福利厚生費で節税10選!会社のキャッシュと社員の手取りを増やす方法を税理士が解説
福利厚生費を正しく活用すれば、会社の経費も増えて社員の手取りも増える一石二鳥の節税が実現できます。
福利厚生費とは何か?交際費・消耗品費との違い
福利厚生費とは、法人が従業員・スタッフとその家族のために支払う、給料以外のサービスや制度にかかる費用のことです。従業員の生活の質の向上、モチベーションアップ、働きやすい環境を整えることを目的としています。
福利厚生費と混同しやすい費用として「交際費」と「消耗品費」があります。それぞれの違いを整理すると次のとおりです。
| 費用の種類 | 対象 | 具体例 |
|---|---|---|
| 福利厚生費 | 従業員・その家族向け | 社宅家賃、食事補助、健康診断費用 |
| 交際費 | 法人外の人(クライアントなど)向け | クライアントとの会食代 |
| 消耗品費 | 業務に直接必要なもの | ボールペン、ファイルなど(使用期間1年程度・10万円未満が基本) |
例えば、従業員の食事代を会社が負担した場合は福利厚生費として処理しますが、クライアントとの会食代を負担した場合は交際費扱いになります。
📝 このセクションのまとめ
- 福利厚生費は従業員・家族向けの給料以外のサービス・制度にかかる費用
- 交際費は法人外の人向け、消耗品費は業務直接必要品が対象
- 消耗品費は使用期間1年程度・10万円未満が基本
福利厚生費として経費計上するための4つの条件
福利厚生費として費用に計上するには、次の4つの条件をすべて満たす必要があります。
- 給与ではないこと
- 現金や換金性の高いものではないこと
- 全従業員が利用できること
- 社会通念上、妥当な金額であること
それぞれの条件について詳しく見ていきます。
① 給与ではないこと
給料は労働への対価として支払われるものです。一方、福利厚生費は従業員やその家族の生活の安定・労働環境の改善のために使われるお金です。一見福利厚生費のように思える「住宅手当」は、給与にプラスして支払われるため給料として計上します。
② 現金や換金性の高いものではないこと
勤続年数などの表彰で現金や商品券を支給する場合は福利厚生費にはなりません。現金・商品券を支給する場合は給料として扱います。
⚠️ 注意
「従業員に喜ばれるから」という理由で商品券を支給しても、福利厚生費にはなりません。商品券は換金性が高いため、給与として課税対象になります。
③ 全従業員が利用できること
役員や一部の社員のみが利用できる場合は福利厚生費になりません。例えば全員参加可能な忘年会は福利厚生費として処理できますが、その後に希望者だけで行く二次会は福利厚生費になりません。
④ 社会通念上、妥当な金額であること
特に決まった金額の上限があるわけではありませんが、常識の範囲内であることが求められます。例えば、社員をねぎらう目的の旅行でも、高額すぎる食事代や海外の高級ホテルへの1週間滞在などは福利厚生費として計上できません。伊豆の旅館に1泊するのはOKでも、ドバイの超高級ホテルに1週間というのは状況次第で認められない場合があります。
📝 このセクションのまとめ
- 給与ではない・現金換金性なし・全員利用可能・妥当な金額の4条件が必要
- 住宅手当は給与扱い、商品券も給与扱いになるので注意
- 一部の社員・役員のみが使えるものは福利厚生費にならない
節税方法①〜③:社宅・食事補助・健康診断
① 社宅を借りて節税する
役員や社員が賃貸物件に住んでいる場合、会社がその物件を借り上げて社宅として転貸することで節税が可能になります。会社が家主(オーナー)に家賃を全額支払い、実際に住んでいる社員・役員から例えば50%を受け取ります。残りの50%は会社の経費にすることができます。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 会社が支払う家賃(オーナーへ) | 20万円 |
| 社員から会社への家賃負担 | 10万円 |
| 会社が経費計上できる差額 | 10万円 |
📌 ポイント
社宅制度を使うと、会社の経費が増えるだけでなく、社会保険料の負担軽減と社員・役員の手取り増加という2つの追加メリットもあります。多くの会社がすでに活用している制度です。なお、社宅の家賃に上限・下限の明確な規定はありませんが、常識の範囲内の金額にする必要があります。
② 残業時の食事代
残業時の食事代を会社が負担した場合、給与として課税されません。食事は残業が終わった後でも構いませんが、残業後に居酒屋などで飲食した場合は適正な証明がないと否認されることがあるので注意が必要です。また、勤務時間外であることが必要で、通常の勤務時間内の食事代には適用できません。
勤務時間内の食事(社員食堂など)を福利厚生費として計上する場合は、従業員負担分を給与から差し引くという要件を満たす必要があります。会社側が負担できる金額の上限は次のとおりです。
| 項目 | 上限金額 |
|---|---|
| 1人あたり1か月の会社負担上限 | 3,500円 |
| 1人あたり年間の会社負担上限 | 4万2,000円 |
| 従業員20人の場合の年間経費上限 | 84万円 |
例えば社員食堂のランチが500円で、1か月に20日利用した場合、会社が3,500円を負担すれば、従業員の1日あたりの実質負担は約325円になります。毎日外食するよりも大幅にコストを抑えられます。
📌 ポイント:ランチミーティングの場合
社外の人を含めて勤務時間内に会議を行い、お弁当などを提供した場合は福利厚生費ではなく「会議費」として経費にできます。議事録や参加メンバーの名前・会議の目的がわかる記録を残しておくことが大切です。
③ 健康診断費用
健康診断にかかる費用は本来個人が負担するものですが、役員・社員の全員を対象として会社が費用を負担した場合は経費になります。特定の人だけを対象とした場合は経費になりませんが、「一定の年齢以上の人に限定する」という条件であれば経費として認められます。
⚠️ 注意
従業員に診断料を現金で支給して、各自が医療機関に支払う形では福利厚生費になりません。会社が医療機関に直接費用を支払うことが必要です。
📝 このセクションのまとめ
- 社宅は家賃の50%を経費化でき、社会保険料軽減・手取り増加のメリットもある
- 食事補助は1人月3,500円(年4万2,000円)まで会社が負担できる
- 健康診断は全員対象かつ会社が直接医療機関に支払うことが条件
節税方法④〜⑥:出張手当・社員旅行・ユニフォーム
④ 出張手当
宿泊を伴う出張が多い会社は、出張旅費規定を作成して出張手当の制度を整えることが節税につながります。出張旅費規定に基づいて決まった額を出張手当として支給した場合、全額を会社の業務上必要な経費として計上できます。
従業員の側でも、旅費の実費ではなく規定に基づいた額が支給されるため、旅費を節約すれば実質的に手取り額が増えます。しかも給与所得として扱われないため所得税がかかりません。給料ではないので社会保険料もかかりません。
| 役職 | 目安の出張手当 |
|---|---|
| 社長・役員 | 5,000円〜1万円程度 |
| 一般社員 | 3,000円程度 |
⚠️ 注意
出張手当の金額は社会通念上相当な範囲(常識的な範囲)に設定しなければなりません。また、税務調査に備えて出張の記録(出張報告書など)をきちんと作成・保管しておくことが重要です。出張旅費規定の雛形はインターネット上に多く公開されているので活用してください。
⑤ 社員旅行を経費にする
次の4つの条件を満たした社員旅行は、かかった費用を経費として計上できます。
- 旅行の期間が4泊5日以内であること
- 旅行に参加した人数が全体の50%以上であること
- 欠席者に現金支給を行わないこと
- 費用が少額(一般的に1人あたり10万円程度)であること
📌 ポイント:研修旅行の場合
業務に必要な研修であれば給与課税されません。ただし私的な旅行ではないかと疑われる可能性があるため、研修資料・日程表などの資料を整備して研修の実態を示すことが必要です。
⑥ 作業服・ユニフォームを支給する
次の要件を満たす制服・ユニフォームとして認められれば、かかった費用はすべて福利厚生費となります。
- 社内でのみ着用するものであること
- 会社のロゴなどが入っていること
- 現場・工場などで着用する作業服、または同じ部署の全社員が着用するものであること
- 高級なものでないこと
📝 このセクションのまとめ
- 出張手当は所得税・社会保険料がかからず、会社・従業員双方にメリットがある
- 社員旅行は4泊5日以内・参加率50%以上・現金支給なし・1人10万円程度が目安
- ユニフォームはロゴ入り・社内専用・全員着用・高級品でないことが条件
節税方法⑦〜⑩:通勤手当・レクリエーション・勤続表彰・慶弔費
⑦ 通勤手当を支給する
通常の給料とは別に通勤手当を支給する場合、時間・運賃・距離などの事情を考慮して最も経済的・合理的な通勤経路の定期代と同額までが非課税となる限度額です。遠回りの経路や非効率な通勤方法に対する手当は認められません。
📌 ポイント:新幹線通勤など高額になる場合
新幹線通勤などで通勤手当が高額になる場合、1か月あたり15万円が上限となります。15万円を超える部分については非課税にはなりません。
⑧ レクリエーション・イベントを開催する
スキー、テニス、カラオケ、ボウリングなどのレクリエーション大会を開催してその費用を負担しても、従業員に対して給与課税されません。それに伴う飲食代や宿泊費用も一般的な金額であれば問題ありません。
⚠️ 注意
以下の場合は給与課税されてしまいます。
- 役員や特定の人しか参加しない場合
- 半分以上が不参加の場合
- 負担する費用が多額の場合
- 不参加者に金銭を支給する場合(選択の自由があるとみなされる)
⑨ 勤続表彰
例えば10年以上勤続した従業員や役員に記念品を支給したり旅行に招待したりする場合、所得税は課税されません。ただし、妥当な金額であることが求められます。
目安として、20年勤続の社員を夫婦で国内旅行(10万円程度)に招待するのは問題ないレベルとされています。
⚠️ 注意
- 5年ごとなど一定の間隔を空けて表彰する必要があります。3か月や半年など短すぎる期間では認められません。
- 現金や商品券を渡すと給与課税されます。
- 高額すぎるものを贈ると給与課税されます。
⑩ 慶弔費
役員や従業員に対して、出産祝い・結婚祝い・入学祝い・病気のお見舞い・香典などを支給した場合、社会通念上相当と認められる金額であれば課税されません。
| 慶弔の種類 | 目安金額 |
|---|---|
| 結婚祝い | 5万円程度まで問題なし |
| 出産祝い・入学祝い・お見舞い・香典 | 一般的な相場に合わせた金額 |
金額の相場は世間一般の慶弔費の水準を参考に、「社会通念上相当」と考えられる範囲に収めることが大切です。
📝 このセクションのまとめ
- 通勤手当は合理的な経路の定期代相当額まで非課税、上限は月15万円
- レクリエーションは全員参加可能・金額が適正であることが条件
- 勤続表彰は5年以上の間隔・記念品や旅行招待(現金・商品券はNG)
- 慶弔費は結婚祝い5万円程度など社会通念上相当な金額であれば非課税
福利厚生費10選まとめ:会社も社員も得をする節税活用術
今回ご紹介した10項目を一覧で整理します。いずれも会社の経費が増えるだけでなく、従業員の手取りが増えることにもつながる、会社・社員双方にメリットのある節税方法です。
| No. | 節税方法 | 主なポイント |
|---|---|---|
| ① | 社宅 | 家賃の50%を経費化、社会保険料軽減も |
| ② | 食事補助・残業時食事代 | 月3,500円(年4万2,000円)まで会社負担可 |
| ③ | 健康診断 | 全員対象・会社が直接医療機関に支払うこと |
| ④ | 出張手当 | 所得税・社会保険料なし、旅費規定の整備が必須 |
| ⑤ | 社員旅行 | 4泊5日以内・参加率50%以上・1人10万円程度 |
| ⑥ | 作業服・ユニフォーム | ロゴ入り・社内専用・全員着用・高級品でないこと |
| ⑦ | 通勤手当 | 合理的経路の定期代相当額まで、上限月15万円 |
| ⑧ | レクリエーション・イベント | 全員参加可能・適正金額・不参加者への現金支給なし |
| ⑨ | 勤続表彰 | 5年以上の間隔・記念品や旅行招待(現金・商品券はNG) |
| ⑩ | 慶弔費 | 結婚祝い5万円程度など社会通念上相当な金額 |
📌 ポイント
福利厚生費の活用は、会社の節税だけでなく従業員の手取り増加・社会保険料の軽減・採用・定着率の向上にもつながります。まだ整備できていない制度があれば、ぜひ顧問税理士と相談しながら導入を検討してみてください。
終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル 社長の資産防衛チャンネル の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。本サイトは 社長の資産防衛チャンネルを応援しています!
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