パート扶養廃止へ?106万・130万の壁が崩壊する社会保険の今を税理士が解説

パート扶養廃止へ?106万・130万の壁が崩壊する社会保険の今を税理士が解説
e_zeirishi

2025年にパートの扶養制度が廃止になるかもしれない。社会保険の壁はどう変わるのか?

主婦年金(第3号被保険者)とは何か?廃止議論の背景

昨年末の主婦年金の見直しで、年間15万円の負担が増える可能性があるということで話題になってましたね。年15万っていうのは大きいですよね。

サトウ
サトウ

そうなんです。そもそも主婦年金というのは、第3号被保険者の国民年金のことです。

第3号被保険者は、専業主婦が年金をもらえない問題を解消するために1986年に始まった制度なんですね。令和3年度のデータでは約763万人がいると言われています。

税理士アドバイザー
税理士アドバイザー

そうなんですね。

サトウ
サトウ

厚生年金に加入している会社員や公務員の配偶者が該当して、原則年収130万円未満であれば保険料を支払わなくても将来の基礎年金が受給できる仕組みになっているんですね。

ただ、共働き世帯や独身の女性が増えてライフスタイルが変わったこと、また個人事業主の配偶者は専業主婦であっても扶養になれないことから、雇用形態の違いによって格差が出てしまうなどの理由から、主婦年金を廃止するべきという議論が出てきたんですね。

税理士アドバイザー
税理士アドバイザー

でもまだ廃止と決まったわけではないんですね。

サトウ
サトウ

はい、廃止になるか、それとも別の案になるかはまだ決まっていないんです。ですが、早ければ2025年には制度の変更があるという風に言われているんですね。

税理士アドバイザー
税理士アドバイザー

これはちょっと今後の動向に注目って感じですね。

サトウ
サトウ

はい。そして政府は主婦年金だけじゃなくて、社会保険全体の適用拡大を進めているんです。ざっくりと言うと、政府は専業主婦だろうがパートだろうが社会保険料を支払うような仕組みにしたいと考えているんですね。

税理士アドバイザー
税理士アドバイザー

高齢化で社会保険料を納める人が減ってきているんで、取れる人からお金を取りたいってことでしょうかね。

サトウ
サトウ

おそらくそういう思惑があるんじゃないかなと思いますね。

税理士アドバイザー
税理士アドバイザー

税務上の扶養と社会保険上の扶養の違いをおさらい

扶養っていわゆる「壁」って言われるやつがたくさんあって、結構混乱するやつですよね。

サトウ
サトウ

現在は6つの壁があって、大きく言うと税務上の扶養社会保険上の扶養という2つに分けられるんですね。

税理士アドバイザー
税理士アドバイザー

たくさんありますけど、大きく分けると2種ってことなんですね。

サトウ
サトウ

それぞれの違いを簡単に確認していきましょう。税務上の扶養に含まれるのは、所得税や住民税の控除、配偶者控除に関するものですね。扶養している側の税金が安くなるというものなんです。つまり、会社員の夫とパートの妻であれば、会社員の夫の税金が安くなりますよというものなんですね。

税理士アドバイザー
税理士アドバイザー

なるほど。

サトウ
サトウ

一方、社会保険上の扶養に含まれるのは、健康保険や年金に関するものです。扶養される側、今の例で言えばパートの主婦の側の社会保険料が0円になるものですね。

税理士アドバイザー
税理士アドバイザー

なるほど、そういう違いがあるんですね。

サトウ
サトウ

扶養内と言うと、この2つが混同されちゃいますけれども、制度としては別のものなので切り分けて考えていただきたいと思います。今回はこの社会保険上の扶養の130万円の壁と106万円の壁について取り上げていくということを把握しておくと分かりやすいですね。

税理士アドバイザー
税理士アドバイザー

106万円の壁・130万円の壁とは?それぞれの仕組みを解説

今年の10月から社会保険上の扶養の壁が変わるってことだったんですけど、これどうなっちゃうんですか?

サトウ
サトウ

先ほど見たように、社会保険の扶養には106万円の壁130万円の壁の2つがあるんです。

106万円の壁は年収106万円、月で均すと約8万8,000円ですね。130万円の壁は年収130万円、月で均すと約10万8,000円以上が対象になってきますね。

税理士アドバイザー
税理士アドバイザー

なるほど。この違いってどういうものなんでしたっけ?

サトウ
サトウ

まず元々あったのは130万円の壁と言われているものです。社会保険の扶養に入るための収入要件が年間収入130万円未満となっているんです。この金額内であればパートの方が働いていただいても扶養家族となることができます。

しかし年収130万円以上になると、パート先の健康保険や厚生年金に加入するか、加入できない場合は国民健康保険・国民年金の保険料を払うことになるんですよね。

税理士アドバイザー
税理士アドバイザー

その場合どれくらい負担が増えるんでしょうか?

サトウ
サトウ

ざっくりした計算なんですが、まず年収129万円の場合、手取り収入は約123万円です。次に年収130万円で自分で国保・国民年金を払う場合、手取りは約99万円になります。

税理士アドバイザー
税理士アドバイザー

これ20万円以上差が出ちゃうってことですね。嫌ですよね、これ。

サトウ
サトウ

はい。しかも自分で国民年金に加入しても将来もらえる年金額は増えません。それで130万円の壁っていうんですね。

税理士アドバイザー
税理士アドバイザー

次に106万円の壁なんですが、これは2016年から始まった社会保険の扶養内でいられる収入要件が106万円になる制度によります。

その当時は従業員数501人以上の会社で勤務するパートさんは、所定労働時間が週20時間以上、賃金が月額8万8,000円以上などの条件を満たすと、勤務先の社会保険へ加入しなければいけないということになりました。月8万8,000円を年収とするとおよそ106万円なので、106万円の壁ってことなんですね。

税理士アドバイザー
税理士アドバイザー

まだけど、扶養内でいられるように年130万円以内に収めた人には打撃ですよね。

サトウ
サトウ

はい。しかも対象になる企業はその後どんどん拡大していくんです。2022年10月からは先ほど501人と言いましたけども従業員数101人以上、そして今年10月の改正ではさらに厳しくなっていて、従業員数51人以上の企業が106万円の壁の対象になってくるんです。

税理士アドバイザー
税理士アドバイザー

これ、106万円の壁が対象になる人が拡大してきているってことですね。

サトウ
サトウ

政府の2つの対応策:130万円の壁・106万円の壁への措置

この106万円の壁が適用される人が増えるってことで、手取りが減らないようにシフトを減らす人もさらに増えそうですよね。

サトウ
サトウ

そうなんですよね。そこで政府はパートの就業調整による人手不足解消のため、年収の壁への2つの対応策を実施しているんです。簡単に説明しますけれども、

1つ目は130万円の壁への対応です。収入が一時的に上がって130万円を超えてしまった場合は、事業主が証明すれば扶養でいられるというものなんですね。

2つ目は106万円の壁への対応で、社会保険への加入に合わせて手取り収入を減らさない取り組みを実施する企業を助成するというものなんですね。どちらも昨年秋から2年間の措置となる予定です。

税理士アドバイザー
税理士アドバイザー

なるほど。

サトウ
サトウ

今後の扶養制度はどうなる?政府が検討する適用拡大の中身

先ほど見た政府の対応策、2年間のつなぎ措置ってことになったんですけれども、今後の扶養制度はどういう風に変更されていくんでしょうか?

サトウ
サトウ

厚生労働省の資料を元に予測していきたいと思います。

まず政府は企業規模要件の撤廃を検討しています。つまり、従業員の数に関わらず壁が適用されるように変えようとしているんですね。

税理士アドバイザー
税理士アドバイザー

じゃあ、うちもいずれ対象になっちゃうかもしれないですね。

サトウ
サトウ

はい。さらに、勤務先で社会保険に入る要件の年106万円を年65万円にするという案も出ているみたいですね。

税理士アドバイザー
税理士アドバイザー

ええ!これ65万円の壁になったら、扶養内で働こうとすると月5万4,000円しか稼げなくなっちゃいますよね。

サトウ
サトウ

かなり減りますよね。

税理士アドバイザー
税理士アドバイザー

もう収入減っちゃいますね。

サトウ
サトウ

はい。また、所定労働時間が週20時間以上という要件も撤廃が検討されています。これらの資料から、社会保険の適用拡大に向かっていることが分かるかと思うんですよね。

税理士アドバイザー
税理士アドバイザー

社会保険の適用拡大が会社・従業員に与える影響

続いて、この社会保険の適用拡大が会社とか従業員に与える影響についても教えてもらえますか?

サトウ
サトウ

会社への影響としては、社会保険加入対象の従業員が増えることで社会保険料の負担が増加していきます。

税理士アドバイザー
税理士アドバイザー

最近ですね、社会保険料を滞納した後に差し押さえを受けて倒産みたいな話も聞きますし、社会保険料の負担ってちょっと中小企業にとってかなり大きいんですよね。

サトウ
サトウ

めちゃくちゃ大きいんですよね。最近のニュースでも大手の企業がこれで倒産したみたいな話を聞いたことがあるんですよね。

税理士アドバイザー
税理士アドバイザー

いきなり増えますからね。次の年からドンとか言って。

サトウ
サトウ

そして差し押さえとかっていうのも結構厳密にやってくるみたいですよね。倒産の理由はやっぱりそういうところにもあるみたいなんですよね。

こういった事務負担も増加するのも会社にとって相当痛いですよね。106万円の壁の対象になる従業員が増えた場合、パートさんが就労調整をすることで人手不足になることも予想されますよね。

税理士アドバイザー
税理士アドバイザー

これ、パートが多い職場だとかなり影響大きいんじゃないですか?

サトウ
サトウ

はい。続いては従業員への影響なんですが、これまで扶養の範囲で働いていた人が社会保険料を払うことになると手取りが減っちゃいますよね。収入にもよるんですけど、手取りの約15%ほどが社会保険料として引かれる計算という風に言われています。

税理士アドバイザー
税理士アドバイザー

仮に月収11万円だったら月1万5,000円以上引かれちゃうってことですか。15%ってめちゃ大きいですね。

サトウ
サトウ

めちゃくちゃ痛いですよね。しかも将来もらえる年金額が少し増えるとはいえ、かなり長生きしていかないと得にならないですよね。

また壁の金額が下がった場合に壁に合わせて労働時間を減らしちゃうと、以前よりも手取りが減っちゃうということになりますよね。パート従業員にとっては社会保険料を支払って多く働くか、労働時間を減らして扶養内に抑えるかの難しい判断になっちゃうってことですね。

税理士アドバイザー
税理士アドバイザー

会社・従業員それぞれができる対応策とは

今後社会保険が適用拡大されていくと、会社・従業員共に対応が必要になってくると思うんですけど、どんなことに気をつけたらいいんでしょうか?

サトウ
サトウ

まず会社ができることとしては、対象となる従業員を洗い出して適切な対応を取ることになりますね。ただ、社会保険の対象となる従業員が増えることによる社会保険料の増加は避けられませんね。

税理士アドバイザー
税理士アドバイザー

なんか社会保険料の負担が大きいんで、削減するためにできることってないんでしょうか?

サトウ
サトウ

今までも動画で紹介していますけれども、ハグ組基金を導入したり組合健保に切り替えるだとか、役員報酬の設定を変えるなどの方法が考えられています。社会保険の削減については別の動画で詳しく解説していますので、そちらもぜひご覧いただきたいと思います。

税理士アドバイザー
税理士アドバイザー

じゃあ続きまして、従業員のできる対応策について教えてください。

サトウ
サトウ

これなんですけど、正直言いますと従業員のできる対策って少ないんですよね。繰り返しになりますけど、壁に合わせて就労時間を調整するか、社会保険を払ってもプラスになるように稼げるだけ稼いでいただくという選択肢になっちゃいますね。

税理士アドバイザー
税理士アドバイザー

それだとなんか制度に合わせるか頑張って働くかの2択じゃないですか。なんかもうちょっと裏技みたいなのないんですか?

サトウ
サトウ

現在できる従業員の工夫としてはパートの掛け持ちという方法があります。メインの勤務先の従業員数が多くて106万円の壁に該当してしまう場合でも、パートの掛け持ちをすると130万円まで働ける場合があるんですよね。

例えば、メインで働いているA社で100万円、サブで働いているB社で25万円働いているとします。A社の従業員数が多くて106万円の壁が適用される場合でも、A社では100万円しか働いておらず、2社の合計で130万円を下回っているため、基本的には扶養から外れることはありません。

税理士アドバイザー
税理士アドバイザー

ええ、そんな手があるんですか!

サトウ
サトウ

ただ、壁の金額が変更されたら使えなくなる可能性もありますので、参考程度に覚えておいていただきたいと思います。

税理士アドバイザー
税理士アドバイザー

なるほど。

サトウ
サトウ

まとめ:2024年10月の変更点と今後の見通し

2024年10月から、従業員数101人以上だった106万円の壁の要件が、従業員数51人以上に変更になります。

今後も政府は社会保険の適用拡大を進めていきますので、扶養制度は縮小・廃止の方向で進んでいくと思われます。今後も最新の情報が入り次第お伝えしていきます。

税理士アドバイザー
税理士アドバイザー

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 社長の資産防衛チャンネル の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
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