配当金の住民税課税方式が変更|令和5年分から確定申告の有利不利判定を税理士が解説
令和5年分から配当金の住民税課税方式が変わり、確定申告の有利不利の判定基準が大きく変化しました。
配当金の課税方式は3種類ある
配当金の課税方式には、大きく分けて次の3つがあります。
- 申告不要
- 申告分離課税
- 総合課税
それぞれの内容を確認していきましょう。
| 課税方式 | 概要 | 所得税率 | 住民税率 | 合計税率 |
|---|---|---|---|---|
| 申告不要 | 証券会社が源泉徴収して完結。確定申告不要。特定口座(源泉徴収あり)限定。 | 15.315% | 5% | 20.315% |
| 申告分離課税 | 他の所得と合算せず配当金単独で税金計算。上場株式等の譲渡損失と損益通算したい場合に選択。 | 15.315% | 5% | 20.315% |
| 総合課税 | 事業所得・給与所得等と合算して税金計算。配当控除の適用が可能。 | 5.105%〜45.945% | 10% | 所得による |
📌 ポイント
申告不要は、源泉徴収ありの特定口座で配当金を受け取っている場合に限って選択できます。申告分離課税は、上場株式等の譲渡損失と損益通算をしたい場合に利用されます。配当金の税金を取り戻すために活用するのが総合課税です。
📝 このセクションのまとめ
- 課税方式は「申告不要」「申告分離」「総合課税」の3種類
- 申告不要・申告分離は合計税率20.315%で源泉徴収完結
- 税金を取り戻すには総合課税で確定申告する必要がある
配当控除の仕組みと適用条件
総合課税を選択して確定申告をする最大のメリットが配当控除です。配当控除とは、法人と個人の二重課税を調整するための制度です。
配当金は、法人税等が課税された後に残った利益を株主に分配するものです。つまり、すでに課税済みの所得です。ここでさらに所得税等が課税されると、会社と株主で二重課税になってしまいます。そのため、株主側で税額を減額して調整する仕組みが配当控除です。
| 課税所得の区分 | 所得税での控除割合 | 住民税での控除割合 |
|---|---|---|
| 1,000万円以下の部分 | 配当所得の10% | 配当所得の2.8% |
| 1,000万円超の部分 | 約半分(5%程度) | 約半分(1.4%程度) |
⚠️ 注意
配当控除は総合課税で確定申告をした場合のみ適用できます。申告不要や申告分離課税を選択した場合は、配当控除を受けることができません。
📝 このセクションのまとめ
- 配当控除は法人・個人の二重課税を調整するための制度
- 課税所得1,000万円以下なら所得税10%・住民税2.8%を控除
- 総合課税で確定申告しないと配当控除は使えない
令和4年分まで:所得税と住民税で課税方式を分けられた
所得税は超過累進税率を採用しており、所得が多くなるほど税率が高くなります。そのため、総合課税で確定申告をすれば全員が税金を取り戻せるわけではありません。所得が多く税率が高い人は、申告不要を選択して20.315%の源泉徴収で完結した方が有利になります。
一方、住民税は課税所得に関わらず一律10%です。配当控除2.8%を差し引いても7.2%となり、源泉徴収された5%よりも高くなってしまいます。つまり、住民税は確定申告せずに申告不要を選択して源泉徴収で完結した方が有利です。
令和4年分までは、「所得税は総合課税で確定申告」「住民税は申告不要」という、それぞれ有利な方式を別々に選択することができました。課税所得900万円以下(給与収入では約1,200万円程度)の人は、この方法で源泉徴収された所得税の還付を受けることができたのです。
| 課税所得 | 所得税率 | 配当控除後の実効税率(所得税) | 源泉徴収15.315%との比較 |
|---|---|---|---|
| 195万円以下 | 5% | 0%(控除10%が上回る) | 確定申告が有利 |
| 330万円以下 | 10% | 0%(控除10%と同率) | 確定申告が有利 |
| 695万円以下 | 20% | 10.21%(復興税含む) | 確定申告が有利 |
| 900万円以下 | 23% | 13.273%(復興税含む) | 確定申告が有利 |
| 900万円超 | 33%以上 | 23%以上 | 申告不要が有利 |
📌 ポイント
令和4年分まで、課税所得900万円以下(給与収入約1,200万円程度)の人は、所得税を総合課税・住民税を申告不要とすることで、源泉徴収された所得税の還付を受けることができました。これは大半の会社員が該当するラインでした。
📝 このセクションのまとめ
- 令和4年分まで、所得税と住民税で異なる課税方式を選択できた
- 所得税は総合課税・住民税は申告不要という組み合わせが有利だった
- 課税所得900万円以下の人が恩恵を受けられるボーダーラインだった
令和5年分から:所得税と住民税の課税方式を一致させる義務が生じた
⚠️ 注意
令和5年分の確定申告から、所得税と住民税の課税方式は必ず一致させなければなりません。所得税で総合課税を選択したら、住民税も自動的に総合課税になります。所得税は総合課税・住民税は申告不要という都合のいい選択はもう使えなくなりました。
住民税も総合課税になると、配当控除2.8%を差し引いても住民税の実効税率は7.2%となり、源泉徴収の5%より高くなってしまいます。そのため、所得税と住民税を合計した税率で有利不利を判断しなければなりません。
| 課税所得 | 所得税の実効税率 | 住民税の実効税率 | 合計実効税率 | 源泉徴収20.315%との比較 |
|---|---|---|---|---|
| 195万円以下 | 0% | 7.2% | 7.2% | 確定申告が有利 |
| 330万円以下 | 0% | 7.2% | 7.2% | 確定申告が有利 |
| 695万円以下 | 10.21% | 7.2% | 17.41% | 確定申告が有利 |
| 900万円以下 | 13.273% | 7.2% | 20.473% | 申告不要が有利(逆転) |
| 900万円超 | 23%以上 | 7.2% | 30%以上 | 申告不要が有利 |
課税所得900万円以下の人は、令和4年分まで確定申告が有利でしたが、令和5年分からは合計税率が20.473%となり、源泉徴収の20.315%を上回ってしまいます。
📌 ポイント
令和5年分からの確定申告が有利なボーダーラインは、課税所得695万円以下(給与収入では約1,000万円程度)に引き下がりました。課税所得900万円以下から695万円以下へとボーダーラインが下がった点が最大の変更点です。
📝 このセクションのまとめ
- 令和5年分から所得税と住民税の課税方式は必ず一致させる必要がある
- 住民税も総合課税になると実効税率7.2%となり源泉徴収の5%より高くなる
- 確定申告が有利なボーダーラインが課税所得900万円以下から695万円以下に下がった
- 課税所得695万円以下は給与収入では約1,000万円程度が目安
会社員と個人事業主・フリーランス・高齢者で影響が異なる
課税所得695万円以下という新しいボーダーラインは、会社員の人にのみ適用できる点に注意が必要です。
- 会社員:住民税を確定申告しても社会保険料に影響しないため、課税所得695万円以下であれば確定申告による税金の還付メリットを享受できる
- 個人事業主・フリーランス:住民税を確定申告すると、住民税の所得金額をベースに計算される国民健康保険料がアップしてしまう
- 75歳以上の高齢者:同様に、後期高齢者医療保険の保険料が住民税の所得金額に連動しているため、確定申告によって保険料がアップしてしまう
⚠️ 注意
個人事業主・フリーランスや75歳以上の高齢者が配当金について総合課税で確定申告をすると、国民健康保険料や後期高齢者医療保険料がアップする可能性があります。所得税の還付メリットと保険料増加のデメリットを必ず比較検討してください。
📝 このセクションのまとめ
- 会社員は社会保険料に影響しないため695万円以下なら確定申告が有利
- 個人事業主・フリーランスは国民健康保険料への影響を考慮する必要がある
- 75歳以上の高齢者は後期高齢者医療保険料への影響を考慮する必要がある
- 税金の還付額と保険料増加額を比較してから判断することが重要
終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士KOBAYASHIちゃんねる の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。本サイトは 税理士KOBAYASHIちゃんねるを応援しています!
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