確定申告を早まると損する3つのケースを税理士が解説
確定申告を急いで提出すると、かえって税金が増えることがあります。早めに出して損をしている人は非常に多く、代表的な3つのケースを知っておくことが大切です。
確定申告は早く出せばいいわけではない
確定申告の対象となる人は、1月1日から確定申告書を提出することができます。しかし、早めに提出したことで損をしてしまうケースが非常に多く見られます。
📌 ポイント
今回解説する「早めの提出で損するケース」は以下の3つです。
- 医療費控除における医療費の計上漏れ
- 株・配当金などの投資の申告方法の選択ミス
- 給与収入・業務委託収入および源泉所得税の計上漏れ
確定申告によって余分な税金を払ってしまうことを防ぐため、それぞれのケースを詳しく確認していきましょう。
📝 このセクションのまとめ
- 確定申告は早く提出すれば良いわけではない
- 早期提出で損するケースが3つある
- 提出前に必ず内容の確認を行うことが重要
ケース1:医療費控除における医療費の計上漏れ
早めの提出で損するケースの1つ目は、医療費控除における医療費の計上漏れです。これは非常に多く見られるため、特に注意が必要です。
医療費控除の基本的な仕組みは以下の通りです。前年1月〜12月の医療費の合計がトータルで10万円を超えた場合、その超えた額について所得控除を受けることができます。
| 対象者 | 控除の基準額 |
|---|---|
| 総所得金額が200万円以上の人 | 医療費合計が10万円を超えた部分 |
| 総所得金額が200万円未満の人 | 総所得金額の5%を超えた部分 |
所得が比較的低い人は医療費控除を受けられる可能性が高くなります。また、医療費は生計を一にする家族分も含めることができます。同居していて同じ財布で生活している親族分の医療費は合算して申告できるため、家族全員の領収書をまとめて集計しましょう。
医療費控除の対象範囲は意外と広い
医療費控除の対象となる費用の範囲を正確に答えられる人はほとんどいません。病院・クリニックでの保険診療の治療費・処置代はもちろん対象ですが、それ以外にも以下のものが含まれます。
- あん摩マッサージ指圧師・柔道整復師による施術費用
- 市販の風邪薬など
- 怪我のために購入した湿布・絆創膏・包帯
- 病院・クリニックへの通院交通費(電車代・バス代)
- 電車が使えない地域や体が不自由な方のタクシー代
⚠️ 注意
特に通院交通費は漏れている人が非常に多いです。電車代はいちいち領収書をもらうのが難しいですが、「○○病院に○月○日、○○駅から○○駅の経路で通院」という形でまとめておけば申告に使えます。頻繁に病院に通っている人は電車代だけでも相当な金額になるため、必ず集計してください。
📝 このセクションのまとめ
- 医療費控除は生計を一にする家族分も合算できる
- 通院交通費(電車・タクシー)も対象になる
- 市販薬・湿布・包帯なども対象になる場合がある
- 電車代は領収書がなくても通院記録でまとめて申告可能
ケース2:株・配当金の申告方法の選択ミス
早めの提出で損するケースの2つ目は、株・配当金などの投資の申告方法の選択を誤ってしまうことです。
源泉徴収ありの特定口座を開設している場合、「確定申告不要制度」が適用されます。儲けが出た場合はあらかじめ20.315%の源泉税が控除された上で投資の利益が証券会社の口座に振り込まれるため、基本的には確定申告をしなくても納税済みとなります。
しかし、以下のような場合は確定申告が必要になることがあります。
- A口座でプラス・B口座でマイナスの場合に損益通算をしたいとき
- 過去の損失を今期の利益と相殺する繰越控除を適用したいとき
ただし、確定申告をすることで所得にカウントされ、思わぬ影響が出ることがあります。
株・配当金の確定申告が引き起こす3つの落とし穴
| 落とし穴 | 対象者 | 内容 |
|---|---|---|
| ①国民健康保険料の増加 | 国民健康保険加入者 | 株・配当金の申告で所得が増え、翌年の国民健康保険料が引き上がる |
| ②扶養・配偶者控除の喪失 | 誰かの扶養に入っている人 | 所得が増えて扶養要件を超えると、扶養する側の控除が受けられなくなる |
| ③住宅ローン控除の適用除外 | 住宅ローン控除を受けている高額所得者 | 本人の所得が2,000万円を超えると住宅ローン控除が受けられなくなる |
扶養に関しては、税制改正によって要件が引き上げられましたが、扶養親族と認められるためには合計所得金額が58万円以下でなければなりません。また、配偶者特別控除を満額受けるためには合計所得金額が95万円以下である必要があります。
⚠️ 注意
株・配当金の確定申告の方法は、確定申告期限(今年は3月17日)を過ぎると変更できません。損益通算のために確定申告をしたら国民健康保険料が上がった、扶養から外れてしまったというケースが非常に多く見られます。提出前に必ず国民健康保険料・扶養要件・住宅ローン控除の要件への影響を確認してください。
📌 ポイント
勤務先の社会保険(健康保険)に加入している人は、国民健康保険料の増加という問題は発生しません。ただし、扶養要件や住宅ローン控除の影響は別途確認が必要です。
📝 このセクションのまとめ
- 源泉徴収ありの特定口座は原則確定申告不要
- 損益通算・繰越控除のために確定申告すると所得が増える
- 国民健康保険料の増加・扶養外れ・住宅ローン控除の喪失に注意
- 申告方法の選択は期限後に変更不可
ケース3:給与収入・業務委託収入と源泉所得税の計上漏れ
早めの提出で損するケースの3つ目は、給与収入・業務委託収入の計上漏れ、および源泉所得税の計上漏れです。
基本的に源泉徴収票は、その年の最後の給与または賞与が支払われた時点でもらえることが多いです。しかし、1月に年末調整をする会社も少なくなく、その場合は1月にならないと源泉徴収票が発行されません。
勤務先が1か所だけであればすぐ把握できますが、アルバイトを掛け持ちしていたり、複数の会社から仕事をもらっている場合は、全ての源泉徴収票が揃ってから確定申告をしないと申告漏れになってしまいます。スポットの仕事は源泉所得税がかなり引かれていることが多く、申告を漏らすと多く払いすぎた税金の還付も受けられなくなります。
支払調書は2月にならないと届かないことが多い
給与ではなく業務委託として働いた場合、源泉徴収票ではなく支払調書という書類が発行されます。支払調書の対象となる報酬には以下のようなものがあります。
- 原稿料
- デザイン料
- 資料作成の報酬
- メディア出演料
支払調書は支払い側が1月末までに税務署へ報告すればよいため、その報告が終わってから本人に郵送されることが多く、2月に入ってからようやく届くというケースが非常に多くあります。
📌 ポイント
「通帳で入金を把握しているから大丈夫」という場合でも注意が必要です。源泉所得税が控除されている場合、通帳の入金額は源泉所得税控除後の金額であるため、正確な支払い総額と源泉所得税額の内訳は支払調書がないと確認できません。
⚠️ 注意
支払調書は、支払い側が税務署に報告するための書類であるため、本人に郵送する法的義務はありません。発行してくれない場合は、支払い先に直接連絡して収入金額と源泉所得税額を確認するしかありません。ただし、多くの事業者は本人にも発行してくれるため、届くまで待つのが確実です。
📝 このセクションのまとめ
- 複数の勤務先がある場合は全ての源泉徴収票が揃ってから申告する
- 業務委託の報酬には支払調書が発行される
- 支払調書は2月に届くことが多いため、急いで申告すると計上漏れになる
- 通帳の入金額だけでは源泉所得税の内訳が分からないため支払調書を待つべき
- 支払調書の本人への郵送義務はないが、不明な場合は支払い先に直接確認する
終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士ナガイ の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。本サイトは 税理士ナガイを応援しています!
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