役員賞与で節税する方法を税理士が解説!事前確定届出給与の活用と注意点
役員へのボーナスも、事前に届け出れば会社の経費にできます。
役員報酬と役員賞与の違い
サラリーマンがボーナスをもらってはしゃいでいる映像がテレビで流れると、「社長もボーナスが欲しいな」と思う経営者は少なくないでしょう。しかし従業員のボーナスと違って、役員のボーナスは損金にならないのでは……と思っている方も多いはずです。
まず基本として、役員への報酬とは役員に与えられる経済的利益のことです。これは金銭で支払われるものだけでなく、資産の贈与など、金銭と同等の経済的利益をもたらすものも含まれます。
役員に支払う報酬には、大きく2種類があります。
| 種類 | 内容 | イメージ |
|---|---|---|
| 役員報酬 | 毎月一定額を支給する報酬 | 給料 |
| 役員賞与 | 不定期に支給する報酬 | ボーナス |
📝 このセクションのまとめ
- 役員への報酬は金銭だけでなく経済的利益全般が対象
- 毎月定額が「役員報酬」、不定期支給が「役員賞与」
役員報酬が経費にしにくい理由
従業員に支払う給料や賞与は、不相当に高額でない限り全額損金に算入できます。決算賞与を出して決算対策をするといった手法もよく使われます。
一方、役員への報酬はルールを守らないと損金計上できません。これはなぜでしょうか。
特にオーナー社長の場合、自分で自分の報酬額を決めることができます。何も制限がないと、利益が多く出た期末に役員報酬をポンと上げたり、親族役員に多く報酬を払ったりして法人税をゼロにするような「利益調整」ができてしまいます。
⚠️ 注意
「今年は利益がたくさん出たから自分にボーナスを出して法人税をゼロにしよう」という行為は、ルールを守らない限り損金にはなりません。当然、経費として認められなかった場合は個人の所得税・住民税・社会保険料が増えるだけで、良いことは何もありません。
📝 このセクションのまとめ
- 従業員への給与・賞与は原則全額損金算入できる
- 役員報酬は利益調整を防ぐため、損金算入に厳しいルールがある
- ルールを守らないと法人税が増え、個人の税負担も増える
役員報酬を損金算入するための3つの要件
役員の報酬を損金算入(会社の経費)にするには、以下の3つの要件のいずれかを満たす必要があります。
- 定期同額給与
- 事前確定届出給与
- 利益連動給与(上場企業限定のため今回は割愛)
逆に言うと、この3つに当てはまらない支給は会社の損金にならない=経費にならないということです。損金と認められなかった場合、経費ではないので利益が増え、法人税が課税されてしまいます。
① 定期同額給与
定期同額給与とは、一般的な役員報酬のことです。議事録で決めた金額を、事業年度内の毎月1か月以下の一定期間ごとに同額の報酬を支給する形態のことです。
簡単に言うと、役員の報酬額を変動させず、毎月同じ額にしてくださいということです。
📌 ポイント:報酬額の変更ルール
一度決めた報酬額は変えられないわけではありません。1年ごとに毎月の報酬額を変更できます。ただし変更できるタイミングは決まっており、新しい事業年度が始まって3か月以内に決める必要があります。年度の後半に業績が良くなったからといって途中で上げることはできません。
例えば、12月から報酬を利益が出たからと30万円上げて支給した場合、定期同額給与の条件から外れた部分、つまり12月から3月までの4か月×30万円=120万円は損金にならない(経費にならない)ということになります。
毎年、利益額を予測して役員報酬額を計画的に設定することが重要です。
📝 このセクションのまとめ
- 役員報酬を損金にするには「定期同額給与」「事前確定届出給与」「利益連動給与」の3要件がある
- 定期同額給与は毎月同額を支給するルール
- 報酬額の変更は新事業年度開始から3か月以内のみ可能
- 途中で増額した部分は損金不算入となる
事前確定届出給与とは何か
役員に対する賞与(ボーナス)として使われているのが、この事前確定届出給与です。
法人税法上、役員への賞与は原則として損金算入ができません。しかし例外として、事前確定届出給与に関する届け出を税務署に提出すれば、役員賞与を損金に計上することが認められます。
📌 事前確定届出給与とは
役員への賞与をいつ・いくら支給するかについて、あらかじめ税務署に届け出ることによって損金算入が認められる制度です。
提出期限
届け出の提出期限は、以下のいずれか早い日となります。
| 提出期限の基準 | 具体例(3月決算・6月20日株主総会の場合) |
|---|---|
| 株主総会の決議より1か月以内 | 7月20日まで |
| 会計期間開始日より4か月を経過する日 | 7月31日まで |
例えば期首が4月の会社で、株主総会を6月20日に行う場合は、7月20日までに提出することになります。
📝 このセクションのまとめ
- 役員賞与は原則損金不算入だが、事前確定届出給与の届け出で損金算入が可能
- 提出期限は「株主総会決議から1か月以内」と「期首から4か月経過する日」のいずれか早い方
事前確定届出給与の厳格なルール:1円・1日のズレも許されない
「とりあえず適当な数字で提出しておいて、後で大体の感じで払えば社長もボーナスがもらえる」と考えてしまいがちですが、それは大きな間違いです。
事前確定届出給与は、届け出た通りに支払うことが絶対条件です。しかもその基準は非常に厳密です。
⚠️ 注意:1円・1日のズレで全額損金不算入
- 支給日が1日でもずれたら全額損金算入不可
- 支給金額が1円でもずれたら全額損金算入不可
- 差額分だけでなく全額が損金不算入になる
具体例で確認する
例えば事前確定届出給与として「9月に100万円、3月に100万円、合計200万円支給する」と届け出たとします。
業績が好調で、社長の3月のボーナスに50万円上乗せして150万円支給した場合、損金として認められる金額はいくらでしょうか。
| 支給内容 | 届出額 | 実際の支給額 | 損金算入 |
|---|---|---|---|
| 9月分 | 100万円 | 100万円 | 0円(全額不算入) |
| 3月分 | 100万円 | 150万円(+50万円) | 0円(全額不算入) |
| 合計 | 200万円 | 250万円 | 全額損金不算入 |
「差額の50万円だけ損金不算入で、届け出た200万円はOKなのでは?」と思いがちですが、先に支払っていた9月分の100万円も含めて全額が損金不算入になります。
逆に3月分を50万円減らして50万円しか支給しなかった場合も同様です。その場合も合計150万円の全額が損金として認められません。
📝 このセクションのまとめ
- 届け出た支給日・支給金額は厳格に守る必要がある
- 1円・1日のズレで、その回の支給分だけでなく全額が損金不算入になる
- 増額・減額どちらのケースも全額損金不算入となる
決算対策オプションとしての活用法
では「1円も払わない」場合はどうなるでしょうか。例えば株主総会で200万円の支給を決めて税務署に届け出たけれど、結局全く支払わなかった場合です。
1円も払っていなければ、そもそも経費になるものが何もないので損金算入に支障はありません。
📌 決算対策オプションとしての使い方
支給時期を決算月の直前に指定しておき、次のように使い分けることができます。
- 利益が出そうなら届け出た通りに全額支給 → 損金算入で節税
- 利益が出なければ1円も支給しない → 損金算入への支障なし
売上を予想しにくい場合、決算対策のオプションとして活用するのは有効な方法です。
役員が複数いる場合はさらに活用の幅が広がる
事前確定届出給与の金額は役員ごとに任意に設定できます。さらに、売上を見ながら支給するか不支給にするかも役員ごとに決めることができます。
例えば社長と妻が2人とも役員である場合、売上を見ながら妻の分だけ不支給にして、社長の分だけ損金に算入するといった使い方も可能です。このように考えると、決算対策用として活用の幅は大きく広がります。
⚠️ 不支給の場合は必ず議事録を残すこと
不支給にする場合は、必ず届け出の予定日までに不支給の決議をして、その議事録を残しておくことが必要です。
役員には報酬請求権があるため、不支給の決議をしないと「事前確定届出給与が支給されたもの」として所得税が課税されてしまう可能性があります。支払っていないのに課税されるという最悪の事態を避けるため、必ず議事録を社内に保管してください。なお、不支給にすることを税務署に報告する必要はなく、あくまで社内の議事録として保管するだけで大丈夫です。
📝 このセクションのまとめ
- 1円も支給しなければ損金算入への支障はない
- 支給時期を決算直前に設定し、利益状況を見て支給・不支給を選択する決算対策が有効
- 役員ごとに支給・不支給を選択できるため複数役員がいる場合は活用の幅が広がる
- 不支給の場合は必ず不支給の決議をして議事録を社内に保管する
役員賞与で気をつけるべきその他の注意点
不当に高額でないこと
役員賞与(役員給与全般)を損金算入するうえで重要な要件として、不当に高額でないことがあります。
具体的には、以下の状況から見てその役員の職務に対する対価として相当と認められる金額を超える部分は、過大な役員給与として損金の額に算入されません。
- その役員の職務の内容
- その法人の収益
- 使用人(従業員)に対する給与の支給状況
- 類似法人の役員に対する給与の支給状況
みなし役員に注意
法人税法では、会社法で定める役員に加えて、実質的に経営に従事しているものも役員に含めます。この「実質的に経営に従事しているもの」をみなし役員といいます。
従業員への給与は全額経費にできますが、役員への報酬には損金算入の厳しいルールがあります。例えば、登記上の役員でないからといって社長の妻に賞与を支払って経費にしていると、税務調査が入った際に「妻が実質的に経営に従事しているみなし役員ではないか」と指摘される可能性があります。
⚠️ みなし役員認定のリスク
税務調査で妻へのボーナスが「役員賞与」と認定されると、損金不算入となって追加の税金が発生します。登記上の役員でなくても実態として経営に関与している場合は、みなし役員として扱われるリスクがあることを必ず認識しておいてください。実際にそのような現場も存在します。
📝 このセクションのまとめ
- 役員賞与は職務内容・法人の収益・類似法人の状況などから見て不当に高額でないことが必要
- 登記上の役員でなくても実質的に経営に従事していれば「みなし役員」として扱われる
- みなし役員への賞与が税務調査で役員賞与と認定されると損金不算入・追加課税のリスクがある
終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル 社長の資産防衛チャンネル の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。本サイトは 社長の資産防衛チャンネルを応援しています!
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