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遺言書の検認手続きとは?流れ・費用・弁護士依頼まで弁護士が解説

遺言書の検認手続きとは?流れ・費用・弁護士依頼まで弁護士が解説
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手書きの遺言書(自筆証書遺言)が見つかったら、まず家庭裁判所での「検認(けんにん)」手続きが必要です。検認とは何か、どのような流れで進むのか、弁護士に依頼した場合の費用まで、遺産相続専門弁護士がわかりやすく解説します。

遺言書の検認とは何か?

「検認」という言葉はあまり聞き慣れないかもしれませんが、民法によって定められた重要な手続きです。手書きの遺言書(自筆証書遺言)を亡くなった方が残していた場合、遺言書の保管者または発見した相続人は、速やかに家庭裁判所に遺言書を提出して検認の申し立てをしなければなりません

検認手続きの目的は次の2点です。

  • 相続人全員に対して「遺言書が存在すること」と「その内容」を知らせること
  • 検認日時点における遺言書の形状・加除訂正の状況・日付・署名などの内容を明確にすること

家庭裁判所が検認を行うことで遺言書のコピーが裁判所に保管されるため、偽造・変造を防ぐ効果もあります。

⚠️ 注意

検認手続きは、遺言書が有効か無効かを判断する手続きではありません。検認を経たからといって遺言書の内容が法的に有効であることが確認されるわけではないので注意してください。

検認が必要な遺言書・不要な遺言書の違い

遺言書の種類によって、検認が必要かどうかが異なります。下表で整理します。

遺言書の種類検認の要否備考
自筆証書遺言(法務局保管なし)必要手書きで作成・自宅等で保管されていたもの
自筆証書遺言(法務局保管あり)不要法務局の保管制度を利用したもの
公正証書遺言不要公証人が作成・公証役場に保管
秘密証書遺言必要封印して公証役場に提出するタイプ

💡 補足:動画では触れていませんが…

2020年7月から始まった「自筆証書遺言書保管制度」を利用して法務局に預けた遺言書は、検認が不要です。この制度を利用すれば紛失・偽造リスクも防げるため、遺言書を作成する際には積極的に活用を検討するとよいでしょう。

📝 このセクションのまとめ

  • 検認は民法で定められた義務であり、自筆証書遺言(法務局保管なし)は必ず必要
  • 公正証書遺言・法務局保管の自筆証書遺言は検認不要
  • 検認は遺言書の有効・無効を判断する手続きではない

検認を経ないと何ができないのか?

検認手続きを経ていない自筆証書遺言は、実務上さまざまな場面で使用できません。具体的には以下の手続きが行えません。

  • 不動産の相続登記(名義変更)
  • 銀行口座の解約・払い戻し手続き
  • その他の金融機関における相続手続き全般

📌 ポイント

手書きの遺言書が見つかった場合は、相続手続きを進める前に必ず検認を行う必要があります。検認済み証明書が添付された遺言書の原本があってはじめて、不動産登記や銀行解約などの諸手続きが可能になります。

💡 補足:動画では触れていませんが…

検認前に遺言書を開封してしまっても、遺言書自体が無効になるわけではありません。ただし、民法上「5万円以下の過料」が科される可能性があるため、封がされている場合は開封せずに家庭裁判所に持参してください。

📝 このセクションのまとめ

  • 検認なしでは不動産登記・銀行解約など相続手続きが一切できない
  • 封がされた遺言書は開封せず、そのまま家庭裁判所へ持参する

検認手続きの流れ(ステップごとに解説)

検認手続きは大きく3つのステップで進みます。

  1. 申し立て:遺言書の原本を持っている人(または相続人)が家庭裁判所に検認の申し立てを行う
  2. 通知:家庭裁判所が相続人全員に対して「検認をいつ行うか」を通知する
  3. 検認期日:家庭裁判所で裁判官が遺言書の内容を確認する

それぞれのステップを詳しく見ていきましょう。

【ステップ①】申し立て:どこの裁判所に?誰が行く?

検認の申し立ては、遺言者(亡くなった方)の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に対して行います。弁護士に代理人として依頼することも可能です。

ここで注意が必要なのが、検認の申し立ては遺言書の原本を持参しなければならないため、Web(オンライン)での申し立てができないという点です。

遺産分割調停などはWebで弁護士が参加できるようになっていますが、検認の申し立てに関しては、申し立て人または代理人の弁護士がどんなに遠い家庭裁判所であっても実際に出向く必要があります。これが検認手続きの実務上の難しさの一つです。

💡 補足:動画では触れていませんが…

申し立てに必要な書類は、①検認申立書、②遺言者の戸籍謄本(出生から死亡まで)、③相続人全員の戸籍謄本、④遺言書の原本などです。書類収集に時間がかかることも多いため、早めに準備を始めることをおすすめします。

📝 このセクションのまとめ

  • 申し立て先は「遺言者の最後の住所地の家庭裁判所」
  • 遺言書の原本を持参する必要があるため、Web申し立ては不可
  • 申し立て人または代理人弁護士が必ず現地に赴く必要がある

【ステップ②③】通知と検認期日:当日は何をするのか?

申し立てを受けた家庭裁判所は、相続人全員に対して検認期日(日時)の通知を送ります。申し立て人は必ず出席しなければなりませんが、その他の相続人の出席は任意であり、全員が揃わなくても検認手続きは実施されます。

検認期日の会場は、家庭裁判所内の一室です。入室できるのは原則として相続人本人または代理人弁護士のみとなります。

当日の流れは以下のとおりです。

  1. 申し立て人が遺言書の原本を裁判官に渡す
  2. 封印がある場合は、出席した相続人の立ち会いのもとで裁判官が開封する
  3. 裁判官が遺言書の方式(署名・押印・日付など)を声に出して確認する
  4. 裁判官から出席者に対して質問がなされる

裁判官からよく聞かれる質問として、次の2点が挙げられます。

質問の内容回答例
この遺言書の筆跡は誰の筆跡だと思いますか?「父の筆跡だと思います」「分かりません」「全然違う筆跡だと思います」など
この遺言書に押されている印鑑は誰のものだと思いますか?「父が使っていた印鑑だと思います」「分かりません」など

また、申し立て人に対して「遺言書はどこで保管されていましたか?」といった質問がされることもあります。

⚠️ 注意

検認期日での発言は裁判所の記録として残ります。後で記録化されるため、回答は慎重に行ってください。分からないことは「分かりません」と答えることも適切な対応です。

手続き自体の所要時間は、弁護士の実感として数分程度で終わることがほとんどです。ただし、相続人が多く出席者が多い場合や、各自が多くの発言をする場合は長くなることもあります。

💡 補足:動画では触れていませんが…

検認期日は申し立てから概ね1〜2か月後に設定されることが多いです。相続人の人数が多い場合や戸籍収集に時間がかかる場合は、さらに時間がかかることがあります。急いで手続きを進めたい場合は早めに申し立てることが重要です。

📝 このセクションのまとめ

  • 申し立て人は出席必須、その他の相続人は任意出席
  • 当日は裁判官が遺言書の方式確認と質問を行う(所要時間は数分程度)
  • 発言は記録に残るため慎重に答える
  • よく聞かれるのは「筆跡」と「印鑑」についての2点

検認後の手続き:証明書の取得方法

検認が終わった後は、次の書類を取得することで相続手続きに進むことができます。

書類名対象者取得方法
検認済み証明書申し立て人遺言書の原本に添付してもらえる
検認調書その他の相続人裁判所に「検認調書をください」と申請して発行してもらう

検認済み証明書が添付された遺言書の原本、または検認調書があれば、不動産の相続登記や銀行口座の解約などの各種手続きを進めることができます。

📌 ポイント

申し立て人以外の相続人が各種手続きで遺言書の内容を証明したい場合は、自分で裁判所に検認調書の発行を申請する必要があります。手続き後に忘れずに取得しておきましょう。

📝 このセクションのまとめ

  • 申し立て人は「検認済み証明書」が遺言書原本に添付される
  • その他の相続人は「検認調書」を裁判所に申請して取得する
  • これらがあれば不動産登記・銀行手続きが可能になる

弁護士に検認申し立てを依頼した場合の費用

弁護士に検認の申し立てを依頼した場合の費用は、11万円(税込)が基本報酬となります(実費別途)。

また、検認手続きは遺言者の最後の住所地の家庭裁判所に実際に出向く必要があるため、遠方の裁判所への出張が必要な場合は日当が別途かかる場合があります。

費用の種類金額・内容
基本報酬11万円(税込)
実費収入印紙・郵便切手・戸籍謄本取得費用など
日当(遠方の場合)裁判所の所在地・移動時間によって別途加算

検認の申し立て自体はそこまで難易度が高い手続きではありませんが、書類収集の手間や裁判所への出頭が必要なため、不安な方や遠方の裁判所への申し立てが必要な方は弁護士への依頼を検討するとよいでしょう。

💡 補足:動画では触れていませんが…

弁護士費用とは別に、裁判所に納める収入印紙(800円)や郵便切手(数百〜数千円程度)も実費として必要です。また、戸籍謄本等の取得費用も別途かかります。総額で1〜2万円程度の実費を見込んでおくとよいでしょう。

📝 このセクションのまとめ

  • 弁護士への依頼費用は基本報酬11万円(税込)+実費
  • 遠方の裁判所への出張が必要な場合は日当が別途加算される
  • 手続き自体の難易度は高くないが、書類収集・出頭の手間がある

📋 この記事を読んだら次にやること

  1. 遺言書が封印されている場合は開封せず、そのまま保管する
  2. 遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所を調べる(裁判所ウェブサイトで確認可能)
  3. 申し立てに必要な戸籍謄本(遺言者の出生〜死亡分・相続人全員分)の収集を始める
  4. 遠方の裁判所への申し立てが必要な場合や手続きに不安がある場合は、遺産相続専門の弁護士に相談する

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 弁護士 髙橋賢司の遺産相続専門チャンネル の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
本サイトは 弁護士 髙橋賢司の遺産相続専門チャンネルを応援しています!

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