主婦の株投資で扶養から外れる?配当・売却益の扶養判定を税理士が解説
株投資をしている主婦が確定申告をすると、税金上・健康保険上の扶養から外れるリスクがあります。得をしようとして逆に損をするケースを詳しく解説します。
株投資をしている主婦が直面する「扶養の壁」
株投資をしている主婦の方も、最近は結構いらっしゃるのではないでしょうか。配当控除で税金が戻ってくるとか、損失は繰り越して控除できるといった理由で確定申告をしたことがある主婦の方もいらっしゃるかもしれません。
ところが、その確定申告が原因で扶養から外れてしまい、夫の税金が高くなったり、さらに驚くことに確定申告をしていないのに夫の健康保険の扶養から外れてしまって損をするリスクがあるのです。
⚠️ 注意
得をしようと確定申告をしたら、それ以上に税金を取られた——そんなことが実際に起こりえます。特に健康保険の扶養判定は後から取り返しがつかないケースもあるため、株投資を始める前にしっかりチェックしておくことが重要です。
税金の扶養判定と健康保険の扶養判定にはかなり違いがあります。まずは税金の扶養判定から見ていきましょう。
📝 このセクションのまとめ
- 株投資の確定申告が扶養判定に影響する場合がある
- 税金の扶養と健康保険の扶養では判定基準が異なる
- 健康保険の扶養は後から取り返しがつかないリスクがある
税金の扶養判定は「合計所得金額」で行われる
税金上の扶養になるかならないかは、合計所得金額で判定することになっています。この合計所得金額とは、配当所得・株式等の譲渡所得・給与所得など、あらゆる種類の所得金額を合計した金額のことです。
| 扶養の種類 | 合計所得金額の上限 | 給与収入換算 |
|---|---|---|
| 扶養控除(配偶者控除) | 58万円以下 | 123万円以下 |
| 配偶者特別控除 | 133万円以下 | — |
給与所得控除が65万円ありますから、給与収入からこれを差し引くと58万円になる、というわけです。また、配偶者は扶養要件の58万円を超えても、合計所得金額が133万円以下であれば配偶者特別控除が受けられるようになっています。
📌 ポイント
合計所得金額には配当所得と株式等の譲渡所得も含まれます。つまり、株投資の利益を確定申告すると、合計所得金額が増加し、扶養から外れてしまう可能性があります。
📝 このセクションのまとめ
- 扶養判定は「合計所得金額」が基準(配偶者控除は58万円以下)
- 配当所得・譲渡所得も合計所得金額に含まれる
- 配偶者特別控除は合計所得金額133万円以下まで適用可能
証券口座の種類と確定申告の関係
株式投資をするためには、まず証券会社に証券口座を作らなければなりません。口座には3種類あります。
| 口座の種類 | 確定申告 | 特徴 |
|---|---|---|
| 一般口座 | 必須 | 利益が出れば必ず確定申告が必要 |
| 特定口座(源泉徴収なし) | 必須 | 利益が出れば必ず確定申告が必要 |
| 特定口座(源泉徴収あり) | 任意 | 確定申告不要で課税完了。ただし申告することも可能 |
多くの方は確定申告をしなくてもよい源泉徴収ありの特定口座を利用されていますよね。しかし、この口座でも確定申告をすることができます。確定申告をするかしないかは自由に選ぶことができるのです。
⚠️ 注意
源泉徴収ありの特定口座で確定申告を「選択」すると、合計所得金額が増加して扶養を外れてしまうという弊害が発生する可能性があります。源泉徴収された税金を取り戻したい一心で確定申告をしてしまうケースが多いですが、事前に扶養への影響を必ず確認してください。
そもそも確定申告をしなければ所得にならないという仕組み自体が不思議な現象とも言えます。源泉徴収だけで投資課税を完了させる仕組みを作ったために、個人の投資利益を捕捉できなくなっているわけです。これからはマイナンバーで紐付けられて捕捉され、様々な課税対象になっていく可能性があります。
📝 このセクションのまとめ
- 源泉徴収ありの特定口座でも確定申告は任意で選択できる
- 確定申告を選択すると合計所得金額が増加し、扶養を外れるリスクがある
- マイナンバーによる紐付けで今後は自動的に捕捉される可能性がある
確定申告をする3つのケースと扶養への影響
主婦が株投資で確定申告をするケースは主に3つです。それぞれについて、合計所得金額への影響を解説します。
- 配当控除
- 損益通算
- 譲渡損失の繰越控除
いずれの制度も、簡単には税金を戻してくれない仕組みになっており、扶養判定のベースとなる合計所得金額が増加してしまう点が共通しています。
①配当控除・②損益通算・③譲渡損失の繰越控除の仕組み
① 配当控除
税金を取り戻すためには、他の所得と合算して課税する総合課税という方法で配当金を確定申告しなければなりません。配当控除は合計所得金額を計算した「後」に行われるため、確定申告した配当金は前の段階の合計所得金額の計算に含まれてしまいます。結果として合計所得金額がアップしてしまいます。
② 損益通算
1つの特定口座内の売却損と売却益・配当は証券会社が自動的に相殺してくれますが、複数の特定口座をまたいで相殺するためには確定申告が必要です。損益通算は合計所得金額を計算する「前」に行われるため、損益通算して利益が残ればそれが合計所得金額に含まれます。
| 損益通算の結果 | 合計所得金額への影響 |
|---|---|
| 利益が残った場合 | 合計所得金額に加算される(アップ) |
| 損失が残った場合 | 合計所得金額はスルー。翌年に繰り越し |
損失で合計所得金額を減額することはできません。損失が残っても合計所得金額は下がらず、翌年の繰越控除に回るだけです。
③ 譲渡損失の繰越控除
前年から繰り越されてきた損失と相殺するためには、配当や売却益を確定申告しなければなりません。しかし、繰越控除は合計所得金額を計算した「後」に行われるため、確定申告をした配当や売却益はまず合計所得金額の計算に取り込まれてしまいます。
📌 ポイント
配当控除・損益通算・譲渡損失の繰越控除、いずれも確定申告が必要であるため、合計所得金額を引き上げて税金の扶養から外れるリスクがあります。ただし、確定申告をする前に「扶養を外れないか」「外れる場合のデメリットはいかほどか」を検討してから申告するかどうかを決めることができます。税金については後から対応できる余地がありますが、健康保険はそうはいきません。
📝 このセクションのまとめ
- 配当控除・損益通算・譲渡損失の繰越控除はいずれも確定申告が必要
- 確定申告すると合計所得金額が増加し、扶養を外れるリスクがある
- 損失が残っても合計所得金額を減額することはできない
- 税金の扶養については事前検討で対応できるが、健康保険は別問題
健康保険の扶養判定はさらに複雑——株投資が直撃する
会社に勤めている主婦が社会保険に加入しなければならないかどうかは、勤務時間や給料で決められており、保険料も給料で決まります。株投資でいくら儲けようが関係ありません。
ところが、夫の健康保険の被扶養者になる判定には、株投資が影響してくるのです。
健康保険の被扶養者になるための年収要件は以下のとおりです。
| 対象者 | 年収の上限 | 月換算 |
|---|---|---|
| 60歳未満の人 | 130万円未満 | 10万8,334円未満 |
| 60歳以上または障害年金受給者 | 180万円未満 | 15万円未満 |
問題はこの判定に使われる「年収」とは何か、という点です。健康保険では恒常的な収入で判定するとされており、所得の種類は問いません。つまり株投資も対象に含まれるわけで、課税か非課税か、確定申告をするかしないかは関係ありません。
⚠️ 注意
健康保険の扶養判定においては、確定申告をしていなくても株投資の配当や売却益が収入として含まれる可能性があります。株投資を始めた途端に扶養から外れてしまうリスクがあるため、事前に必ず確認が必要です。
配当・売却益が扶養判定に含まれるかは保険者によって異なる
配当や売却益が扶養判定の年収に含まれるかどうかについては、一律の明確な規定は存在しません。厄介なことに、協会けんぽや健康保険組合など、保険者ごとの取り扱いとなっているのです。最終的な判断はそれぞれの健康保険者が決定するため、必ず加入している保険者に確認するしかありません。
判断の基本的な考え方は「一時的な臨時収入か、恒常的な継続収入か」です。各保険者の対応はおおむね以下のとおりです。
- 年1回だけの売却で発生した売却益 → 一時的な収入として扱うケースが多い
- 年2回以上の売却 → 恒常的な収入とみなすとしているケースが多い
- 相続した株を1度に全て売却した場合に限り一時的な収入とみなすとしている厳しい健康保険組合もある
- 株を保有し続けている場合は取引回数に関係なく1回の売却でも恒常的収入とみなすとしているケースもある
このように保険者によってルールがまちまちであるため、配当や売却益も含めた上で扶養の所得制限を考えていかなければリスクがあります。
📌 ポイント
現実の運用は自己申告によっています。協会けんぽや健康保険組合が保険者自ら調べることはほぼ不可能です。しかし、政府の方針ではマイナンバーで紐付けして金融所得を社会保険料に反映させようとしています。そのうち投資情報が保険者に提供されるようになるかもしれないため、そのことを常に念頭に置いておく必要があります。
📝 このセクションのまとめ
- 健康保険の扶養判定は「恒常的な収入」が基準で、株投資も含まれる可能性がある
- 配当・売却益が扶養年収に含まれるかは保険者ごとに異なり、一律の規定はない
- 株投資を始める前に必ず加入している健康保険の保険者に確認すること
- 現在は自己申告が中心だが、マイナンバー連携により今後は自動捕捉される可能性がある
終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士KOBAYASHIちゃんねる の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。本サイトは 税理士KOBAYASHIちゃんねるを応援しています!
東京エリア
千代田・中央・港区から副都心各区まで、東京の優良税理士法人ランキング
関西エリア
大阪・京都・兵庫・岡山など関西圏の信頼できる税理士法人ランキング
関東エリア
首都圏の神奈川・埼玉・千葉・北関東で実績のある税理士法人ランキング
中部エリア
製造業の集積地、中部・北陸圏で企業支援に強い税理士法人ランキング
九州・沖縄
九州・沖縄地域で地域密着型サービスに定評のある税理士法人ランキング
その他地域
北海道・東北・中国・四国地方の地域に根ざした税理士法人ランキング
