年末調整が廃止されたらどうなる?全国民確定申告義務化を税理士が解説

年末調整が廃止されたらどうなる?全国民確定申告義務化を税理士が解説
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年末調整が廃止されて全国民確定申告が義務化されたら、サラリーマンの生活はどう変わるのか?制度の仕組みから廃止後に起こりうる問題点まで徹底解説します。

今回のテーマ:年末調整廃止・全国民確定申告義務化とは

皆さんもご存知だと思いますが、デジタル大臣の河野太郎さんが自民党総裁選に出馬された際、その公約の1つとして掲げられたのが「年末調整を廃止して全国民確定申告1本化」という方針です。

今日のコンテンツは、まず確定申告・年末調整・源泉徴収の関係をさらっとおさらいしたうえで、年末調整が廃止されたら一体世の中どうなるのか、個人的な見解や予想も踏まえて解説していきます。

📌 ポイント

この議論は、河野太郎氏が総裁になれなかったとしても、以前から言われてきた方針であり、今後実現する可能性は十分あります。DX化・ペーパーレス化の波は着実に近づいています。

📝 このセクションのまとめ

  • 年末調整廃止・全国民確定申告義務化は政治的な公約として浮上した議題
  • 総裁選の結果にかかわらず、今後実現する可能性がある

確定申告とは何か?基本をおさらい

個人の税金のメインとなるのが所得税です。この所得税の計算を自ら行って税額を確定させ、申告することを「確定申告」と呼びます。確定申告をすることで、地方税である住民税も連動して計算される仕組みになっています。

項目内容
申告・納付期限原則、翌年の2月16日〜3月15日
対象何らかの所得(儲け)がある個人(例外あり)
還付申告(任意申告)医療費控除・住宅ローン控除(初年度)など。申告することで税が戻る
還付申告の受付開始翌年1月1日から可能

医療費控除や住宅ローン控除を初めて受ける年など、確定申告の義務はないものの、申告することで税金を返してもらえるケースがあります。これを「還付申告」と呼びます。

📝 このセクションのまとめ

  • 所得税の計算・申告を自ら行うのが確定申告
  • 申告期限は翌年2月16日〜3月15日が原則
  • 還付申告は翌年1月1日から受付開始

年末調整と源泉徴収の仕組み

所得税法では全国民が確定申告をするというルールが定められています。しかし、その例外・特例として、給与所得者(サラリーマン)は確定申告をしなくてよい代わりに、「年末調整」という別の制度を行うことになっています。

📌 ポイント

年末調整 = 会社員限定の簡易バージョンの確定申告です。ただし、医療費控除・寄付金控除・雑損控除といった複雑な控除は年末調整ではできません。

年末調整を理解するうえで欠かせないのが源泉徴収の仕組みです。給与の支払い時に、給与から所得税を徴収することを源泉徴収と言います。

  • 会社は毎月の給与と扶養家族の数などに基づいて、毎月概算の税金を徴収しなければならない(所得税法で規定)
  • 会社は徴収した税金を翌月10日までに税務署に納めなければならない
  • 源泉徴収は「概算税額の前払い制度」という位置づけ

年末になると、年収が確定します。年収が確定すれば、扶養家族の数・社会保険料控除などの情報をもとに正確な税額が計算できます。そこで会社は従業員から扶養控除等申告書・生命保険料控除証明書などを集め、従業員の代わりに税金の計算を行います。

  • 税金を取りすぎていた場合 → 還付(給与に上乗せ)
  • 税金が不足していた場合 → 追加徴収

年末調整が完了すると、源泉徴収票が発行されます。これは年収・社会保険料・所得税額が記載された1枚の用紙です。また、ほぼ同内容の給与支払報告書が勤務先から市区町村にも提出されます。これが住民税計算のベースとなり、翌年5〜6月頃に住民税決定通知書が届き、給与から住民税が天引きされる流れになっています。

📝 このセクションのまとめ

  • 年末調整は会社員限定の簡易確定申告。医療費控除等は対象外
  • 源泉徴収は毎月概算税額を前払いする制度で、年末調整の土台となる
  • 給与支払報告書が市区町村に提出され、住民税の計算に使われる

それでも確定申告が必要なサラリーマンとは

一社勤務の会社員でも、以下に該当する場合は年末調整を受けていても確定申告が必要です。

ケース条件
高収入年収が2,000万円超
副業あり給与・退職所得以外の所得(儲け)が年間20万円超

⚠️ 注意

副業の所得が20万円以下であれば所得税の確定申告は不要ですが、住民税の申告は別途必要です。「所得税の申告が不要=住民税も不要」ではありません。副業収入がある方は必ず確認しましょう。

📝 このセクションのまとめ

  • 年収2,000万円超のサラリーマンは確定申告が必須
  • 副業所得が年間20万円超の場合も確定申告が必要
  • 副業所得が20万円以下でも住民税の申告は必要

年末調整が廃止されたら何が起きる?予想される影響

ここからが本題です。年末調整が廃止されて全国民確定申告になった場合、どのようなことが起こるのか、予想を解説します。

① 会社員の税知識・マネーリテラシーが向上する

全国民が確定申告しなければならなくなれば、税に関する知識を勉強しようという意欲が高まります。これまで会社が勝手に年末調整・源泉徴収をやってくれていたため、サラリーマンは気にすることがありませんでした。個人事業主は自ら税金を納めるため節税意識が高い傾向がありますが、会社員も同様に意識が向上していくでしょう。

📌 ポイント

マネーリテラシーの向上はお国にとって「不都合」な側面もあります。国民が税の仕組みを深く理解するほど、節税意識が高まるからです。だからこそ、年末調整廃止と同時に、小学校・中学校レベルからの税教育の充実が不可欠です。

② マイナポータル連携で電子申告は理論上は楽になる

勤務先が源泉徴収票のデータを発行し、それを確定申告の電子申告システム(e-Tax)と連携させ、さらに生命保険会社の保険料控除情報も連携させれば、理論上はとても簡単に申告できるはずです。しかし、現状ではマイナポータルとの連携がまだワンタッチでできるわけではなく、もう少し時間がかかると考えられます。

また、デジタル強者と弱者の格差も問題です。高齢者は電子申告が苦手というイメージがありますが、実際には年金の確定申告をしている高齢者の方が多く、電子申告をきちんとこなしている方も多いのが実態です。デジタルの得意・不得意は年齢よりもその人のリテラシーによるところが大きいと言えます。

③ 税務署がパンクする

河野大臣の考えでは「全国民が電子申告すればデータ管理できるので税務当局がパンクすることはない」とのことですが、電子申告以前の段階で困っている方がたくさんいます。紙で申告しようとしても内容がわからず、税務署に電話相談したり窓口に訪問したりする人が急増するでしょう。税務職員の人員不足も深刻で、税務署がパンクするリスクは非常に高いと考えます。

④ 必ずしも徴税強化につながるとは限らない

現在の年末調整制度のもとでは、副業の金額が小さいことを理由に申告しない方が一定数いると思われます。全国民確定申告にすれば副業所得も全て把握できるという狙いがあるでしょう。しかし、会社が年末調整をしてくれなくなった場合、そもそも確定申告自体をしない人が必ず出てきます。そうなると、申告もせず納税もしないという徴税漏れにつながるリスクがあり、税務当局の狙い通りにはいかない可能性があります。

⚠️ 注意

確定申告の義務があるにもかかわらず申告しないと、無申告加算税・延滞税などのペナルティが課される可能性があります。制度が変わっても「申告しなくていい」ということにはなりません。

📝 このセクションのまとめ

  • マネーリテラシーの向上というプラスの効果が期待できる
  • マイナポータル連携は理論上は便利だが、現状はまだ発展途上
  • 税務署の人員不足でパンクするリスクが高い
  • 申告しない人が増え、逆に徴税漏れが多発する可能性がある

源泉徴収制度はなくならない理由

年末調整廃止の議論に合わせて、源泉徴収制度もなくしてしまえばより制度の簡素化が図れるのではないかという意見もあります。しかし、源泉徴収はなくならないと考えます。

その理由は、源泉徴収制度の本質にあります。お国が歳入を確保するために、前もって税収を得たいという意図があるのです。もし源泉徴収をなくして全国民確定申告にした場合、個人の税収が毎年2〜3月にしか入ってこないことになりかねません。

📌 ポイント

源泉徴収は国の安定的な税収確保のための仕組みです。年末調整が廃止されたとしても、毎月の給与から概算税額を天引きする源泉徴収制度は存続すると予想されます。

📝 このセクションのまとめ

  • 源泉徴収は国が安定的に税収を確保するための制度
  • 年末調整が廃止されても源泉徴収は残ると予想される

年末調整廃止で喜ぶのは誰か?偽税理士台頭のリスクも

年末調整が廃止されて喜ぶのは、主に次の2者です。

喜ぶ者理由
企業(経理・給与計算担当者)年末調整の手間が大幅に削減される。特に中小企業の経理担当者は非常に喜ぶ
税理士年末調整業務(大人数の申告を一気に処理する低生産性の業務)がなくなる

税理士が喜ぶ理由については、よく誤解されています。「全国民確定申告になれば税理士の仕事が増えるのでは?」と思われる方が多いのですが、実態は異なります。

  • 個人の確定申告は単価が低く生産性も低い → やりたがらない税理士が多い
  • 年末調整も大人数を一気に処理する手間のかかる業務 → 生産性が低く、なくなってくれた方が嬉しい
  • 大手・キャパのある事務所が個人申告を専門的に受けるケースもあるが、それはごく一部

そして、最も懸念されるのが偽税理士(潜り業者)の台頭です。確定申告を自分でやらなければならないけれどもできない人が増える一方で、受けたくない税理士が多くなると、資格を持たずに個人の申告を請け負う潜り業者が増加するリスクがあります。

⚠️ 注意

税理士資格を持たない者が報酬を得て税務書類の作成・申告代理を行うことは税理士法違反です。安易に無資格業者に依頼しないよう注意が必要です。

対策としては、税理士の補助資格のようなものを新たに創設し、会社員の個人申告に限定して対応できる資格を設けることが有効な方策ではないかと考えます。

📝 このセクションのまとめ

  • 年末調整廃止で喜ぶのは企業(経理担当者)と税理士
  • 個人確定申告は単価・生産性ともに低く、税理士が積極的に受けたがらない業務
  • 申告できない人が増えることで偽税理士(潜り業者)が台頭するリスクがある
  • 補助資格の新設など、制度的な対策が必要

全体まとめ:DX化の遅れが最大の課題

我が国の課題は色々ありますが、その中でもDX化・ITを活用した業務効率化が他の先進国よりも遅れていることが最大の問題の1つです。

年末調整廃止の方針は、例えその提唱者が総裁にならなかったとしても、実現する可能性は十分あります。実際、地味な形でDX化・ペーパーレス化は進んでいます。法人税などの納付書が基本的に届かなくなったことも、その流れの一環です。

全国民確定申告は以前から言われてきたことであり、時間軸で見れば様々な問題はあるものの、個人的にはこの方向性に賛成という立場です。

📌 ポイント

年末調整廃止・全国民確定申告義務化が実現した場合の主な影響をまとめると以下のとおりです。

  • ✅ 会社員の税知識・マネーリテラシーが向上する
  • ✅ 企業の年末調整事務負担が軽減される
  • ⚠️ マイナポータル連携はまだ発展途上で混乱が予想される
  • ⚠️ 税務署が相談対応でパンクするリスクがある
  • ⚠️ 申告しない人が増え、逆に徴税漏れが多発する可能性がある
  • ⚠️ 偽税理士(潜り業者)が増加するリスクがある
  • 🔵 源泉徴収制度は廃止されず存続する見込み

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
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