年金を1ヶ月停止して住民税非課税世帯になる方法を税理士が解説

年金を1ヶ月停止して住民税非課税世帯になる方法を税理士が解説
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年金収入は申請で調整できる。99%が知らない住民税非課税世帯の裏技を解説します。

令和7年度の年金引き上げが「壁」を生み出す

令和7年度の年金支給額は1.9%の引き上げとなっています。物価上昇率よりも低く抑えられているため実質的にはマイナスですが、それでも年金収入が増えることには変わりありません。

ところが、「年金が上がってくれない方がいい」とおっしゃる方が結構いらっしゃいます。なぜかというと、年金収入が増えることで住民税非課税世帯から外れてしまい、医療費や介護費用などの負担が厳しくなるからです。

年金は上がっているのに、それ以上に物価も上がっている。住民税非課税世帯の所得基準を引き上げても良さそうなものですが、残念ながら現状は変わっていません。

📌 ポイント

「ほんの少し年金が多かっただけで住民税非課税世帯になれない」という方が実際に増えています。給与所得控除や所得税の基礎控除は改正されて課税最低限がアップしましたが、年金受給者の公的年金等控除額は据え置かれたまま。住民税の基礎控除も変わらず、住民税非課税世帯の所得基準は変わっていません。

📝 このセクションのまとめ

  • 令和7年度の年金支給額は1.9%引き上げ
  • 年金増加により住民税非課税世帯から外れるケースが増加
  • 公的年金等控除額・住民税基礎控除・所得基準はいずれも据え置き

住民税非課税世帯の所得条件と「211万円の壁」

住民税非課税世帯になるためには、世帯全員が低所得で住民税が非課税でなければなりません。1人でも課税されていると対象外になります。たとえば、夫は年金収入だけで非課税でも、妻にパート収入があって住民税が課税されていれば、夫婦2人とも住民税非課税世帯には該当しません。

住民税が非課税になる所得限度額は自治体ごとに異なり、日本全国を以下の3区分に分けています。

  • 1級地(大都市)
  • 2級地(中核都市)
  • 3級地(その他)

ここでは1級地(大都市圏)を例に、夫婦2人家族でともに65歳以上のケースを見ていきましょう。

世帯主(夫)の所得限度額は、扶養人数を配偶者1人として計算すると所得101万円になります。年金受給者は公的年金等控除(110万円)を差し引いて所得を計算しますので、年金収入ベースに戻すと次のようになります。

対象者所得限度額公的年金等控除年金収入の限度額
世帯主(夫・扶養1人)101万円110万円211万円
配偶者(妻・扶養なし)45万円110万円155万円

夫婦2人家族の場合、世帯主の年金収入が211万円以下なら住民税は非課税となります。これがいわゆる「211万円の壁」です。

📝 このセクションのまとめ

  • 住民税非課税世帯は世帯全員が非課税である必要がある
  • 1級地・夫婦2人(65歳以上)の場合、世帯主の年金収入限度は211万円
  • 配偶者の年金収入限度は155万円

1.9%引き上げで211万円を超えてしまうケース

具体的な例で考えてみましょう。昨年(令和6年)の世帯主の年金収入が210万円だった夫婦は、令和7年度はギリギリ住民税非課税世帯です。しかし来年度(令和8年度)はどうでしょうか。

令和7年度の年金支給額は1.9%引き上げ。引き上げは4月からですので、1年間(4月〜翌3月)の年金収入を計算すると約213万円になります。これは211万円の限度を超えてしまいます。

年度年金収入住民税非課税世帯
令和6年(昨年)210万円該当
令和7年(今年)213万円(1.9%増)非該当(限度超過)

年金が年間わずか3万円増えただけで、住民税非課税世帯の恩恵が全く受けられなくなってしまいます。

⚠️ 注意

介護施設に入居している方は常時介護サービス費がかかります。住民税非課税世帯なら高額介護サービス費の自己負担は月額2万4,600円で済みますが、非課税世帯から外れると月額4万4,400円となり、月2万円もの負担増になります。

住民税非課税世帯の恩恵は介護費用だけではありません。以下のような多くの優遇措置があります。

  • 高額介護サービス費の自己負担軽減
  • 高額療養費の自己負担軽減
  • 後期高齢者医療費の負担軽減
  • 介護保険料の負担軽減
  • 毎年のように交付される給付金の受給

📝 このセクションのまとめ

  • 1.9%引き上げにより年金210万円→213万円となり211万円の壁を超える
  • 介護サービス費の自己負担が月2万円以上増える可能性がある
  • 住民税非課税世帯の恩恵は医療・介護・給付金など多岐にわたる

知られざる制度「老齢・遺族給付支給停止申し出書」とは

「どうすることもできないから諦めるしかない」と思っていた方に、思いもかけない起死回生の一手があります。それが「老齢・遺族給付支給停止申し出書」です。

これは年金の受給を停止するための申し出書で、平成19年4月に施行されています。年金をいらないからと辞退する人などほとんどいないため、その存在すら知られていないのが現状です。

📌 ポイント

年金は申請主義で、受け取るためには年金請求書の提出が必要です。請求をしないと自動的に繰り下げ扱いになります。支給が決定されたら決められた金額を受け取らなければなりません。年金受給権は放棄も譲渡もできません。しかし、年金は「停止」することができます。

日本年金機構の案内では次のように記されています。

「年金を受給する権利をお持ちの方が自らの判断で受給しないことを希望される場合、申し出により全額を支給停止することができます」

停止できるのは全額のみで、一部だけの停止はできません。ただし、支給停止の申し出は老齢基礎年金・老齢厚生年金ごとに行うことができます。

  • 老齢基礎年金の全額を停止
  • 老齢厚生年金の全額を停止
  • 両方の全額を停止

つまり、実質的には3つの選択肢があるわけです。

📝 このセクションのまとめ

  • 「老齢・遺族給付支給停止申し出書」は平成19年4月施行の制度
  • 自分の意思で年金の受給を全額停止できる
  • 老齢基礎年金・老齢厚生年金それぞれ個別に停止申請が可能

支給停止の手続きと1ヶ月単位での調整方法

申し出による支給停止はいつでも撤回することができます。撤回には「支給停止撤回申し出書」を提出します。

支給停止と撤回のタイミングは次のとおりです。

手続き効力発生時期
支給停止の申し出申し出をした日の属する月の翌月分から停止
支給停止の撤回撤回の申し出をした日の属する月の翌月分から再開

1ヶ月単位で自由に支給停止を行うことができます。たとえば11月の1ヶ月だけを支給停止したい場合は、次のような手順になります。

  1. 10月に支給停止届を提出(→11月分から停止)
  2. 11月に支給停止撤回届を提出(→12月分から再開)

⚠️ 重要な注意事項

一旦支給停止を申し出た場合、それより後の時点で申し出時に遡って取り消すことはできません。「やっぱり停止はなかったことにして返してほしい」という遡及取り消しはできませんので、十分に検討した上で手続きを行ってください。

📝 このセクションのまとめ

  • 支給停止・撤回ともに「申し出た月の翌月分」から効力が発生する
  • 1ヶ月単位での調整が可能
  • 遡及して取り消すことはできないため、慎重に判断すること

実際の活用例:2万円超過を1ヶ月停止で解消する

先ほどの夫婦2人家族のケースに戻りましょう。令和7年度の年金支給額が1.9%引き上げられると、年金収入が211万円の限度額を約2万円超えて213万円になってしまい、令和8年度は住民税非課税世帯から外れてしまいます。

しかし、支給停止の制度を知っていれば解消は簡単です。

📌 具体的な対処法

月額約18万円弱の年金支給額のうち、老齢基礎年金を1ヶ月間だけ支給停止にすれば良いと考えられます。老齢基礎年金は満額で月約7万円、平均額は月約6万円ですので、1ヶ月停止するだけで約2万円超過分を十分に解消できます。

項目金額
年金収入(1.9%引き上げ後)約213万円
住民税非課税世帯の限度額211万円
超過額約2万円
老齢基礎年金の月額(満額)約7万円
老齢基礎年金の月額(平均)約6万円
1ヶ月停止で削減できる金額約6〜7万円(超過分を十分カバー)

受け取ることができる恩恵と失う年金のバランスをよく考えて実行することが大切です。また、撤回の申請を忘れないようにしてください。

📝 このセクションのまとめ

  • 老齢基礎年金を1ヶ月停止するだけで約2万円の超過分を解消できる
  • 得られる恩恵(介護費・医療費軽減等)と失う年金額のバランスを確認すること
  • 撤回の申請を忘れずに行うこと

配偶者控除・扶養控除の所得要件調整にも応用できる

最後に付け加えです。この年金の支給停止は、配偶者控除や扶養控除の所得要件の調整にも活用できる可能性があります。

たとえば、配偶者の年金収入がわずかに所得要件を超えてしまって配偶者控除が受けられないケースでも、支給停止を活用することで所得を要件内に収められる場合があります。住民税非課税世帯の判定以外にも応用の幅がある制度です。

📌 ポイント

年金の支給停止制度は、住民税非課税世帯の判定だけでなく、配偶者控除・扶養控除の所得要件の調整にも使える可能性があります。ご自身の状況に合わせて、税理士や年金事務所に相談しながら活用を検討してみてください。

📝 このセクションのまとめ

  • 年金支給停止は住民税非課税世帯の判定以外にも応用できる
  • 配偶者控除・扶養控除の所得要件調整にも活用できる可能性がある
  • 具体的な活用は税理士や年金事務所への相談を推奨

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士KOBAYASHIちゃんねる の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
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