考える人が続出した結果、SNSなどで「国税公認の合法な節税スキームがある」と宣伝する節税コンサルが現れました。
有名な節税コンサルが行っていたスキームの仕組みは次のとおりです。
- 節税コンサルが仮想通貨投資家に対して「仮想通貨のコンサルティングをした」という体裁を作る
- 投資家はコンサル料として8,000万円をコンサルの関連会社の口座に振り込む
- コンサルはカフェなどで現金6,000万円を投資家に手渡しで返す
- 投資家は「利益8,000万円-コンサル料経費8,000万円=課税所得0円」となり、税額ゼロで確定申告不要に
- コンサル側も関連会社口座に入れた8,000万円を何とかごまかして無申告にする
つまり、投資家もコンサルもお互い無申告というwin-winの状態を作り出す仕組みです。しかしこれはもちろん完全な脱税です。
⚠️ 注意:このスキームがバレやすい理由
このコンサルは1人の投資家だけを相手にしているわけではなく、多数の投資家に同じスキームを提供していました。その中の誰か1人が税務署に見つかれば、そこから芋づる式に全員に税務調査が入ります。これを「反面調査」といい、調査対象者だけでなくその取引先・関係先にも調査が及びます。
結果として全員に税務調査が入り、投資家側はどうなったかというと、実際には仮想通貨のコンサルなど行われておらず、そもそも8,000万円のコンサル料は高すぎるとして経費が全額否認されました。
その結果、投資家が受けたダメージは次のとおりです。
- 本来の税額約4,400万円の納税義務は変わらず残る
- コンサルに差し引かれた2,000万円は戻ってこない(税金+詐欺のダブルパンチ)
- 2018年以降に仮想通貨相場が崩れたためトリプルパンチ
- 仮装・隠蔽行為として重加算税が課され、罰金がさらに膨らむ
コンサル側は、この節税スキーム以外にも様々な詐欺的行為があったものの詐欺での立件は難しかったようで、最終的には脱税の容疑で検察に告発され、有罪判決を受けています。
📝 このセクションのまとめ
- 「合法な節税」と称した経費水増しスキームは完全な脱税
- 複数の関係者が同じスキームを使うと、1人がバレれば全員に調査が及ぶ(反面調査)
- 税金・詐欺被害・相場下落のトリプルパンチになるリスクがある
- コンサル側は有罪判決を受けた
確定申告が不要な人(無申告でもOKな条件)
ここまで無申告の怖い事例を紹介してきましたが、そもそも確定申告をしなくてよい人もいます。以下に該当する方は、無申告でも問題ありません。
| 対象者 | 条件・理由 |
|---|---|
| 年収2,000万円以内の会社員 | 年末調整で確定申告の代わりが完結するため |
| 1か所勤務のパート・アルバイト | 年末調整で完結するため |
| 年金が400万円以下の方 | 源泉徴収がすでにされているため |
| 個人事業主で合計所得が48万円以下の方 | 基礎控除の範囲内で納税額が0円になるため |
| 住民税を考慮した場合(大都市) | 合計所得が45万円以下であれば無申告でOK |
📌 ポイント:最終的な判断基準
細かい条件はいろいろありますが、最終的な判断基準は「納税額が0円かどうか」です。計算した結果、納税額が0円であれば確定申告をしなくても問題ありません。
📝 このセクションのまとめ
- 年末調整が完結している会社員・パート・アルバイトは原則不要
- 個人事業主は合計所得48万円以下(住民税考慮なら45万円以下)なら不要
- 最終的に納税額が0円なら確定申告は不要
金額が少なくてもバレる理由|無申告が発覚する3つのルート
「何千万・何億円あるならバレるかもしれないけど、何百万・何十万・何万円程度ならバレないのでは?」と思っている方もいるかもしれません。しかし実際には、金額が少なくてもバレるルートが複数存在します。
無申告が発覚する主な3つのルートは次のとおりです。
| バレるルート | 仕組み |
|---|---|
| ① 支払調書 | テレビ局・出版社・特定業種の支払先が年1回、支払調書を税務署に送付。税務署は収入を把握している |
| ② 反面調査 | 別の人の調査から芋づる式に発覚。取引先・関係者全員に調査が及ぶ |
| ③ 情報提供(密告) | 国税庁の密告サイトから第三者が通報。証拠があれば税務署は調査せざるを得ない |
無申告が発覚した場合、金額が小さければ基本的には郵送や電話でのお尋ねが届きます。「確定申告していないのではないですか?」という連絡が来た時点で、ほぼ状況は確定しています。それを無視し続けると、今度は税務調査が入ります。
⚠️ 注意:過去にさかのぼる年数と罰則
お尋ねや税務調査が来た場合、原則として過去3年分の申告が求められます。悪質と判断された場合は5年・7年と遡ることもあります。さらに以下の罰則が一度に課されます。
- 3〜7年分の納税
- 無申告加算税(2024年以降:15〜40%)または重加算税(35〜50%)
- 延滞税(年8.7%)
確定申告が必要な方が申告をしっかり行うことが、最も節税になります。
📝 このセクションのまとめ
- 支払調書・反面調査・密告の3ルートで金額が少なくてもバレる
- お尋ねが届いた時点でほぼ状況は確定している
- 過去3〜7年分の納税+加算税+延滞税が一度に課される
- 確定申告をきちんと行うことが最大の節税になる
終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル オタク会計士ch【山田真哉】 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。本サイトは オタク会計士ch【山田真哉】を応援しています!
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