フリーランスの老後対策を税理士が解説|国民年金だけでは足りない理由と具体的な備え方
フリーランス・個人事業主の老後資金は自分で準備するしかありません。国民年金だけでは不足する理由と、今すぐ始められる具体的な対策を解説します。
60代がリアルに後悔していること ─ 老後対策の出発点
まず、老後対策を考える前に、実際に60代の方々がどんなことを後悔しているのかを見ておきましょう。フリーランスに限らず全員を対象にした調査によると、リアルに後悔していることのトップ3は次のとおりです。
| 順位 | 後悔のカテゴリ | 具体的な内容 |
|---|---|---|
| 1位 | お金の問題 | 貯金・投資をもっとしておけばよかった、衝動買いを抑えればよかった、モノより経験にお金を使えばよかった |
| 2位 | 健康対策 | もっと早くから健康管理をしておけばよかった |
| 3位 | 孤独対策 | 会社以外の居場所・趣味・人間関係を作っておけばよかった |
お金に関する後悔をもう少し詳しく見ると、以下のような声が多く挙がっています。
- 貯金をもっとしておけばよかった
- 投資をもっとしておけばよかった
- 衝動買いを抑えておけばよかった
- モノへの支出より経験に投資すればよかった
仕事面では「専門性をつければよかった」「外国語の勉強をしておけばよかった」、プライベート面では「読書の習慣をつければよかった」「会社以外の場所を作っておけばよかった」「子どもとの時間をもっと持てばよかった」「趣味に投下する時間を捻出すればよかった」といった声も多かったようです。
📌 ポイント
今から準備しておけば、これらの後悔の多くはクリアできます。「しまった」と思わないよう、今この瞬間から対策を始めることが大切です。
📝 このセクションのまとめ
- 60代の後悔トップ1は「お金の問題」
- 貯金・投資・経験への投資が特に多く挙がる
- 今から行動すれば後悔を減らせる
会社員とフリーランスの年金制度の違い ─ 1階建てと3階建て
老後対策を立てるには、まず年金制度の仕組みを理解することが不可欠です。会社員・公務員とフリーランス・個人事業主では、年金の「積み上げ方」が大きく異なります。
| 階層 | 会社員・公務員 | フリーランス・個人事業主 |
|---|---|---|
| 1階(全員共通) | 国民年金(基礎年金) | 国民年金(基礎年金) |
| 2階 | 厚生年金(給与から自動天引き) | ―(加入できない) |
| 3階 | 企業年金・年金払い退職給付・企業型確定拠出年金(DC) | ―(加入できない) |
| 上乗せ任意 | iDeCo(会社によっては加入可) | 国民年金基金 or 付加年金 + iDeCo + 小規模企業共済 |
会社員・公務員の方は、給料から自動的に天引きされる形で国民年金と厚生年金の両方をかけています。さらに企業年金や企業型確定拠出年金まで積み立てている会社も多く、いわゆる「2階建て・3階建て」の手厚い年金制度の恩恵を受けています。
一方、フリーランス・個人事業主の方は、1階部分の国民年金だけというのが現実です。自分で毎月支払う(または口座引き落とし)ため「高い」「払っている感が強い」と感じる方も多いのですが、その国民年金だけでは老後資金は明らかに不足します。
⚠️ 注意
会社員でさえ「老後のお金が不安・もっとやっておけばよかった」と後悔する人が多い現実があります。1階建てのフリーランスがそのままにしておくと、老後の資金不足はさらに深刻になります。
📝 このセクションのまとめ
- 会社員は国民年金+厚生年金+企業年金の3階建て
- フリーランスは国民年金のみの1階建て
- 上乗せの仕組みを知ることが老後対策の第一歩
フリーランスの老後対策3つの心得
具体的な制度の話に入る前に、フリーランス・自営業として老後に向き合うための心構えを押さえておきましょう。
- 65歳で定年を考えない
自営業は会社員・公務員と違い、定年がないのが最大の魅力です。人生100年時代と言われる今、老後は思っていたよりずっと長くなります。早期リタイア(FIRE)を夢見る方もいるかもしれませんが、健康であればしっかり働き続けることが老後対策の大前提です。 - 投資・節税についてしっかり学ぶ
お金の勉強をしなければ、老後対策もお金を増やすことも難しいです。「面倒くさい」「時間がない」では済まされません。まずお金の基礎知識を身につけることが心得の2つ目です。 - 個人年金(上乗せ分)を自分で準備する
老後資金は自分で積み立てていくしかないという姿勢が、フリーランス・自営業の方には非常に大切です。「誰かが用意してくれる」という発想を捨て、自分で上乗せしていく意識を持ちましょう。
📝 このセクションのまとめ
- 定年という概念を持たず、健康なら働き続ける
- お金・投資・節税の勉強は必須
- 老後資金は自分で積み立てるという意識が重要
具体的対策①:国民年金基金 または 付加年金への加入
フリーランスが国民年金に上乗せできる制度として、まず押さえておきたいのが国民年金基金と付加年金の2つです。
| 制度 | 内容 | 上限額 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 国民年金基金 | 国民年金に上乗せして老後の年金を増やす制度 | 月額 68,000円まで | 付加年金との併用不可 |
| 付加年金 | 今の国民年金保険料に月額 400円を上乗せして年金額を増やす制度 | 月額400円(定額) | 国民年金基金との併用不可 |
⚠️ 注意
国民年金基金と付加年金はどちらか一方しか選べません。併用はできないため、自分の状況や目標に合った制度を選んで手続きをしましょう。
どちらが自分に合っているかを見極めてから、できるだけ早く加入手続きを行うことをおすすめします。詳細は各制度の公式ホームページで確認できます。
📝 このセクションのまとめ
- 国民年金基金は月最大68,000円まで上乗せ可能
- 付加年金は月400円の追加で年金額を増やせる
- 2つは併用不可。どちらか一方を選ぶ
具体的対策②:小規模企業共済で退職金を自分で積み立てる
フリーランス・個人事業主には、会社員のような退職金制度がありません。そこでおすすめなのが小規模企業共済です。これは経営者・自営業者のための退職金積立制度です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 掛け金の範囲 | 月額 1,000円〜70,000円(1,000円単位で設定) |
| 掛け金の変更 | 増額・減額が可能(売上・利益に応じて柔軟に調整できる) |
| 税制メリット | 掛け金が全額所得控除(月7万円なら年間 84万円が控除対象) |
| 貸付制度 | 一定期間掛け続けると、いざという時に掛け金の範囲内で借り入れが可能 |
| 注意点 | 20年未満で解約すると元本割れのリスクあり |
📌 ポイント
小規模企業共済は節税しながら退職金を積み立てられる優れた制度です。月7万円(年84万円)を掛けると、その全額が所得控除になるため、所得税・住民税の節税効果も得られます。長期で続けることが前提の制度なので、早めに加入するほど有利です。
⚠️ 注意
加入後20年未満で解約すると、受け取れる額が掛け金の合計を下回る(元本割れ)可能性があります。長期間継続できる掛け金額を設定してからスタートしましょう。
📝 このセクションのまとめ
- フリーランスの退職金積立に最適な制度
- 掛け金月1,000〜70,000円で柔軟に設定・変更可能
- 掛け金全額が所得控除になり節税効果も大きい
- 20年未満の解約は元本割れリスクあり。長期継続が前提
具体的対策③:iDeCo・積立NISAで老後資金を積み立てる
小規模企業共済が「退職金の積立」のイメージなら、iDeCo(個人型確定拠出年金)と積立NISAは「老後資金そのものの積立」のイメージです。この2つを比較してみましょう。
| 比較項目 | iDeCo | 積立NISA |
|---|---|---|
| 掛け金の所得控除 | 全額控除(節税効果あり) | なし |
| 運用益の非課税 | あり | あり |
| 途中引き出し | 原則60歳まで不可(資金ロック) | いつでも売却・引き出し可能 |
| 元本保証 | なし(商品によりリスクあり) | なし(商品によりリスクあり) |
| 向いている人 | 節税優先・60歳まで引き出し不要の方 | 柔軟に使いたい方・資金ロックが嫌な方 |
iDeCoの最大のメリットは掛け金が全額所得控除になる点です。老後資金を積み立てながら節税もできるため、小規模企業共済と同様に非常に効果的な制度です。
一方、iDeCoのデメリットは資金が60歳頃まで引き出せない点です。「途中で現金が必要になるかもしれない」という方には向かない面もあります。その場合は積立NISAを選ぶのも一つの考え方です。積立NISAは途中売却が自由で、運用益も非課税になりますが、掛け金の所得控除はありません。
📌 ポイント
iDeCoも積立NISAも長期保有することで効果が最大化される商品です。基本的には長く持ち続けて老後資金に備えるというイメージで運用しましょう。また、小規模企業共済・iDeCo・積立NISAの3つを同時に活用することも可能です。組み合わせることでより手厚い老後対策ができます。
⚠️ 注意
iDeCoも積立NISAも元本を100%保証するものではありません。投資リスクがある商品です。「絶対に損しない」という前提で始めないよう注意してください。
📝 このセクションのまとめ
- iDeCoは掛け金全額所得控除で節税しながら老後資金を積立
- iDeCoは60歳まで資金ロック。柔軟性が必要なら積立NISAを検討
- 積立NISAは運用益非課税・途中売却自由だが所得控除なし
- 小規模企業共済・iDeCo・積立NISAの3つ同時活用も可能
- いずれも元本保証はなく投資リスクがある点に注意
フリーランスの年金制度を強化する全体像の整理
ここまで紹介した制度を組み合わせると、フリーランス・個人事業主の年金制度は次のように強化されます。
| 層 | 制度名 | 目的 |
|---|---|---|
| 1階(必須) | 国民年金(基礎年金) | 全員共通の基礎年金 |
| 上乗せ① | 国民年金基金 または 付加年金 | 国民年金の上乗せ(どちらか一方) |
| 上乗せ② | iDeCo | 老後資金の積立+節税 |
| 上乗せ③ | 小規模企業共済 | 退職金の積立+節税 |
| 上乗せ④ | 積立NISA | 老後資金の積立(運用益非課税) |
もちろん、これらの制度だけに頼るのではなく、現金として自分で資金をストック(貯金)していくことも有効な方法の一つです。また、株式投資などで資産を増やすという選択肢もありますが、全くの初心者が手を出すと危険なため、手堅い商品を選ぶか、しっかり勉強してからスタートするようにしてください。
📌 ポイント
「投資の勉強が面倒」「時間がない」という方は、国民年金基金・iDeCo・小規模企業共済といった制度として整備された仕組みに加入するほうが比較的安心です。ただし、iDeCoや積立NISAも商品を購入するものなので、元本保証ではない点は共通して理解しておきましょう。
📝 このセクションのまとめ
- 1階の国民年金に複数の制度を上乗せすることで老後資金を強化できる
- 小規模企業共済・iDeCo・積立NISAは3つ同時に活用可能
- 現金貯金や株式投資も組み合わせてよい
- まずは自分の現状を知り、できるものから始めることが大切
まとめ:今できることから備えよう
フリーランス・個人事業主の老後対策として、本記事では以下の内容を解説してきました。
- 60代のリアルな後悔トップ3を知り、今から行動する意識を持つ
- フリーランスは国民年金の1階建てしかないという現実を正しく理解する
- 国民年金基金または付加年金で国民年金に上乗せする
- 小規模企業共済で退職金を積み立てながら節税する
- iDeCo・積立NISAで老後資金を積み立てる
老後対策として大事なのは、今できることから備えることです。節税対策になるものも多いので、小規模企業共済やiDeCoへの加入をぜひ検討してみてください。そして、今払っている国民年金が1階部分だけだという現実を知り、何か自分で上乗せして準備していく必要があるということを、まずしっかりと認識することが老後対策の第一歩です。
📌 ポイント
自分に合う制度はひとりひとり異なります。それぞれの長所・短所をよく調べてから選び、まずそこからスタートするのがおすすめです。組み合わせることも可能なので、ご自身の状況に合わせて最適な組み合わせを検討してみましょう。
終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士河南のYouTubeチャンネル! の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。本サイトは 税理士河南のYouTubeチャンネル!を応援しています!
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