中古車の減価償却で節税する落とし穴と賢い車の買い方を税理士が解説
中古車で節税しようとして大損するケースが続出。減価償却の仕組みから、ローンの活用法、金利交渉、値落ちしにくい具体的車種まで、法人・個人事業主向けに徹底解説します。
車の買い方3パターン:現金・ローン・ファイナンスリースの比較
車の買い方には大きく分けて3つのパターンがあります。それぞれのメリット・デメリットを整理しておきましょう。
| 購入方法 | 主なメリット | 主なデメリット |
|---|---|---|
| 現金購入 | 節税効果あり(減価償却による税金の先送り) | 手元キャッシュが一気になくなる/他の投資機会の損失 |
| ローン購入 | 手元にキャッシュがなくても買える/節税効果は現金と同等 | 毎月の返済負担/金利負担 |
| ファイナンスリース | 毎月の支払いを抑えられる/頭金不要 | リース期間定額法での償却が必要/節税効果が低い/中途解約不可/金利負担が大きい |
買い方としておすすめなのはローン一択です。現金購入は帳簿上の節税効果はローンと同じですが、手元のキャッシュが一気になくなってしまいます。事業においては現金を手元に残しておくことが非常に重要です。
以前、会社の中古車を現金500万円で購入したことがありましたが、手元のキャッシュがなくなって心もとない感じになりました。帳簿上の節税効果は同じなのですから、できる限り事業においては現金を使わずに済む方法を選ぶべきです。
📝 このセクションのまとめ
- 節税効果は現金もローンも同じ
- 事業用キャッシュを守るためにローンが最善
- ファイナンスリースは節税効果が低く中途解約もできないため不利
減価償却の基本:定率法と定額法の違いを理解する
減価償却とは、家計簿にはない会計独特の概念です。車・建物・機械・設備など長期間使用するものは、国税庁が定める耐用年数にわたって少しずつ経費化していかなければなりません。一般の乗用車の耐用年数は6年と定められています。
購入した年度はキャッシュ(頭金など)が出ていき、その後もローン返済資金が出ていきますが、それ以外に大きなキャッシュの動きはありません。このようにお金の動きと帳簿上の経費の動きがずれる仕組みが減価償却です。
減価償却の計算方法には代表的なものが2つあります。
| 償却方法 | 特徴 | 対象 |
|---|---|---|
| 定率法 | 初年度にドーンと大きく経費計上。年が経つにつれて償却費が減少していく。決算直前購入は月数按分が必要なため節税効果が低下する場合も。 | 法人(原則) |
| 定額法 | 毎年・毎月均等額を経費に落としていく。 | 個人事業主(原則) |
⚠️ 注意
個人事業主が定率法で償却しようとする場合は、事前に「償却方法の変更届出」を税務署に提出する必要があります。届出なしに定率法を使うことはできません。
📝 このセクションのまとめ
- 乗用車の耐用年数は6年
- 法人は原則定率法、個人事業主は原則定額法
- 個人事業主が定率法を使うには事前に届出が必要
- 減価償却はあくまで税金の「先送り」であり免税ではない
経済合理性で考える車選び:リセールバリューの視点が重要
車好きでない中小企業の社長が無理に車を買って節税するのはおすすめしません。ただし、車好きの社長であれば好きな車をローンで買うのは良い選択です。その上で、経済合理性も合わせて考えることが大切です。
ファイナンス的に見ると、車の価値の動き方には大きく3パターンあります。
- 買った時より売る時に価値が上がる可能性がある車(稀だが存在する)
- 緩やかに価値が下がっていく車(値落ちが緩やか)
- 急激に価値が下がる車(購入直後から大幅に下落)
📌 ポイント
減価償却はあくまで帳簿上の話です。実際に車を売却する際には売却益(売却損)が発生します。価値が急落した車を買うと、節税効果を得ても実態の財務では損をしているケースがあります。不動産と同様に「入口と出口」を意識した車選びが重要です。
乗りつぶすことが前提の方や、どうしてもその車が好きで買いたいという方は別として、車を節税に活用したい方は①か②のカテゴリに入る車種を選ぶのがおすすめです。
📝 このセクションのまとめ
- 車の価値変動には3パターンある
- 節税目的なら値落ちしにくい車種を選ぶのが合理的
- 売却時の価値(出口)を逆算して車種・グレード・色を選ぶ
金利交渉・購入先選び・残価設定ローンの賢い使い方
オートローンで車を購入する場合、金利が3〜4%程度かかることが多く、これがネックになって現金購入を選ぶ方もいます。しかし、実は金利は交渉できる可能性があります。
車を買う際に値引き交渉をする方は多いですが、金利の交渉をする人はほとんどいません。ディーラーでは難しい場合もありますが、中古車屋さんなどでは金利の値引き交渉ができる可能性があります。ぜひ試してみてください。
⚠️ 注意
大手カーディーラーや大手中古車チェーンは反響費(店舗維持費・広告費など)が高い分、車両価格や金利に上乗せされている可能性があります。金利が4%を超えるようであれば、銀行などから事業資金として調達する方法も検討に値します。
購入先については、ディーラー系と一般の中古車屋さんそれぞれに特徴があります。
| 購入先 | 特徴 | 注意点 |
|---|---|---|
| ディーラー・大手中古車チェーン | 安心感・品質保証がある | 店舗維持費などの経費が車両価格や金利に反映されている可能性がある |
| 良心的な中古車屋さん | オークションから仕入れ、経費をなるべくかけずに良いものを安く提供 | 店によって品質・対応にばらつきがある |
本当に良い車は店頭に並ぶ前にすでに売れてしまうことが多いです。不動産と同様に、マーケットに出てくる前に決まってしまうものです。逆に、いつまでも店頭に並んでいる車は、何らかの理由で売れ残っている可能性があるため、注意が必要です。
残価設定ローンは2種類ある
残価設定ローンとは、最後に売却する際の残価の部分だけ返済を据え置くことで、毎月の支払額を抑えられるローンです。個人的にも活用していますが、実はこの残価設定ローンには2種類あります。
| 種類 | 特徴 | 自由度 |
|---|---|---|
| 通常の残価設定ローン | ディーラーが最終回の残価額と月額を決めてくる。選択肢が限られる。 | 低い |
| 変則型残価設定ローン | 大手ファイナンス会社が提供。月額・残価額・年数を自由に設定できる。 | 高い |
📌 ポイント
変則型残価設定ローンを使うと、「何年後にいくらまでの残価にしておけばいいか」を逆算しながら設計できます。値落ちしにくい車種と組み合わせることで、高級車でも月々の支払いを大幅に抑えて乗れるケースがあります。こうした設計をコンサルティングしてくれる中古車屋さんを見つけることが重要です。
なお、銀行からの資金調達だと残価設定ができず元利均等払いになってしまう点も覚えておきましょう。また、残価設定ローンのリスクとして値落ちがあります。戦争などの地政学的リスクで輸出ルートが止まると、相場が急落することもあります。長期的な視点でどの程度の支払いに抑えておくか、ラインを設定しておくことが大切です。
また、運転が荒い場合や夏の雹(ひょう)による傷など、外的要因でも車の価値は下がります。特に高級車ほど影響が大きいため、シャッター付きの車庫での保管を強くおすすめします。
📝 このセクションのまとめ
- 金利は交渉できる可能性がある。特に中古車屋さんでは積極的に交渉すべき
- 金利4%超えなら銀行融資との比較検討も有効
- 残価設定ローンは「通常型」と「変則型」の2種類がある
- 変則型は自由度が高く、賢く設計すれば高級車も低コストで乗れる
- 雹・傷・盗難など価値を下げるリスクにも注意
値落ちしにくい国産車の具体的おすすめ車種(2025年3月時点)
ここからは価格帯別に、リセールバリューの観点から安定している具体的な車種を紹介します。なお、以下の情報は2025年3月1日時点の情報です。
100万〜200万円帯
| 車種 | おすすめポイント | おすすめの色・グレード |
|---|---|---|
| N-BOX カスタム(ホンダ) | 値落ちが非常に少ない「化け物」級のリセール安定性 | 白(ホワイト)のカスタムグレード |
| シエンタ 先代型(トヨタ) | ずっと安定したリセールを維持。業務用にもファミリー用にも使いやすい | 白・黒系が無難 |
200万〜300万円帯
| 車種 | おすすめポイント | おすすめの色・グレード |
|---|---|---|
| ジムニー(スズキ) | 最強クラスのリセール安定性。値段がほぼ変わらない。5ドアモデル登場後の相場動向に注目。 | ベージュ・カーキ(深緑)がファーストチョイス |
| ハリアー 先代型(トヨタ) | 昔から人気が高く値段が安定。何十万kmと乗っても価値がつく「狂った」車種。乗り潰し用としても優秀。 | グレード:プレミアム系 |
300万〜400万円帯
| 車種 | おすすめポイント | おすすめの色・グレード |
|---|---|---|
| ハリアー 現行型(トヨタ) | この価格帯でも最強クラス。ハイブリッドは400万を超える場合も。 | グレード:Z レザー(ツートーンルーフ付き) |
| ノア・ヴォクシー(トヨタ) | 3列シートで7人乗り。ファミリー層に特におすすめ。先代・現行どちらでも安定。 | 白・黒が無難。ノアは全グレードOK。ヴォクシーはZS煌(きらめき)系・現行ならSZなど。 |
400万〜500万円以上
| 車種 | おすすめポイント | おすすめの色・グレード・年式 |
|---|---|---|
| ランドクルーザー(トヨタ) | 買った値段より高く売れることもある。中古車しか買えない状況で、古い年式の方が高いという逆転現象が起きることも。 | グレード:TX-L(内装ベージュ)+サンルーフは必須(有無で最大100万円差)。令和4年頃の年式で3年乗って売却も選択肢。 |
| プラド(トヨタ) | 新型がなく中古車のみ。供給制限から古い年式が高値になるケースあり。 | サンルーフは絶対につけること |
| レクサス RX(トヨタ・レクサス) | レクサス車種の中でも特に安定。一度値落ちが止まった後はほぼ横ばいを維持。役員車としても人気。 | 平成29〜30年式の前期型が特におすすめ |
| アルファード・ヴェルファイア(トヨタ) | 国産最強クラスのリセール。現行型はヴェルファイアの方がやや有利、先代型はアルファードが有利。 | ガソリン車がコストパフォーマンス的に有利(ハイブリッドと値落ち率はほぼ同じ) |
⚠️ 注意:盗難リスクに要注意
上記で紹介したトヨタ系の車種はすべて盗難リスクが高い車種です。海外に売り飛ばされるケースも実際に多く発生しています。車両保険への加入は必須です。ローンが残っている状態で盗難に遭い、保険なしだとローンだけが残る最悪の事態になります。必ず盗難補償のある車両保険に加入してください。
📝 このセクションのまとめ
- 100〜200万:N-BOXカスタム(白)・シエンタ先代型
- 200〜300万:ジムニー(カーキ・ベージュ)・ハリアー先代型
- 300〜400万:ハリアー現行型(Zレザー)・ノア/ヴォクシー
- 400万以上:ランドクルーザー(サンルーフ必須)・レクサスRX(H29〜30年式)・アルファード/ヴェルファイア
- 色は白・黒が最大公約数的に安定したリセールを維持しやすい
- 盗難リスクが高いため車両保険は必ず加入すること
外車・輸入車のリセールバリュー:ポルシェ・ベンツ・フェラーリの実態
国産車と比較すると、輸入車は全般的に値落ちが大きくなる傾向があります。その中でも比較的安定しているものを紹介します。
フェラーリ vs ランボルギーニ
フェラーリとランボルギーニを比較すると、リセール安定性の面ではフェラーリの方が有利です。顧客層も若干異なり、ランボルギーニはギラついた若い層が多く、フェラーリは紳士的な層が多いイメージです。フェラーリは常にファンがいるため、値落ちしにくい傾向があります。
ポルシェ
輸入車の中でリセールが最も安定しているのはポルシェです。ただし、車種・グレードの選択が重要です。
- おすすめ:ポルシェ 911 GTSグレード(リセール最強)
- ボクスター・ケイマン:悪くはないが911ほどではない
- カイエン・パナメーラなど他モデル:リセールは非常に難しい
メルセデス・ベンツ Gクラス(ゲレンデ)
ベンツの中ではGクラス(ゲレンデ)が比較的安定しています。具体的にはG400D・令和4年式が特におすすめです。さらに、左ハンドルの方が右ハンドルより最大100万円ほど高値がつく場合があります。海外にそのまま輸出できるため、海外バイヤーからの需要が高いためです。運転のしにくさが気にならないなら、左ハンドルを選ぶ方が有利です。
値落ちが激しい輸入車
⚠️ 注意:以下の車種はリセールが非常に厳しい
- BMW・アウディ・ボルボなど一般的な欧州車:爆裂に値落ちする
- マクラーレン・ベントレー・アストンマーティン:確率的に大幅な値落ちあり
- マセラッティ:リセールが非常に厳しい
上記の車種は購入直後から大幅に価値が下落するケースがあります。帳簿上の減価償却で節税できても、実態の財務では貸借対照表上の資産価値が大きく落ちているという状況になりかねません。
どうしても車が好きでリセールを気にせず買いたいという方はそれでも構いませんが、財務を強化したい・車を有効活用したいという方は、リセールの良い車種を選ぶことが重要です。また、売却益(売却損)を意識して車を売るというケースも多くあります。
📝 このセクションのまとめ
- 輸入車全般は国産に比べて値落ちしやすい
- ポルシェ911 GTSグレードが輸入車の中では最もリセールが安定
- ベンツGクラスは左ハンドルの方が最大100万円高値がつく場合がある
- BMW・アウディ・ボルボ・マクラーレン・ベントレー等は爆裂に値落ちする
- 財務強化目的なら、リセールの良い車種を選ぶことが大前提
中古車節税で大損しないための総まとめ
ここまでの内容を踏まえて、中古車を使った節税で失敗しないためのポイントを整理します。
📌 賢い車の買い方・選び方チェックリスト
- 購入方法はローン一択:事業用キャッシュを守るため、現金購入は避ける
- 金利は交渉する:特に中古車屋さんでは金利交渉が可能な場合がある。4%超えなら銀行融資も検討
- 残価設定ローンを活用する:できれば変則型を選び、月額・残価・年数を自由に設計する
- 何年乗るかを決めてから逆算する:乗り換え時の査定額を見込んで残価設定を組む
- リセールの良い車種・グレード・色を選ぶ:出口を意識した車選びが財務強化につながる
- 車両保険に必ず加入する:特にトヨタ系の人気車種は盗難リスクが高い
- 保管場所に気をつける:シャッター付き車庫で雹・傷・盗難リスクを最小化する
車選びは「入口と出口」の両方を意識することが大切です。節税効果だけを見て欲しい車を何も考えずに買うだけでは、実態の財務では損をしている可能性があります。リセールバリューを意識した車種・グレード・色の選択と、変則型残価設定ローンを組み合わせることで、憧れの高級車に低コストで乗ることも夢ではありません。
終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。本サイトは 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士を応援しています!
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