白色申告のメリット・デメリットを税理士が解説|個人事業主の確定申告を自分でやる方法

白色申告のメリット・デメリットを税理士が解説|個人事業主の確定申告を自分でやる方法
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白色申告は「節税と無縁」と思われがちですが、実は使える節税策もあります。メリット・デメリットを正しく理解して確定申告に臨みましょう。

税理士難民時代に突入?確定申告は自分でやる時代へ

税理士の仕事はAIの台頭によってなくなるとメディアで騒がれていますが、昨今それどころか、実は現在税理士業界は人手不足で、仕事がなくなるどころではありません。おそらく今後、税理士に依頼したくてもなかなか依頼を受けてくれるところが見つからない、という時代に突入してもおかしくない状況です。

もちろん法人税の申告書などは難しくてボリュームも多く、正直ハードルが高いのですが、所得税の確定申告は実はそんなに難しくありません。頑張れば自分でできます。今回はこの確定申告の「白色申告」というものに焦点を当てて解説していきます。

📌 こんな人に白色申告がおすすめ

  • 確定申告が初めての初心者
  • 売上が1,000万円未満の方
  • インボイス登録がない(消費税の申告が不要な)方
  • 節税や事業拡大・融資に一切興味がない方
  • 税理士に依頼する資金的余裕がない方

📝 このセクションのまとめ

  • 税理士業界は人手不足であり、今後は依頼できない「税理士難民」時代になる可能性がある
  • 所得税の確定申告は法人税申告書ほど難しくなく、自分でも対応できる
  • 売上1,000万円未満・インボイス未登録・初心者には白色申告が特におすすめ

青色申告と白色申告の違いを比較

そもそも青色申告とは何かというと、一言で言えば「頑張って真面目に帳簿をつけた人に対して、節税の特典を色々与えよう」という制度です。青色申告を実際にやるためには、事前の届け出が必要になります。

青色申告の「特別控除」として、実際にお金が出ていっているわけではないのに、概算経費のような形で控除が認められます。帳簿の種類によって控除額が異なります。

帳簿の種類控除額条件
簡易帳簿(損益計算書のみ)10万円簡易簿記での帳簿作成
複式簿記(損益計算書+貸借対照表)55万円複式簿記の原則に沿った帳簿
複式簿記+電子申告65万円e-Taxによる電子申告を行った場合

青色申告のその他の特典として、以下のようなものがあります。

  • 専従者給与:要件はありますが、家族に給与を支払って経費に落とすことができる
  • 赤字の繰越控除:赤字が発生した時は3年間翌年以降に繰り越すことができ、未来の節税が可能
  • 減価償却の特例:1個あたり30万円未満のものであれば、年間トータル300万円まで全額一括で経費計上が可能

一方、白色申告についてまとめると次のとおりです。

項目青色申告白色申告
事前の届け出必要不要
特別控除10万・55万・65万円なし
帳簿義務複式簿記(または簡易)簡易帳簿のみ
決算書類青色申告決算書(4ページ)収支内訳書(2ページ)
家族への給与専従者給与(全額経費)専従者控除(配偶者86万円・その他親族50万円まで)
赤字の繰越控除3年間可能不可
30万円未満の一括経費計上可能(年300万円まで)不可

📝 このセクションのまとめ

  • 青色申告は「帳簿を頑張った人への節税特典制度」であり、事前届け出が必要
  • 白色申告は届け出不要・帳簿が簡易・決算書が少ない分、節税特典は限られる
  • 専従者控除として配偶者86万円・その他親族50万円までは白色申告でも認められる

白色申告のメリット①:帳簿の作成が簡単・会計ソフト不要

青色申告で55万円・65万円の控除を受けるためには、損益計算書(PL)と貸借対照表(BS)の両方を作成する必要があり、会計ソフトの導入が必須となります。

ところが白色申告であれば、複式簿記の帳簿は不要です。いわゆる「単式簿記」、つまり家計簿のようなもので構いません。収入と経費、お金の出し入れさえはっきりしていれば十分です。

📌 白色申告の帳簿記載例(国税庁サイトより)

紙の帳簿でもExcelで作成したものでも構いません。以下のような形式で記録します。

  • 3月3日:売上取引 〇〇商事より 9,900円 → 売上欄に記入
  • 3月4日:仕入れ △△商店より駄菓子 80円(軽減税率8%) → 仕入欄に記入
  • 3月4日:仕入れ △△商店より消しゴム 1,100円 → 仕入欄に記入
  • 3月6日:外注費 動画編集費 5,000円 → 外注工賃欄に記入

最終的に科目ごとに年間分を集計し、そのまま収支内訳書に転記すればOKです。

それでも手書きやExcelが辛いという方には、会計ソフトの活用がおすすめです。

  • やよいの白色申告オンライン:白色申告であれば無料で使える
  • Taxnote(タックスノート):スマホアプリで、左右にスワイプするだけで確定申告書が完成するという優れもの

📝 このセクションのまとめ

  • 白色申告は単式簿記(家計簿レベル)でよく、会計ソフトは必須ではない
  • 収入・経費の出し入れを記録し、科目ごとに集計して収支内訳書に転記するだけでOK
  • やよいの白色申告オンラインは無料、スマホアプリのTaxnoteも活用できる

白色申告のメリット②:決算書の枚数が青色申告の半分

青色申告の場合、「青色申告決算書」として以下の4ページを作成する必要があります。

  1. 損益計算書(1ページ目)
  2. 売上・仕入れの内訳、給与の内訳、専従者給与の情報、地代家賃の内容など(2ページ目)
  3. 売上・仕入れ各取引先と取引金額、インボイスナンバーなど(3ページ目)※今年から記載項目が増加
  4. 貸借対照表(4ページ目)※会計ソフトなしでは埋めるのが至難の技

さらにこれとは別に、所得税の確定申告書が最低でも2枚あるため、合計で6枚以上を最低限書かなければなりません。

一方、白色申告の場合は「収支内訳書」として以下の2ページのみです。

  1. 簡易版の損益計算書+給与・専従者の内訳(1ページ目)
  2. 売上・仕入れの内訳、インボイスナンバー、減価償却関連(2ページ目)

📌 決算書のボリューム比較

申告方法決算書の枚数申告書合計
青色申告4ページ(青色申告決算書)最低6枚以上
白色申告2ページ(収支内訳書)青色申告の半分

📝 このセクションのまとめ

  • 青色申告の決算書は4ページ+申告書で合計6枚以上必要
  • 白色申告の収支内訳書は2ページのみで、青色申告の半分のボリューム
  • 青色申告の貸借対照表は会計ソフトなしでは作成が非常に困難

白色申告のメリット③:最低限の節税策は使える

白色申告を選んだ瞬間に節税とは無縁になる、と思われている方がいらっしゃるかもしれませんが、まあまあ使えるんです。白色申告者でも以下の節税策を使うことができます。

  • 家事按分:プライベートと仕事両方にまたがるものは、客観的な証拠をもとに一部を経費計上可能(正式名称:家事関連費)。これは所得税の条文上、青色・白色で実質的に同じ扱い
  • 10万円未満の少額減価償却資産:青色申告の30万円特例は使えないが、10万円未満のものであれば青色・白色関係なく一括で経費計上可能
  • 一括償却資産(20万円未満):10万円超で20万円未満のものであれば、3年間で均等償却(一括償却)が使える
  • 専従者控除:配偶者は最大86万円、それ以外の親族は最大50万円まで控除(経費のような形で)認められる
  • 小規模企業共済:事業主の退職金制度として掛金を全額所得控除できる
  • iDeCo(個人型確定拠出年金):掛金を全額所得控除できる、今流行りの節税手段

📌 少額資産の経費計上ルール(白色申告の場合)

取得価額処理方法青色申告との違い
10万円未満全額一括経費計上青色・白色とも同じ
10万円以上20万円未満3年間均等償却(一括償却資産)青色・白色とも同じ
20万円以上30万円未満通常の減価償却青色申告は一括経費計上可能(白色は不可)
30万円以上通常の減価償却同上

📝 このセクションのまとめ

  • 白色申告でも家事按分・少額資産の一括経費・専従者控除・小規模企業共済・iDeCoは使える
  • 10万円未満の資産は青色・白色関係なく一括経費計上可能
  • 青色申告よりは制限されるが、「節税と完全無縁」というわけではない

白色申告のデメリット①:節税効果が薄い

ここからが本題です。白色申告には当然デメリットもあります。まず1つ目は、やはり節税効果が薄いという点です。

青色申告であれば、赤字が出た時の損失3年間の繰越控除、専従者給与として家族への給与を全額経費計上、30万円未満のものを年間300万円まで一括経費計上など、節税しようと思えば青色申告の方が圧倒的に有利です。

📝 このセクションのまとめ

  • 赤字の繰越控除・専従者給与・30万円未満の一括経費計上は白色申告では使えない
  • 節税を積極的に行いたい場合は、青色申告の方が圧倒的に有利

白色申告のデメリット②:推計課税という最大のリスク

2つ目、そしてこれが最大のデメリットと言ってもいいでしょう。推計課税というリスクがあります。

推計課税とは何かというと、以下のような場合に税務当局が皆さんの業種・事業規模から推計しながら売上・所得(利益)・さらには税額を決定できる、という権利が税務当局側にある制度です。

  • 帳簿の保存状態がひどすぎる場合
  • 帳簿書類に信憑性がない場合
  • 納税者側が税務調査を妨害する意思がある場合
  • 帳簿書類がほぼないに等しい状態の場合

つまり、いざという時に税務当局は皆さんの所得税額を、極端な言い方をすれば「なんとでもコントロールできてしまう」わけです。

⚠️ 注意:白色申告者は税務調査のターゲットになりやすい

税務調査に入られた時、白色申告は青色申告と比べて帳簿書類のボリュームが圧倒的に少ない分、当然ながら不利になります。特に顧問税理士がついていない白色申告者で、数字が明らかにおかしいという方は、税務調査の格好のターゲットとなってもおかしくありません。

昔は白色申告者はほとんど帳簿がなくても良かったのですが、法改正によって現在は最低限の帳簿が必要になっています。もし昔のノリで帳簿なしで申告をしているという方は要注意です。

⚠️ 注意:2024年確定申告からペナルティが強化

今回の確定申告から、売上に関する帳簿がない場合記載ミスがあった時のペナルティ(割増加算税)が厳しくなっています。帳簿の管理には十分ご注意ください。

📝 このセクションのまとめ

  • 白色申告では「推計課税」のリスクがあり、帳簿が不十分だと税務当局に税額を推計・決定される可能性がある
  • 顧問税理士がいない白色申告者は税務調査のターゲットになりやすい
  • 法改正により白色申告でも帳簿義務があり、帳簿がない場合や記載ミスへのペナルティが強化されている

白色申告か青色申告か?自分に合った選択を

今回の内容を踏まえて改めて整理すると、白色申告のメリットとデメリットは以下のとおりです。

白色申告のメリット白色申告のデメリット
帳簿の作成が簡単・会計ソフト不要節税効果が薄い(赤字繰越・専従者給与・30万円特例が使えない)
決算書(収支内訳書)が2枚と少ない推計課税のリスクがある
最低限の節税策(家事按分・iDeCo等)は使える税務調査時に帳簿の少なさが不利に働く
事前届け出が不要帳簿義務の法改正でペナルティリスクが増加

結論としては、事業規模の拡大を目指している・節税もしたい・融資も検討したいという方は、最初から青色申告がおすすめです。ただし、税務の答えは人によって様々でケースバイケースです。今回の内容を参考に、白色申告が自分に当てはまっているのか、あるいは青色申告をした方が良いのか、ご自身の状況に合わせてご判断ください。

📌 青色申告を選んだ方が良い人の特徴

  • 事業規模の拡大を目指している
  • 積極的に節税したい
  • 融資(借入)を検討している
  • 家族を従業員として雇っており、給与を全額経費に落としたい
  • 赤字が発生する可能性があり、将来の節税に備えたい

📝 このセクションのまとめ

  • 白色申告は「簡単・手軽・最低限の節税は可能」だが、節税効果と推計課税リスクがデメリット
  • 事業拡大・節税・融資を目指すなら最初から青色申告がおすすめ
  • どちらが良いかはケースバイケース。自分の状況に合わせて選択することが重要

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
本サイトは 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士を応援しています!

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