役員賞与vs役員報酬どちらが得?社会保険料を年140万円削減する方法を税理士が解説
役員賞与をうまく活用すれば、社会保険料を年間140万円以上削減できるケースがあります。
役員賞与と役員報酬、それぞれの違いとは?
子供の頃、人生ゲームとかやったことあります?私はないんですよ。あれって職業選択するんですけど、サラリーマンだと定期的に給料が入ってきて、スポーツ選手とかだと年俸制で一気にドカーンと入ってくるみたいな。私は一気にドカーンが当たったんですよね。

なんで急に人生ゲームの話題を…?

最近、役員に対する報酬は毎月定額の報酬で受け取るよりも、実は一度に役員賞与として受け取った方がお得っていうのを聞いて、私はちょっと「一気にドカーン派」だったことを思い出して…つながってくるんですか?

なるほど。これって実際どうなんですか?場合によっては確かに事実なんじゃないですかね。あり得ると思いますよ。役員賞与と役員報酬はそれぞれ性質が異なりますので、実はとある方法を使えば同じ年収でも手取り額を年間例えば140万円も増やせたり、そういった方法もあったりします。

そうなんですね。

まず、役員賞与と役員報酬はそれぞれどういうものかというのを振り返ろうと思います。
役員賞与は不定期に支給する報酬のことを言い、いわゆるボーナスと呼ばれているものです。役員報酬は毎月一定額支給する報酬になっていて、いわゆる給料と言われているものになります。

ということですよね。

役員賞与を経費にするには「事前確定届出給与」が必要
次に、役員賞与を経費にする方法をお伝えしていきます。経費にするためには事前確定届出給与というものを定めて、税務署に届け出をする必要があります。

なるほど。それはいつでも好きな時に届け出ればいいってことですか?

いや、ところがですね、提出できる期限がきっちり決まっております。株主総会の決議をした日から1ヶ月以内、あるいはその会計期間のスタートから4ヶ月以内、この2つのうちどちらか早い方の日程が期限になります。

なるほど。結構早めに届け出を出さないといけないってことですね。これ、注意点とかあるんですか?

はい。この事前確定届出給与は厳しいというんですかね。届け出をした金額とずれていたらダメ、支給日が1日でも違っていたらダメ、要は全額経費にならないってことなんですよ。かなり厳しいです。

届け出を出した後に経営が悪化して役員賞与を減らしたい場合とかあると思うんですけど、それはどうしたらいいんですか?

その時はですね、先ほど申し上げた通り、届けると1円でも違っていたらお金は渡せるんですけど経費にできないんですよ。ルール上。
例えば100万円の賞与を事前確定届出給与で届け出して、担任にもかかわらずその時の資金繰りなどの原因で20万円しか渡せませんでしたとなると、この20万円も経費にならない。これはかなり厳格ですね。

一度届け出を出しちゃったら、どんな理由があっても変更できないってことなんですか?

そうですね。変更というか、もう出すか出さないかっていう意味で、業績不振とか資金繰りが苦しいとかで支給できないのであれば、もういっそのこと出さないっていうのであれば大丈夫です。

なるほど、ありがとうございます。ただ、会社の経営はちょっとね、先行きを予測することが難しいですから、正直ぴったりの時に出さないといけないっていうのは使いづらいですよね。

はい、そうなんです。この制度がなかなか浸透しないのも、やっぱりこのちょっとした使いづらさなんじゃないかなと思います。

役員賞与と役員報酬、税負担は変わる?
同じ金額を受け取るとしたら、役員賞与と役員報酬どっちの方が経営者にとって得なんでしょうか?

役員賞与は大きな金額が一気に出ていきまして、会社の経営状態は日々変わっていくものなので、数ヶ月前に大きな金額を一気に支払う届けを出してしまうより、年間の役員報酬を増額してそれを月割りで支給していった方が、資金繰りとしては考えやすいものになっていきます。

同額を受け取った場合、役員賞与と役員報酬で税負担は変わるんでしょうか?

同額であれば、一気に受け取っても月割りで受け取っても所得税や住民税などの税負担は同じになります。ただし社会保険料は役員賞与で受け取った方が安くなる場合がありまして、どういった場合にどのくらい安くなるのかというのは後ほど詳しく説明していきます。

結局、役員報酬って何を基準に決めればいいんですかね?

そうですね。会社としての法人税の負担と、個人としての住民税と所得税の負担のバランスとか、生活費に最低どれくらいかかるのかっていうのを考えて、本当に諸々のバランスを考えて決めることが大切です。役員報酬と役員賞与に関しても、どちらかに決めるのではなくて、両方をうまく配分して取り入れていくのも一つの手なんじゃないかなと思います。

ありがとうございます。

役員賞与で社会保険料を下げる仕組み|上限(標準賞与額・標準報酬月額)を活用
報酬を役員賞与で受け取ることで社会保険料を安くする方法を詳しく解説していただきたいと思います。

役員賞与の支給額によっては社会保険料が抑えられて、その分だけ手取りが増えるケースがあります。社会保険料は会社から役員への支給額におおむね比例していきますが、ずっと比例していくわけじゃなくて天井(上限)が設定されています。役員賞与が高額になるとその上限にかかってきまして、社会保険料が相対的に低くなっていきます。

この天井が設定されてるっていうところ、もう少し詳しく教えていただけますか?

社会保険料は、役員賞与の場合は標準賞与額、役員報酬の場合は標準報酬月額に保険料をかけて計算していきます。
この標準賞与額と標準報酬月額にはそれぞれ上限が設定されていますので、上限に引っかかった場合はそれ以上の社会保険料はかからず、結果的に社会保険料が下がることになっていきます。

上限っていくらぐらいでそれぞれ設定されてるんでしょうか?

標準賞与額の保険料の上限はですね、健康保険は年間累計573万円、厚生年金保険はひと月あたり150万円となっています。
標準報酬月額の保険料の上限なんですけども、報酬月額が135万3,000円以上になると139万円に設定されてしまいますね。

なるほど。役員報酬を抑えて役員賞与を高くすることで、かかる社会保険料が上限に引っかかってくるため、役員報酬と役員賞与を足した総支給金額が同じでも、全体の社会保険料が安くなるという場合があったりするんですね。

そういうことです。

具体的なシミュレーション|年収900万円・1,200万円で比較
ちなみに、これどれぐらい社会保険料を節約できるんでしょうか?

一つのケースをもとに社会保険料を比較してみようと思います。例えば協会けんぽ加入、東京都、40歳以上で介護保険料ありの方、会社から経営者への年間報酬額が900万円だったとした時の比較です。
1つ目が全額役員報酬で受け取った時の場合です。社会保険料の総額はこの時191万1,972円になっています。
2つ目が900万のうち300万を役員報酬で、600万を役員賞与として受け取った場合なんですけども、社会保険料の総額は181万2,387円になってきます。つまり2つ目の方が年間の社会保険料は約10万円近く安くなるというものになっています。

そういうことなんですね。ただ、これ結構面倒くさそうな割には差額が10万円だとちょっと微妙ですね。

確かにそうなんですよね。役員報酬と役員賞与の金額によってはかなりの額も安くなります。
年収1,200万円の方が役員報酬を月100万円(年間1,200万円)で受け取った場合と、役員報酬を月5万円(年間60万円)に抑えて、残りを役員賞与として1,140万円を一括で受け取った場合とを見てみようと思うんですが、先ほどと同じような計算式でやっていくとなんとですね、約140万円社会保険料が安くなります。

そんなに変わっちゃうんですか!

これは大きいですよね。ただしですね、役員賞与の金額が財務内容と照らし合わせて妥当かどうか、また法人の収益状況から見ても適正な範囲内かどうかというような基準で見られまして、損金不算入となる場合もあり得なくはないので、賞与の金額設定は注意が必要ですね。

なるほど。他にも役員賞与を極端に多く受け取る場合の注意点ってありますか?

役員賞与で極端に多く受け取る場合はですね、①退職金が減る、②死亡リスク、③資金繰りを圧迫する可能性、④生活費が厳しくなる可能性、⑤年金事務所への説明、⑥過大な賞与が否認されるというリスクですかね。

注意点①退職金が減る・②死亡リスク
退職金が減るっていうのは何でですか?

退職金の金額はある程度計算式が決まっていまして、役員報酬を減らすと退職金が減るみたいになっているんですが、退職金の金額は功績倍率法というもので計算されていきます。最終報酬月額を基準として計算しているものなので、退職前の役員報酬が極端に低い状況ですと、結果として退職金も少なくなってしまいます。
これは個人と会社双方にとって問題になってきまして、個人としては退職金の額が少なくなりますし、会社としては経費にできる金額が減るってことになってきます。

このスキームを利用する場合、この問題を回避する方法はないですか?

そうですね。近いうちに退職の予定があるときは徐々に報酬額を増やしておくとかの対策が必要ですね。

そうなんですね。では次の死亡リスクについて教えていただけますか?

事前確定届出給与で定めた支給日前に、受け取る予定だった役員が亡くなってしまった場合、そのご遺族は支給予定だった賞与を手に入れることができなくなってしまいますね。あと、弔慰金の額も少なくなる可能性があります。

弔慰金が少なくなるってどうしてなんですか?

この弔慰金なんですけども、亡くなった時に亡くなったご家族を慰めるという趣旨で会社から支給されるお金になってきまして、受け取る側のご遺族にとっては相続税の対象外になるんです。支給する会社にとっては経費になるので、もらう側・上げる側にとってはいいことなんですが、弔慰金の適正額は業務外の死亡だった時は普通給与の6ヶ月分とされています。
そのため、報酬額を極端に減らしたまま亡くなってしまうと、弔慰金の額もおのずと少なくなってしまうんですね。

なるほど。いろんなところにこの役員報酬額が関わってくるってことですね。

はい。単純に社会保険料削減のためだけにやるにはちょっとリスクもあるって事ですね。

注意点③資金繰り圧迫・④生活費不足・⑤年金事務所への説明
続いて、会社の資金繰りを圧迫する可能性があるっていうのはどういうことですか?

事業が順調であればいいんですけども、この先どうなるかわからなくて思うように利益が上がらなかったとしても、先ほどご説明した通り役員賞与は予定通りの額で支給しないと経費に計上することができないです。あまりに役員賞与を大きく設定していると後々困ることがあり得るわけですね。

はい、そうですね。これが4番目の生活費が厳しくなるというところにも共通していきますね。

なるほど。例えば月々の報酬を極端に低くして生活費が足りなくなるようになった場合、役員賞与分からお金を先取りするみたいなことはできるんでしょうか?

それがですね、できないんですよ。そういったことが行われた場合、否認されて経費にできなくなってきます。

なるほど。じゃあ同じく月々の報酬を極端に低くして生活費が足りなくなった場合、会社から貸付を受けるってことはできますか?

役員貸付という行為自体は、社長が会社のお金を私的に流用しているんじゃないかというふうに疑われたりします。外部から見るとですね。銀行などともしお付き合いされている場合とか、これからお金を借りたいという時は、銀行の印象がすごく悪くなるので融資の審査が通りづらくなってしまいますね。

なるほど。税金以外のところでも影響が出ちゃうってことですね。

そうなんです。なので、そういうことにならないように役員報酬額というのは個人の事情に合わせて、生活に影響が出ないようにも調整していかないといけないってことになりますね。

では次、年金事務所への説明っていうのはどういうことですか?

年金事務所から調査が入った時のために、極端な支払い方をしている合理的な理由を用意しておく必要があります。

これは「社会保険料削減のためにやってます」っていう理由じゃダメなんですか?

そこはそのまま言っちゃダメで、例えばですね、理由としては「月の売り上げを読むことが難しい」とか「赤字にならないように月の役員報酬をできるだけ低くしている」とか、そういったふうに説明をしてほしいと思います。

合理的な説明ができないとダメってことなんですかね。

はい。

注意点⑥過大な賞与が否認されるリスク
ちなみに最後、6つ目の賞与が過大として否認されるリスクっていうのはどういうことですか?役員への賞与はいくらまでならOKなんでしょうか?

いくらまでなら大丈夫っていう明確な基準ラインはなくて、原則としては役員給与が適正かどうかはトータルの収入で判断されていきます。賞与だけで高いかどうかという風に判定されるものでもないです。
例えば役員給与が適正かどうかなんですけども、役員の職務内容とか会社の収益状況とか同業他社が支給している役員給与の額とかを基準として総合的に判定されていきます。

なるほど。

もし過大と認定されると、その適正枠を超える部分は経費にできないものになってきますね。よほど極端な金額設定にしなければ基本的に問題ないものと思われます。とはいえ、否認の可能性も頭の片隅に入れておいてください。

わかりました。今回も面白い話ありがとうございました。

終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル 社長の資産防衛チャンネル の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。本サイトは 社長の資産防衛チャンネルを応援しています!
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