年末調整でミスが多い10項目を税理士が解説|従業員・会社側の申告ミスと修正方法

年末調整でミスが多い10項目を税理士が解説|従業員・会社側の申告ミスと修正方法
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年末調整でやりがちな10個のミスを従業員側・会社側に分けて徹底解説します。

年末調整は毎年発生する重要な税務手続きですが、記載ミスや計算ミス、提出漏れが起きやすいシーズンでもあります。どういったミスをしがちなのかをしっかり把握しておくと、ミスや間違いを発覚しやすくなります。年末調整をする立場の方も、記載する側の皆さんも、潰せるミスはしっかり潰していきましょう。

本記事では、年末調整でよくある10個のミスを順番に紹介します。内容は以下の構成で進みます。

  1. 従業員側の申告ミス 7つ
  2. 会社側(経理・総務・個人事業主)のミス 3つ
  3. ミスが見つかった場合の修正方法

従業員側のミス①:扶養親族関係の記載漏れ

まず、従業員側が記載する書類でよく起きるミスから見ていきましょう。扶養親族に関する記載漏れは、年末調整の中でも比較的多いミスです。

ミス1:結婚・出産で扶養親族が増えたのに記載が漏れている

社内で結婚や出産の情報が共有されていることは多いですが、昨今はプライベートな話を社内で公にしない時代の流れもあります。自分の部署では知られていても、経理・総務にまでその情報が確実に届いているかどうかは分かりません。また、生まれたお子さんの名前や生年月日は、さすがに親でないと分かりません。

⚠️ 注意

結婚や出産をして扶養親族が増えた方は、自分でしっかりと書類に記載するようにしましょう。会社が把握してくれているだろうという思い込みは禁物です。

ミス2:大学生アルバイトの収入申告漏れ・伝達ミス

今年は特にこのパターンが多いと考えられます。大学生アルバイトがいる方の収入申告漏れや伝達ミスです。このミスには2つのパターンがあります。

パターン内容
パターンAアルバイトで稼ぎすぎて本来扶養から外れなければいけないのに、それを把握しておらず扶養から外し忘れている
パターンB今年の税制改正で、今まで扶養から外れていた大学生アルバイトが新たに扶養に入れられるようになったのに、それを知らずに扶養親族として記載していない

📌 ポイント

今年(令和7年)は大学生アルバイトに関する税制改正が入っています。改正内容をしっかり確認して、伝達ミスのないようにしましょう。

ミス3:配偶者の給与収入による控除判断の伝達ミス・記載漏れ

配偶者の給与収入によって、控除対象になるかならないかの判断が変わります。以下の基準を確認してください。

控除の種類配偶者の所得金額の条件
配偶者控除所得金額 58万円以下
配偶者特別控除所得金額 58万円超〜133万円以下
対象外所得金額 133万円超

⚠️ 注意

上記の金額は「所得金額」であり、「収入金額(総支給額)」ではありません。所得と収入の違いをしっかり意識してください。この認識がずれていると、控除の適用判断そのものが誤ってしまいます。

📝 このセクションのまとめ

  • 結婚・出産で扶養親族が増えた場合は自分で必ず記載する
  • 大学生アルバイトの収入は今年の税制改正を踏まえて確認する
  • 配偶者控除・配偶者特別控除の判断は「所得金額」で行う(収入金額ではない)

従業員側のミス②:保険料・証明書関連のミス

保険料に関するミスも年末調整では非常に多く見られます。4つ目から7つ目のミスとして順番に解説します。

ミス4:保険料の控除額を間違える

保険会社から届いた控除証明書を見て控除額を計算するのですが、この計算をミスしたり、見ている欄が1つずれていたりして、控除額が間違っているパターンが多いです。記載欄には計算式が書いてありますが、普段経理をしたことがない方にとっては難しく感じることもあります。

経理や総務の方が控除証明書を提出してもらえれば正しい計算をして修正してくれる場合もありますが、それを当てにするのもいけません。また、会社によっては「保険料の控除証明書の原本を提出してくれれば、こちらで計算するので記入しないでください」というルールを設けているところもあります。ただし、それはその会社固有のルールですので、各会社・各担当者の指示に従って申告するようにしてください。

ミス5:控除対象とならない保険料を記載している

どの保険料が控除対象になるかを正しく把握していないと、誤った申告につながります。

保険の種類控除対象注意点
生命保険○ 対象控除証明書の提出が必要
地震保険○ 対象「対象外だろう」と思い込んで記載しないミスが多い
火災保険✕ 対象外含めて計算してしまうミスが多い
個人年金保険○ 対象控除証明書を出し忘れるケースあり

ミス6:控除証明書の添付忘れ

例えば地震保険に加入していて控除対象になるのに、うっかり地震保険の控除証明書を提出し忘れたまま年末調整の締め切りを迎えてしまうというケースがあります。また、生命保険の証明書は出しているのに、個人年金保険の控除証明書を出していなかったりと、複数の保険料控除が絡むと漏れが起きやすくなります。

📌 ポイント

昨年と比較して変更がないか確認することが、証明書の提出漏れを防ぐ有効な方法です。「去年は地震保険の証明書を出していたのに今年は出ていない」と気づけばミスを防げます。ただし、今年解約した保険がある場合もあるので、その点も踏まえて確認しましょう。

ミス7:住宅ローン控除2年目の書類提出を忘れている

住宅ローン控除の1年目は自分で確定申告をしなければなりませんが、2年目以降は会社の年末調整で処理してもらえます。これを知らずに、住宅ローン控除に関する書類を会社に提出していなかったというケースもあります。住宅ローン控除2年目の方は、書類の提出を忘れないようにしましょう。

保険料関係のミスについては、「昨年度と変更がないか確認する」という習慣をつけることが最大の対策です。ただし、100人・200人規模の会社では経理・総務が全員分をチェックする余裕がない場合もあります。自分のことは自分で確認するという姿勢が重要です。

📝 このセクションのまとめ

  • 保険料の控除額は計算式に従って正確に計算する
  • 火災保険は控除対象外、地震保険は対象であることを覚えておく
  • 控除証明書の添付漏れは昨年との比較でチェックする
  • 住宅ローン控除2年目以降は年末調整で処理できるが、書類提出が必要

会社側のミス①:システムの入力ミス

次に、会社側(経理・総務・個人事業主・フリーランス)がスタッフの年末調整をする際にやりがちなミスを3つ紹介します。

1つ目はシステムへの入力ミスです。人間がすることですから、従業員から記載してもらった書類を見ながらシステムに入力する際に、どうしてもミスが発生します。

  • 扶養親族が増えているのに入力漏れ
  • 扶養親族の人数を間違える
  • 控除額の入力が誤っている

📌 ポイント

入力ミスを防ぐ最善の方法はダブルチェック・再確認です。従業員から受け取った書類を1つ1つ照合し、昨年と比べて大きな変更点がないか比較することで、ミスや漏れを発見しやすくなります。

📝 このセクションのまとめ

  • システム入力時は書類と照合しながらダブルチェックを行う
  • 昨年との比較で入力漏れを発見しやすくなる

会社側のミス②:計算ミスと源泉徴収額の誤り

2つ目の会社側ミスは計算ミスです。年末調整システムを使っている会社も多いですが、まだ手書きで記入し、電卓で計算しているところも少なくありません。手計算の場合、電卓の入力ミスや合計金額の誤りが起きやすく、1か所でも間違うと全体がずれてしまうのが年末調整の特徴です。

さらに、計算ミスの中でも見落とされがちなパターンが源泉徴収額そのものの誤りです。給与から差し引く源泉徴収額は税額表に基づいて決まりますが、この表が非常に細かいため、参照する行が1つ上や1つ下にずれてしまうことがあります。源泉徴収額が最初から誤っていると、年末調整の精算時に追加で税金を徴収しなければならない事態になりがちです。

⚠️ 注意

今年(令和7年)は税制改正が入っており、基礎控除などが変更されています。昨年と同じ計算方法・同じ金額で処理すると確実に間違います。新しいシステムや税制改正後の正しい金額を用いて計算するようにしてください。

📝 このセクションのまとめ

  • 手計算の場合は電卓ミス・合計ミスに特に注意する
  • 源泉徴収額の税額表は参照行のずれが起きやすい
  • 令和7年の税制改正(基礎控除等の変更)を必ず反映させる

会社側のミス③:確認不足・情報不足による処理ミス

3つ目の会社側ミスは確認不足・情報不足です。これには2つのパターンがあります。

パターンA:不備や漏れを確認せずそのまま処理してしまう

昨年は提出されていた地震保険料控除証明書が今年は出ていないと気づいたにもかかわらず、確認せずにそのまま処理してしまうケースです。後からスタッフに「すみません、漏れていました」と言われる事態になります。

これを防ぐためには、昨年と今年を比べて大きな違いがないかチェックを入れることが有効です。提出し忘れたスタッフ側にも責任はありますが、処理する側が少し確認してあげる余裕があると信頼感につながります。

パターンB:収入金額と所得金額の認識違い

例えば配偶者特別控除の判断をする際に、スタッフが「収入金額(総支給額)」を記載してきているのか「所得金額」を記載してきているのか、お互いの認識がずれていると、本来対象外なのに対象として処理してしまったり、その逆が起きたりします。

⚠️ 注意

収入金額(総支給額)と所得金額は大きく異なります。記載してもらう際にどちらの金額を書いてもらうのかを明確に伝え、認識のずれが起きないようにしましょう。

📝 このセクションのまとめ

  • 昨年と今年を比較し、不備・漏れがないか確認してから処理する
  • 収入金額と所得金額の認識をスタッフと事前にすり合わせる

ミスが見つかった場合の修正方法【段階別】

年末調整でミスが見つかった場合、いつ気づいたかによって対応方法が異なります。段階別に解説します。

気づいたタイミング対応方法期限・条件
翌年1月31日まで社内で再計算(年末調整のやり直し)市区町村・税務署への提出期限が1月31日のため間に合う
1月31日を過ぎた後自分で確定申告をして修正・追加毎年原則3月15日が確定申告の提出期限
確定申告期限後(2〜5年後)更正の請求または修正申告を提出法定申告期限から5年以内なら可能

①翌年1月31日までにミスが見つかった場合

市区町村と税務署に年末調整の結果を提出する期限が翌年1月31日です。それまでであれば、社内で再計算することでギリギリ間に合います。ただし、1月31日が期限だからといって後出しで証明書を提出しても、経理・総務側の社内締め切りが1月20日などに設定されている場合は「間に合わない」と言われる可能性もあります。ミスや漏れに気づくのは早ければ早いほど良いです。

②1月31日を過ぎた場合・社内で処理してもらえない場合

この場合は自分で確定申告をすることで修正や追加が可能です。確定申告の提出期限は毎年原則3月15日です。ふるさと納税や医療費控除、住宅ローン控除1年目など、どちらにせよ確定申告が必要な方は、年末調整のミス分も一緒に入れ込んで申告すれば、全てを正しく計算した税額が出ます。

③確定申告期限も過ぎて2〜5年後に気づいた場合

確定申告の提出期限すら過ぎてしまった場合でも、更正の請求または修正申告で対応できます。

  • 更正の請求:税額を多く払いすぎていた場合に「返してください」と税務署に提出する。法定申告期限から5年以内なら可能。
  • 修正申告:誤りが発覚して払う税金が少なかった場合に提出する。

ただし、更正の請求や修正申告は通常の確定申告とは記載方法が異なり、多少ハードルが上がります。最善は早めに気づいて社内の年末調整で修正してもらうこと、次善策は確定申告での対応です。

📌 ポイント

ミスへの対応は「早く気づくほど簡単に修正できる」という原則があります。社内再計算 → 確定申告 → 更正の請求・修正申告の順で対応のハードルが上がります。

📝 このセクションのまとめ

  • 翌年1月31日までなら社内で再計算して修正可能
  • それ以降は確定申告(3月15日まで)で対応できる
  • 5年以内なら更正の請求・修正申告で対応できる
  • 早く気づくほど対応が簡単になる

年末調整のミスが組織の信頼を損なう理由

年末調整のミスは単なる数字の誤りにとどまらず、組織全体の信頼性にも影響します。年末調整でミスが起こると、スタッフや雇用している方から「普段の給与計算も間違っているんじゃないか」「有給消化のカウントも間違っているんじゃないか」という管理体制への不信感が募ります。

こうした管理体制への不信感は、働くことへのモチベーション低下につながり、さらには貴重な人材の流出につながることもあります。だからこそ、個人事業主・フリーランス・経営者で年末調整をする立場の方は特に慎重に処理することが重要です。

経理・総務・税理士事務所・経営者など、年末調整に関わる全員が「潰せるミスは事前に潰す」という意識を持ち、お互いに協力し合う姿勢が大切です。記載する側の従業員も、自分のことなので確認してしっかり記載する。処理する側は、不備や漏れがないかチェックする余裕を持つ。この連携と協力体制が、認識違いや伝達ミスから起こるミスを防ぐ最大のポイントです。

📝 まとめ:年末調整でよくある10個のミス一覧

【従業員側の申告ミス 7つ】

  1. 結婚・出産で扶養親族が増えたのに記載が漏れている
  2. 大学生アルバイトの収入申告漏れ・伝達ミス(税制改正の把握不足も含む)
  3. 配偶者の給与収入による控除判断の伝達ミス・記載漏れ
  4. 保険料の控除額の計算ミス
  5. 控除対象とならない保険料(火災保険等)を記載している
  6. 控除証明書の添付忘れ
  7. 住宅ローン控除2年目の書類提出忘れ

【会社側のミス 3つ】

  1. システムへの入力ミス
  2. 計算ミス・源泉徴収額の誤り(税制改正の未反映も含む)
  3. 確認不足・収入金額と所得金額の認識違い

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士河南のYouTubeチャンネル! の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
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