個人事業税を払わなくていい職種がある|税理士が解説する課税対象の判断基準

個人事業税を払わなくていい職種がある|税理士が解説する課税対象の判断基準
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個人事業税は職種によっては払わなくていい場合があります。あなたは本当に課税対象ですか?

個人事業税とは?課税される人・されない人がいる

個人事業税の納付時期になると、都道府県税事務所から納付書が送られてきます。しかし、個人事業税はすべての個人事業主に対して課税されるものではありません。職種によっては払わなくていい個人事業者もいます。

ただし、その判断が適切になされず、本来払う必要がないのに払ってしまっているという人も実際にいます。毎年なんとなく納付書が来たから払っているという人も、今一度確認するようにしてください。今年初めて納付書が来たという人も、本当に自分が課税対象となるのかどうかをきちんと判断することが大切です。

📌 今回の結論

個人事業税は課税されるか曖昧な業種の人が多く、納税者自身も都道府県税事務所も判断を誤ることがあります。自分の業種が課税対象かどうか、必ず確認しましょう。

個人事業税とは、個人事業主に対して課税されるものです(法人に対しては法人事業税があります)。事務所・事業所を設けて、法定業種70種の事業を行っている場合に課税される地方税です。国税ではなく、具体的には都道府県税事務所に納める税金で、市町村ではなく都道府県に納めるものです。

「商売をやっているなら一定の税金を負担してください」という趣旨の税金です。所得税も住民税も負担しているのにさらに税金を負担させられるのかと、個人事業を始めた方からよく聞く声ですが、それほど莫大な金額ではないものの、そこそこの金額となりますので、厄介といえば厄介な税金です。

📝 このセクションのまとめ

  • 個人事業税はすべての個人事業主に課税されるわけではない
  • 法定業種70種に該当する事業を行っている場合のみ課税される地方税
  • 都道府県税事務所(都道府県)に納める税金

個人事業税の申告方法と納付の流れ

個人事業税の申告方法については、基本的には何もしなくてもよいという人がほとんどです。所得税の確定申告を行うと、その情報が国税(税務署)から都道府県税事務所へ送られます。都道府県はその内容をもとに課税対象かどうかを決定し、納付書を個人事業主の事業所や住所に送るという流れになっています。

ただし、情報をもらった都道府県としては、その人が本当に個人事業税の対象かどうか判断しかねるケースも多くあります。そのような場合には、都道府県税事務所から追加の書類が送られてくることがあります。東京都の場合は「個人の事業内容に関する明細書」という書類で、事業内容を詳しく教えてくださいというものです。都道府県はこの書類をもとに課税対象かどうかを判断します。

⚠️ 注意

この判断をめぐって、納税者と都道府県の間で揉めることも多いのが実情です。課税対象かどうか曖昧な業種の方は特に注意が必要です。

📝 このセクションのまとめ

  • 確定申告の情報が自動的に都道府県税事務所へ共有されるため、個人事業税の申告は基本的に不要
  • 業種が曖昧な場合は「事業内容に関する明細書」の提出を求められることがある
  • 課税判断をめぐり納税者と都道府県が揉めるケースもある

個人事業税の計算方法と各種控除

個人事業税の計算式は以下のとおりです。基本的には所得に対して課税されるもので、売上・収入ではありません。

計算要素内容
事業所得・不動産所得所得税の確定申告上の所得金額
+ 青色申告特別控除額個人事業税では青色申告特別控除(65万・55万・10万円)は加味されないため、一度加算する
+ 所得税の事業専従者給与額所得税で計上した専従者給与の額(個人事業税との差額調整)
- 個人事業税の専従者給与控除額個人事業税において控除できる専従者給与の額
- 各種控除損失の繰越控除・事業主控除など
× 税率業種によって3%・4%・5%
= 個人事業税額

計算式の中に「所得税の事業専従者給与額」と「個人事業税の専従者給与控除額」という2つの似た項目がありますが、これは専従者給与の扱いが所得税と個人事業税で異なる場合があるためです。

所得税では、配偶者控除・配偶者特別控除・扶養控除を受ける場合は専従者給与を計上できません(2択)。ところが個人事業税においては、そのような場合でも専従者給与を控除することができます。ただし、ほとんどの人はこの2つの項目がプラスマイナスゼロとなるため、気にしなくて構いません。

⚠️ 注意

所得税では計上しなかったが個人事業税において計上したい専従者給与がある場合は、確定申告書の所定の欄に必ず記載してください。記載漏れがあると都道府県税事務所が控除対象と判断できません。

税率は業種によって3種類

個人事業税の対象となる業種は全部で70業種あり、第1種・第2種・第3種に分かれています。税率は以下のとおりです。

区分税率主な業種
第1種事業5%物品販売業・製造業・請負業・広告業など(大部分)
第2種事業4%畜産業・水産業・薪炭製造業など
第3種事業3%医業・歯科医業・弁護士業・公認会計士業など

各種控除の内容

個人事業税の計算において認められる控除は以下のとおりです。

  • 青色損失の繰越控除:青色申告者が事業所得等で損失が出た場合、3年間繰り越して所得から差し引くことができる(所得税と同様の規定)
  • 被災事業用資産の損失の繰越控除:震災・風水害・火災などで事業用資産に損失が生じた場合、損失額を3年間繰り越して控除できる(白色申告者も対象)
  • 事業用資産の譲渡損失の控除:機械設備・車などの事業用資産(土地・建物を除く)を譲渡して損失が出た場合に控除できる(所得税では譲渡所得に含まれるが、個人事業税では控除可能)
  • 事業主控除:年間最大290万円を無条件で控除(詳細は下記)

⚠️ 注意

被災事業用資産の損失の繰越控除・事業用資産の譲渡損失の控除については、確定申告書の第2表「事業税に関する事項」の欄に必ず記載しないと控除を受けられません。記載漏れに注意してください。

事業主控除は最大290万円

事業主控除は、一定額を無条件で控除できるものです。1年間まるまる事業を行っている人は290万円の控除を受けられます。年の途中から事業を始めた場合は月割り計算となります。

事業を行った月数事業主控除額
12ヶ月(1年を通じて)290万円
6ヶ月145万円
3ヶ月72.5万円

📌 ポイント

「個人事業税は所得が290万円なければ課税されない」とよく言われるのは、この事業主控除があるためです。1年を通じて事業を行っている場合、所得が290万円以下であれば個人事業税はかかりません。

📝 このセクションのまとめ

  • 個人事業税は所得に対して課税(売上・収入ではない)
  • 青色申告特別控除は個人事業税の計算では加算して戻される
  • 税率は業種によって5%・4%・3%の3種類
  • 事業主控除は最大290万円(月割り計算あり)
  • 所得が290万円以下であれば個人事業税はかからない

個人事業税の納付時期と経費計上の注意点

個人事業税の納付時期は、原則として8月末と11月末の2回に分割して納付します。8月末・11月末が土日祝日の場合はその翌日の平日が納付期限となります。2024年(令和6年)については、いずれも土日となるため翌日の平日が期限です。

なお、今年(令和6年)に届く納付書の元となる所得は令和5年分(昨年)の所得がベースとなります。所得税や住民税よりもかなり遅れてやってくるため、「なぜ今頃こんな税金が来るのか」と驚く人も多いです。

個人事業税は所得税の経費にできる

📌 ポイント

個人事業税を納付した場合、所得税の申告において経費(租税公課)として計上できます。住民税は経費にできませんが、個人事業税は経費にできます。住民税と混同して計上しない人が多いので注意してください。勘定科目は通常「租税公課」です。

経費として計上する時期は実際に納付した年となります。例えば今年(令和6年)に納付した個人事業税は、令和5年分の所得をもとに計算されていますが、経費として計上できるのは令和6年分の確定申告においてです。

廃業した年は未払い計上が可能

個人事業税は1年遅れで納付書が届くため、廃業した年には翌年の納付書が届きません。そのままでは経費計上できないことになってしまいます。

そこで、廃業した年に未払い計上(見込み計上)をすることが認められています。例えば令和6年中に廃業した場合、本来であれば令和7年に届くはずの個人事業税分を、令和6年の決算において未払い計上することで、令和6年分の経費として計上することができます。

⚠️ 注意

今年廃業する予定の方は、個人事業税の未払い計上を忘れずに行ってください。計上漏れがあると、本来受けられる経費算入の機会を失ってしまいます。

📝 このセクションのまとめ

  • 納付は原則8月末・11月末の2回分割
  • 元となる所得は前年分(1年遅れで届く)
  • 個人事業税は所得税の経費(租税公課)として計上できる(住民税は不可)
  • 廃業年は未払い計上により当年分の経費にできる

個人事業税が課税されない職種・課税されない可能性がある職種

個人事業税は法定70業種に対して課税されますが、多くの都道府県で課税されないと判断されている職種があります。ただし、これは一律の判断ではなく、都道府県によって異なる可能性があります。

以下は、課税されないとされることが多い職種の例です。

  • プログラマー・エンジニア
  • 農業・林業従事者
  • 翻訳業・通訳業
  • ライター
  • 画家・作家・漫画家
  • 音楽家
  • 芸能人・スポーツ選手
  • キャバクラ・ホストなどの夜職の方

これらの業種は法定70業種に含まれていないため、個人事業税を払わなくてよいとされることが多いです。一方で、例えばデザイナーは課税対象となります。同じように個人事業として仕事をしているにもかかわらず、課税・非課税に差が生じているのは、地方税法のルールが時代に追いついていないためです。特に変化の激しい現代では新しい職種が日々生まれており、それに対応できていないのが実情です。

📝 このセクションのまとめ

  • 法定70業種に含まれない職種は個人事業税が課税されない
  • プログラマー・ライター・芸能人・農業者などは非課税とされるケースが多い
  • ただし都道府県によって判断が異なる場合があるため要確認

判断が分かれる事例|翻訳業・YouTuberの課税判断

課税されないとされる職種の中にも、「請負業」と判断されて課税対象となるケースがあります。法定70業種には請負業が含まれており、請負的な性質を持つ仕事は個人事業税の課税対象となります。

翻訳業が請負業と判断された事例(平成29年・京都府)

翻訳業は法定70業種に直接含まれていません。しかし、平成29年に京都府の県税事務所が翻訳業を請負業と判断した事例があります。

そもそも請負業とは、「ある仕事を完成することを約束し、その完成に対して対価を受け取る」という商売形態です。建設工事の請負が典型例ですが、この概念は世の中のさまざまな仕事に適用されます。問題となった翻訳業者は、「ある文書を完全に翻訳してお客様に納品する」という契約形態であったため、請負的な性質があると判断されました。

📌 ポイント

請負的な性質がない翻訳業であれば個人事業税を回避できた可能性があります。契約形態によって課税判断が変わることがあるため、自分の契約形態が請負に当たるかどうかを確認することが重要です。

YouTuberが広告業と判断された事例(令和4年9月・石川県)

令和4年9月、石川県においてYouTuberが「広告業」であるという判断がなされました。YouTuberといっても、広告収益で稼ぐ人だけでなく、商品販売や視聴者からの投げ銭など、さまざまな商売形態があります。

納税者側は「広告を行っているのはGoogle社であり、自分は広告目的でYouTube配信をしていない」と主張しましたが、石川県は金沢県税事務所の判断を妥当とし、YouTuberの仕事は広告業に該当するとして課税対象と判断しました。広告業は法定70業種に含まれています。

⚠️ 注意

YouTuberやInstagramなどのSNS運用で収入を得ている方は、広告業に該当するかどうか曖昧な部分があります。個人的にはYouTuberやInstagramerが広告業に該当するとは考えにくいですが、このような課税判断がなされたケースもあることは知っておいてください。

自分の仕事が個人事業税の課税対象かどうか不明な場合は、住所を管轄する都道府県税事務所に必ず確認するようにしてください。また、課税対象ではないと思っているにもかかわらず納付書が送られてきた場合は、まず問い合わせをしてください。問い合わせで納得できる回答が得られなかった場合は、審査請求という手段もあります(納付書の裏面に記載があります)。ただし、審査請求で覆らないケースも多いため、その点は注意が必要です。

📝 このセクションのまとめ

  • 翻訳業が「請負業」と判断され課税対象となった事例がある(平成29年・京都府)
  • YouTuberが「広告業」と判断され課税対象となった事例がある(令和4年・石川県)
  • 課税対象か不明な場合は管轄の都道府県税事務所に確認する
  • 納得できない場合は審査請求という手段もある

不動産賃貸業の課税基準(10棟10室基準)

不動産賃貸業については、個人事業税の課税判断に明確な基準があります。マンション1〜2室を貸しているだけでは課税されませんが、一定規模以上になると事業と見なされ課税対象となります。

物件の種類課税対象となる基準
住宅(一戸建て)10棟以上
住宅(マンション等)10室以上
住宅以外(オフィスビル等)5棟以上
住宅以外(個別の部屋)10室以上

この基準(10棟10室基準)以上の賃貸を行っている不動産オーナーは個人事業税が課されます。

📝 このセクションのまとめ

  • 住宅の賃貸は10棟または10室以上で個人事業税の課税対象
  • 住宅以外(オフィス等)は5棟または10室以上で課税対象
  • 小規模な賃貸経営は課税されないケースが多い

今後の動向と減免制度

課税対象業種の拡大の可能性

東京都でも令和4年の都税制調査会の報告において、「現在の個人事業税の課税対象は時代に対応していない」という指摘がなされています。新しい職種が次々と生まれる現代において、課税対象となる70業種がどんどん増えていく可能性があります。今後動きがあれば注目が必要です。

個人事業税の減免制度

個人事業税には減免制度もあります。以下は東京都の例です。

減免の対象となる事由主な内容
生活扶助の受給生活扶助を受けている方
災害・盗難・横領被害を受けた方
高額医療費高額な医療費がかかった方
障害者障害者本人または障害者である家族を有する方

減免制度を適用するためには、減免申請書に添付書類を添えて都道府県税事務所へ提出する必要があります。お住まいの都道府県のホームページで「減免申請書」の案内を確認してください。

📝 このセクションのまとめ

  • 今後、課税対象業種(70業種)が拡大される可能性がある
  • 生活扶助・災害・高額医療費・障害者などに該当する場合は減免制度が利用できる
  • 減免を受けるには減免申請書の提出が必要

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士ナガイ の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
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